クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

雪の日に読む小説・2(『北越雪譜』鈴木牧之)

2021-01-13 | 本と雑誌

かわばたやすなり(川端康成)の

小説『雪国』には、

にいがた(越後湯沢)の温泉地

が 

描かれていましたが・・

 

そのなかで、主人公が

えちごちぢみ(越後縮)の産地である村を 訪れるシーン

が あります。 

 


「 雪のなかで糸をつくり、雪のなかで織り、雪の水に洗い、
雪の上に晒す。

績み始めてから織り終るまで、すべては雪のなかであった

昔の人も本に書いている。 」

 

そう、『雪国』の中に

出てくるのですが・・

 

ここで記されている昔の本

というのが、

今日、ご紹介する、

『北越雪譜(ほくえつせっぷ)』です

 



書いたのは、

鈴木ぼくし(牧之)という、越後縮」の 仲買人(※織物商ですね

 

内容は

雪国のよろず百科事典で、

江戸時代後期、

数百万部をほこった、大ベストセラーでした



 べちゃ雪しか知らない・都会の人に、

「本場の雪は、結晶の形で落ちてくるんだよ

とか、

「雪国には、こんな行事があるんだよ

など、

 ご当地のくらしや、雪にまつわる・エトセトラ

イラスト付きで紹介した、分かりやすい本です


 これを手に取った・読者のほうは、あたかも

「異国のおとぎ話

でも きいているような

白いロマンをかんじ

うっとりしていた

らしいのですが・・

 

作者は 

というと・・

おめらの想像はるかに超えるほど大変なんだこっちの暮らしは

ずっぷり・わからせたかった

らしく、

 雪国ならではの事故や、災害についても、

かなり・細かく 記しています。


 今のように、「地方の事情に
関する共通認識

が 

なかった時代、

これは

たいへんに いみ(意味)のある

出版であり、

北国との取引のある商人には、さぞ役に立ったであろう

と 

さっせられます

鈴木牧之が

そのような本を 書いたのは、

・彼に学問があったからだ。

とか

・江戸の文化人とつながりがあったからだ。

とか、

・牧之の郷土振興を考える立場のためだ。

とか、

色々言われていますし、その全部であろうと 思います


 それに加え
絶対に

忘れてはいけないのは、書かれた時代の背景だよね

しん(親)友・チット

は、

言っています。

 

 

いわく

 この本が 刊行された

1837年は、

大きな・ききん(天保の飢饉)が 発生していた年

 

がし(餓死)者とかが

いっぱい出ていた、

この世のじごく(地獄)・まっただ中の時です・・

 

それ以前に おきた

「天明の飢饉」から、

やっとの思いで 立ち直った

東北信えつ(越)にとっては、

つまり

ものすご~~~~く・きびしい、「悪夢の再来」のじき(時期)だった

わけです。。


 だからこそ「越後財界の一角を担う商人

として、

牧之は、

こうそう(構想)から・30年

数々の困なん(難)を のりこえてでも

ついに 

江戸での出版に こぎつけたのでしょう

 

彼は、つまり・・

「雪国を 滅びさせねぇぞ~ もっと、俺ったに注目してくれ~~」

という、

切なるねがい(願い)を 込めたはずです


 ぼくし(牧之)は、学問や
江戸文化人との交流

には お金を使ったけど

それ以外は

つつましく・くらし

手がたく商売に はげんでいた人だった

と 

伝わっています

 

 

『北越雪譜』は、

「越後の偉人」が 郷土のために 世に出した

雪をもとかす

じょうねつ(情熱)の本だった!

と、

今一度、きょうちょう(強調)させて、いただきます

 

(みそ汁も いただきます

 

 

 

 

(※すいません 写真のお味噌(日本海)は富山のメーカーのなんですけど、新潟のイメージ映像が足りなかったので使いました~。隣りの県だからいいですよね

 

 

おすすめ度:歴史や古典に関心のある方に。

 

 


(次回の「雪の日に読む小説」は、宮尾登美子の『蔵』を 取り上げます

 

コメント (26)
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