そういえば、12月21日は通信教育学会の研究会だった!
ということを、今朝の
リンク先チェックにて認識した。最低限、週に一度はリンク先の皆さまの状況を確認することとしているのであった。
行きたかったな~と思いつつ、12月21日は家族で町田に行っていたから参加できなかったのだ。次男の誕生日が明日の火曜日(平日)なので、事前にお出かけしていたわけである。
テーマは
「通信教育はなぜ低く見られるのかー差別の心理を考えるー」というもの。桜美林大学の鈴木教授が発表されたそうである。内容は以下の通り。
内 容 :
通信教育はなぜ低く見られるのか、8つのエピソードを取り上げ、参加者の皆さんとともに差別の心理を考えてみたいと思います。
エピソード1 遠距離恋愛の末、なぜ彼女はアイツと結婚したのか!?
エピソード2 奥目の八ちゃんの「空手の通信教育」に、なぜ周囲はコケるのか!?
エピソード3 牛丼の松屋は、なぜ入居しているビルの名前を偽るのか!?
エピソード4 「卒業証書に“通信教育”っつう文字が入りますか?」は、なぜ「よくある質問」の定番なのか!?
エピソード5 学校基本調査は、なぜ通信教育のデータを別に扱うのか!?
エピソード6 サイバー大学本人確認問題に、なぜマスコミは発情したのか!?
エピソード7 「独学」には、なぜ否定的見解と肯定的見解とがあるのか!?
エピソード8 「教育の機会均等」と「通信教育」は、なぜ相思相愛じゃないのか!?
本当、面白そうなテーマであり、今でも聴講したい気持ちである。とはいえ、先般の先生との飲み会で、エピソード2とか、直接お伺いしております。
さて、通信制って、本当に通学制より低く見られます?というか、それを実証した方って、いるのだろうか?
例えば、上記エピソード2について、私自身、空手道初段だが、それほど強くない。いや、逆に弱い。なんせ、取得したのは30年以上前。でも「通学制」である。一方、もし通信制で取得できるコースがあったとして、今時の高校生が取得したとしたら、実力的には、100%「通信制」で取得した高校生の方が、強いはずである。
聴く人のイメージには、「通学制」は毎日鍛錬を重ねた屈強な武人、「通信制」は自宅に引きこもったひ弱な青瓢箪というステレオタイプなものがないだろうか?そもそも、武道は師範がいて、その方に学ばないと不可能という誤った認識に思考が支配されているのである。そして、「通学制」においては、小学生でも取得できる初段を、いかにも大会優勝者でしか取得できない屈強な資格と思い込まされているわけである。
これと同じ。慶應も早稲田も通信制の学部がある。そして、その卒業証書の価値は、なんら変わらない。しかし、勝手なイメージで通信制の方が低いと思い込まされているに過ぎない。
「でも、通信制の慶應義塾大学を卒業しても一部上場企業に入社できないよ」という人もいるかもしれない。確かに、「通学制」と「通信制」とでは、就職において、歴然とした差がある。でも、それって、「通学制」と「通信制」だからなのか?
私の卒業した大学には第二部(夜間部)があった。同じ通学制であったとしても、第一部と第二部とでは就職先に、正直な話として大きな差があった。でも、努力した人は、第一部と同じ就職先に就職している人もいたし、それ以前に、すでに就職している人が夜間部に通っていたということもあるのである。
あるいは、経済学部と教育学部とでは、同様に大きな差があった。しかし、これは、目標としている勤務先が「企業」なのか「学校」なのかによる面も大きいのである。
単純に「通学制」といいうキーワードでひとくくりにすることは危険といえないだろうか?
同様に、「通信制」の方々は、仕事の合間に学位を取得するため、入学しているケースが多いのである。そんな方々を対象に、やれ上場企業への就職率がどうだっていうのもおかしいだろう。加えて、日本的就業慣行として、新卒者の一括採用がある以上、上場企業への就職が少ないのは当然なのである。
比較するなら、通学制で転職を希望するA君(40歳)と、通信制で転職を希望するB君(40歳)といった風に、同条件にすべきであろう。その比較において、果たして「通学制」と「通信制」の格差というのは、本当に歴然としたものがあるのだろうか?
この低く見えるイメージの中に、通信制の場合、卒業できなかった方々の残像が入り込んでいないだろうか?誰でも入学できる(一部例外あり。特に早稲田は1.3~2.0倍程度の競争率)ため、その入学した方を比較の対象としていないだろうか?あくまで、通学制卒業者と通信制卒業者で比較すべきであろう。
とはいえ、そのような認識を持つ人に「通学も通信も一緒なんだ~!」って言ってもどうしようもない。事実、先ほどの
早稲田大学の通信課程eスクールに2013年度入試において入学した155名のうち、「18~22歳」はわずか10名ほどしかいない。無職の方も20名程度。最も多いのが半分以上の「会社員」であり、「40~49歳」が2/5と最も多いのである。
すなわち、通信制は時間のない社会人の学びをサポートする意味あいが強く、学ぶ当事者には「イメージが低い」だの「印象が悪い」だの、全く関係なのである。
己の足りないところを補う。あるいは、必要と思うスキルやノウハウを吸収する。そしてその成果は自分が感じるところであり、第三者に評価していただく必要はないのである。だからこそ、私は好感を持って通信教育に身を投じているわけであり、意志が弱いからこそ、自分しか信じることができない通信教育を、こよなく愛しているわけである。