クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

雪の日に読む小説・11(『阿寒に果つ』渡辺淳一)

2021-01-26 | 本と雑誌

平成の時代に

「失楽園」ブーム

「愛ルケ(愛の流刑地)」ブーム

を まきおこし

「とにかく男と女は抱き合い尽くしたら、雪の中で死ね」

と 言った(※言ってない)、

大作家の小説から、「雪景色」なやつを、一本



 わたなべじゅんいち(渡辺淳一)の

『阿寒に果つ』を、レビューします。

 


1973年刊行、

1950年代が、小説のぶたい(舞台)。

というと

(ずいぶん昔だな・・)って 気がしますが

描かれる風俗や、

人の悩み、は 令和の今と かわらず・・

 

 それでいて「渡辺淳一の特徴」である、

男と女が性愛の果てに、死をえらぶ・・

という

不変の形たい(態)

が とられていて

「さすが渡辺淳一。大作家は、初期から型を持っている

と、

かつもく(刮目)を 禁じえない・作品です

(※代表的な渡辺作品では、たいてい、恋人たちのどちらか一方、もしくは両方が死にます 渡辺さんは、とにかく一人殺します

 さて、『阿寒に果つ』・・

やはり

この物語でも、

ヒロインの女子高生が 自殺するシーンから 

始まるのですが

 雪のあかんこはん(阿寒湖畔)

で死んだ・美少女をめぐる、「男たちの未練話」・・

 

それが、

一言であらわすところの、この作品のストーリーです。

 



すっごく・おもしろくて、

作家のうでが あまりにも見事なのに、

おどろきました

(ハッキリ言って、失楽園や愛ルケよりも、上です

 

<作品の要約>

 ヒロインは、自分大好きな

美少女

彼女は、その美ぼうで、

うぶな男子高校生を ホンロ~し、

妻子もちの画家を ホンロ~し、

プレイボーイな新聞記者を ホンロ~し、

分別ある中年医師を ホンロ~し、

エネルギッシュな共産党シンパを ホンロ~し、

 

全員に、

その体を与えた・あげく

その他もろもろの男たちから、ちやほやされるのを とくい(得意)になってい

つまりは、

ろくでなし女です。


 小説は・・、そんな彼女の

落ち着かない恋の相手にされた

一人が、

彼女の死後20年経って、

(あの娘がいちばん愛していたのは、俺だよね

と 

気になり、

他の男たちを たずねあるく、、

という・「回顧もの」

そして、

 たずねた全員が、「あの娘がいちばん愛していたのは俺

と 信じていた 

という、

救いがたい・男性心理を 描いた、お話です・・



 わたなべ(渡辺淳一)さんは、
生前、

「北海道作家・1ダンディー」で

女性の扱いが ものすごく上手い

と、

評判だった そうですが、

「女性の心理を見抜いて、それを描く」️

と いうよりは、

「男性の心理を照らして、それをくまなく描く

と いうほうに

力点を お(置)いている作家さんなんだな

ってことが、

このたび、わかりました。

「最終章」で、ガッカリな

サゲがあり、

ヒロインの美少女には、

さいごまで 

イライラさせられっぱなしでした

が・・

「最終章前」までは、カンペキ(完璧)だったので、、

おすすめ度:星4つ

 

 

しかし、

しん(親)友・チットは・・

 内容よりイライラしたのはね~。

 この本を 図書館で借りるのに、1ヶ月待たされたことよ

誰なのよ

うちの市で、いまどき、私以外に『阿寒に果つ』なんか・借りる人

 

ちがうポイントで 怒っていました

 



(次回、「雪の日に読む小説」は、佐々木丸美の『雪の断章』です 札幌を舞台とした、さわやかな恋物語です

 

コメント (20)
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