クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

雪の日に読む小説・4(『雪の鉄樹』遠田潤子) 

2021-01-16 | 本と雑誌

冷たい雪の重みに、じっと耐えているのは

女ばかりではない

男も、耐えている

いや

男の耐えかたのほうが、キツイ

 

突きつけてくる小説が あります

『雪の鉄樹』(遠田潤子)です


「鉄樹(てつじゅ)」というのは

ソテツのことで、

主人公は

ズドーンと そびえ立つ・ソテツのように

動かしがたい、

ガンコイッテツ(頑固一徹)な にわし(庭師)


 とある事件の「加害者の関係者」

なのですが、

「被害者の遺族」に

つくして
つくして
つくして

むげにされる

あわれな 男です・・

 この庭師 自らがつみを

犯したわけでは ないのです

「被害者遺族」の 生活の面どう(倒)まで 見ています

 

(・・・それって、なんで

と、

りかい(理解)できない・読者を

タネ明かしに向かって、ひた走らせる

そんな 小説です。



 テーマが「贖罪」のため、

内容は

だいぶ・重いのですが

作家さんが 引っぱり上手なので

ラク~に 読んでしまえる



 作者(の遠田さん)は、

実に

「米粒に、般若心経を書くくらいの

細かさで 

心の動きを したためています


 だからこそ 読者も、つい

根気よく、

主人公が そうぐう(遭遇)する理不尽な事件

や、

自ら招いている・くつじょく(屈辱)

いっしょになって 耐えてしまうのです。。



 みなさま、、主人公が「庭師」と

きいて、

おじいちゃんを イメージしていませんか


どうしてどうして、、

まだ、30そこそこの

青年です


 
そんな人が、ハタチ(二十歳)からの 

十数年間

青春全部を

つみ(罪)のつぐないに ささげ

息苦しい・毎日を

生きてきたのには、

どういう「原罪」が あるのか


 追及していくと、、そこに「彼の家族の物語

が 立ち上がります

(あらすじは、ここまで)


 みなさまも・・ 学校や会社などで これまでに

一人くらいは、

周囲と交わらない人

みんなから はみ出してる人

出会って来ていると 思いますが・・

 

そんな、

周囲から ごかい(誤解)され

後ろ指を さされがちな人が


実は 実生活において、

とてつもなく苦しいものに がんじがらめにされている


・・・

そういう 可能性に、

気づかせてくれる、本でした。


 ※かんよう(寛容)な方は もちろん

生きるのに失敗している人に

対して、

「不寛容」な方に、

ぜひ、オススメしたい本です🐻


 この主人公、本当にがんこ(頑固)で、、

Aの道を行くべきところを

Bに行くタイプだから、

かなり・イライラさせられるんですけども、、


そういうのに ガマンして

つきあってあげる

のも、

いいと思うんですよね、たまには!

 

 

オススメ度:なかなか

 

 

(次回、「雪の日に読む小説」は、辻村深月の『冷たい校舎の時は止まる』です こわい本ですよ

 

コメント (8)
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