クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

雪の日に読む小説・3(『蔵』宮尾登美子)

2021-01-14 | 本と雑誌

「雪の日に読む小説特集」

3冊目は、

 にいがた(新潟)県から・もう1つ

みやおとみこ(宮尾登美子)の『蔵』を、取り上げます



 明治・大正・昭和を生きた、はかなくも 力強い

女たち

その生きざまを 記しつづけた

宮尾作品は、

 多くの女性ファンに、支持され

クリンたちのような、

「宮尾作品主人公の、和菓子見立て」を

する・ファンさえ

生み出しました


 そんな、カリスマ女流作家

作品で、

トップ3に入る人気をほこるであろう

小説『蔵』。

 

それは、

 にいがた(新潟)県の くらもと(蔵元=酒造業者)の家に

くらす女たちの

生きざま

を、

雪げしき(景色)に散らした 名作です。


 主人公は、くらもと(蔵元)の

あととり(跡取り)娘、烈(れつ)

 

目をわずらい、

やがて失明しますが

小説は、

彼女の単なる苦労話では おわりません


 娘を心配しすぎるがあまり、

仕事で大きなミスをおかしてしまう、父・章造(しょうぞう)

に はじまり、

 その章造に 嫁いで来て、

子どもを8人も(早流・死産・夭折で)亡くした、美人妻かほ(賀穂)

を 描き、

そのかほをかわいがり、孫・烈のため、巡礼に出て、たおれた姑・むら

を 描き、

「かほの死後は後妻に」と周りから認められていたのに、章造に再婚してもらえなかった、かほの妹・さほ(佐穂)

を 描き、

章造の後妻に入り、針のむしろのじごく(地獄)を味わう、もと芸妓・せき

を 描いた、


 つまりは、生のかなしみを 描いた、長編です



 1つの家族ながら、さまざまな立場の女

を 描き分けているため、


 読者は・・、自分にいちばん近い女に よりそい(寄り添い)、

彼女たちに

かぶさってくる、

雪のような・運命の重み

ともに かんじながら、読んでいきます。。

 うちのチットは、この中で、烈の叔母・さほが

いちばん好きだ、と言います。



 「器量十人並み」だけど、

けんしん(献身)的に

姪の烈を 支え

でも、心寄せる・章造の後妻に なれず

17歳のもと芸妓に 後妻の座をうばわれる

その

さびしさ・・


 しかし その後・・

「蔵」が ダメになりかけ

章造が 病気になるや

かけつけて、世話をする

その やさしさ

 

そこに

女性としての 本しつ(質)を、かんじる

と 

いうのです

 

(※すっごい蛇足なのですが、うちのチットは「さほ(佐穂)タイプ」ではありません←そんなこと言わなくてもいいことなんですけど、「これじゃ、私が佐穂と一緒で器量十人並だと思われるじゃない何とかしてよ」と、うるさいので・・

 

そんなチットですが・・

 雪国の女って、けなげだよね 
美しさの中に、

生命力を感じる。

それに、、

 この本を 読んでいると、

とっても 日本酒が飲みたくなるの

蔵人によるお酒づくりのシーン

たくさん出てくるからだね

 

と、

よろこんでいました

 

 久しぶりに味わった・日本酒は、作品のおかげで

とても美味しかった みたいです

 

 


おすすめ度:そうとう(相当)

 

 

(次回、「雪の日に読む小説」は、遠田潤子の『雪の鉄樹』を ご紹介します

 

コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする