平成の時代に
「失楽園」ブーム、
「愛ルケ(愛の流刑地)」ブーム
を まきおこし
「とにかく
男と女は抱き合い尽くしたら、雪の中で死ね」
と 言った(※言ってない)、
大作家の小説から、「雪景色」なやつを、一本
わたなべじゅんいち(渡辺淳一)の
『阿寒に果つ』を、レビューします。
1973年刊行、
1950年代が、小説のぶたい(舞台)。
というと
(ずいぶん昔だな・・)って 気がしますが
描かれる風俗や、
人の悩み、は 令和の今と かわらず・・
それでいて
「渡辺淳一の特徴
」である、
男と女が性愛の果てに、死をえらぶ・・
という
不変の形たい(態)
が とられていて、
「さすが渡辺淳一
。大作家は、初期から型を持っている
」
と、
かつもく(刮目)を 禁じえない・作品です
(※代表的な渡辺作品では、たいてい、恋人たちのどちらか一方、も 渡辺さんは、とにかく一人殺します
)
さて、『阿寒に果つ』・・
やはり
この物語でも、
ヒロインの女子高生が 自殺するシーンから
始ま
雪のあかんこはん(阿寒湖畔)
で死んだ・美少女をめぐる、「男たちの未練話」・・
それが、
一言であらわすところの、この作品のストーリーです。
すっごく・おもしろくて、
作家のうでが あまりにも見事なのに、
おどろ
(ハッキリ言って、失楽園や愛ルケよりも、上です)
<作品の要約> ヒロインは、自分大好きな
美少女
彼女は、その美ぼうで、
うぶな男子高校生を ホンロ~し、
妻子もちの画家を ホンロ~し、
プレイボーイな新聞記者を ホンロ~し、
分別ある中年医師を ホンロ~し、
エネルギッシュな共産党シンパを ホンロ~し、
全員に、
その体を与えた・あげく
その他もろもろの男たちから、ちやほやされるのを とくい(得意)になってい
つまりは、
ろくでなし女です。
小説は・・、そんな彼女の
落ち着かない恋の相手にされた
一人が、
彼女の死後20年経って、
(あの娘がいちばん愛していたのは、俺だよね)
と
気になり、
他の男たちを たずねあるく、、
という・「回顧もの」
そして、 たずねた全員が、「あの娘がいちばん愛していたのは俺
」
と 信じて
という、
救いがたい・男性心理を 描いた、お話です・・
わたなべ(渡辺淳一)さんは、生前、
「北海道作家・1ダンディー」で
女性の扱いが ものすごく上
と、
評判だった そうですが、
「女性の心理を見抜いて、それを描く
」️
と いうよりは、
「男性の心理を照」
と いうほうに
力点を お(置)いている作家さんなんだな
ってことが、
このたび、わかりました。「最終章」で、ガッカリな
サゲがあり、
ヒロインの美少女には、
さいごま
イライラさせられっぱなしでした
が・・
「最終章前」までは、カンペキ(完璧)だったので、、
【おすすめ度:星4つ
】
しかし、
しん(親)友・チットは・・
「
内容よりイライラしたのはね~。
この本を 図書館で借りるのに、1ヶ月待
誰なのよ
うちの市で、いまどき、私以外に『阿寒に果つ』なんか・借りる人」
と
ちがうポイントで 怒っていました
(次回、「雪の日に読む小説」は、佐々木丸美の『雪の断章』です 札幌を舞台とした、さわやかな恋物語です
)