ようやく東京マグニチュード8.0の2巻が借りられました。
交通機関が麻痺してしまい、お台場に取り残される姉弟。
ミライとユウキ。 そして他の被災者たち。
被災から一夜明け、頭上を駆け抜ける
自衛隊のヘリコプターの音で目を覚ますミライとユウキ。
その小さな眼差しが見据える前方の街は、
地震による火災で無数の煙が立ち上がっている。
ユウキ「すごい煙…」
ミライ「これって…夢じゃ、ないんだよね…」
第3話「燃える、橋」
ミライは携帯で両親に連絡を取ろうとするが、
やはり携帯はつながらない。 弟のユウキは不安げに言う。
「パパとママ…怪我してないといいけど…パパとママ大丈夫だよね?ねぇ、お姉ちゃん、パパとママ大丈夫だ…」
弟の不安を解消してあげられない姉は弟に当たる。
「っ!分かんないよっ!連絡取れないんだからっ!なんでもかんでも聞かないでよっ!」
涙ぐむ弟。
そこへ一人の女性がやってきて姉弟喧嘩を止める。
「あ、さては2人とも!お腹すいてるわねぇ?お腹すくと、ついイライラすらからね」
そう言って近くのコンビニで配られていたオニギリを差し出す。
彼女の名はマリ。シングルマザーである。
とても親切で優しい女性。
この地震で姉弟と出会い、幼い姉弟だけで行動をするのを気にかけ一緒に行動している。
いわば姉弟の保護者代理である。
そんなマリと出会ったことで、過酷な被災状況でも孤立しないで済む姉弟なのだが、ミライはどこか彼女に対して素直になれないのであった。
暑さ。
それは充分に水分も食料も採れない被災者にとっては過酷なものである。
マリは携帯のテレビをつけて状況を確認する(電波は通じないが、ワンセグの受信はできる)。
キャスター「それではここで改めて、地震による都内の被害状況をお伝えします。全ての交通機関が運転を見合わせており、復旧の見込みは立っておりません。第一次交通規制が実施され、多摩川、国道246号線及び環状七号線を結ぶ内側の区域は全面車両通行止めとなっております。」
さらに続く。「これまで843名の死亡が確認され、多数の行方不明者、重軽傷者が発生している模様で、今後この数字は増えるものと考えられます。」
マリ「そんなにいっぱい亡くなってるんだ…」
キャスター「そして現在、多くの被災者が歩いて自宅へ向かっています。今後の状況について○○大学、災害研究所の○○教授に伺います」
教授「今回の首都直下型地震による帰宅困難者の数は、およそ650万人にのぼると見られています」
キャスター「今後、余震に関してはどの程度続きそうなのでしょうか」
教授「おそらく3日ほどは震度5以上の余震が続く可能性が考えられます。」
そこでテレビを切るマリ。「やっぱみんな歩いてるんだ…」
マリも姉弟も世田谷方面なので、お台場から歩いて簡単に帰れる距離ではない。
だが座っていても状況は変わらない。
歩くことを決断したとき、自衛隊が水上バスで救助に来る。
お台場の被災者たちが一斉に移動を始める。
断続的に襲いかかる余震。
徐々に、だが確実にそれは地盤、ビル、道路を破壊してゆく。
そして人々の心を恐怖で蝕み、疲弊させてゆく。
ようやく水上バスのところまで被災者たちは辿りつくが、
再び襲い掛かる余震。
目の前の高速道路が倒壊してしまう。
そんな混乱のなか被災者たちを乗せた水上バスの初発が出る。
水上バスでの輸送は当然体力のない、
女性子供から優先して行われるが、
我先にと焦る男どもの怒号が飛び交う。
救助隊員が扇動してくれたおかげで、
ミライたちも優先的に船に乗ることができた。
安心したのも束の間、
目の前の橋が倒壊を始める。
橋が倒壊し、海面に叩きつけられる。
その衝撃で発生した高波がミライたちの前を先行していた水上バスを飲み込みながらミライたちの乗ってる水上バスに襲いかかる。
なんとか転覆は免れるが、誰もが恐怖に震えた。
いつも明るく慄然としているマリだが、
さすがのマリも恐怖で手が震えていた。
「ごめんね、危険な目に合わせちゃったね・・・」
マリのそんな一面を垣間見た未来は少し素直になる。
「ううん、ありがとう、マリさん」
そしてそっとマリの手を握るのであった。
と、いうわけで第3話。
いや怖い。
何が怖いって、余震が怖い。
何度も何度も震度5クラスの地震が襲ってくるのだ。
強度はあってもそれ自体の重量も大きいコンクリートなんて、
こんなに何度も横に振られたら、その自重が逆に重りになって倒壊するよな、
としみじみ思う。特に高い建物や長い橋。
いや怖い。
あとこの作品に出てくる男どもちょっとヒドイ。
乳母車が床レンガに挟まって困ってる主婦をガン無視し、
弟とはぐれてオロオロしてる中1の女の子に声をかけるどころか、
「邪魔だ!」なんて言って突き飛ばしたり。
避難する時は女性や子供が優先なのは当たり前の話なのに、
我先にとヤイヤイ言ってるオッサンども。
あげくは出航した水上バスに飛び乗ろうとして、失敗して海に落ちたり。
いやいや、いくら東京人が冷たいとしても、そこまでヒドくはない、
と思うんですが・・・。
まだとりあえず食料もあるし、自衛隊も機能してるし。
ほんとにこんなに殺伐となってしまうんだったら、
僕は一緒に行動できそうにない。
1人でコンビニの配給もらいながら、ひっそりお台場で路上生活する。
そんで人がいなくなってから救助してもらう。
でもこんな時、一人で行動してたら、すげー不安なんだろうな。
身内の安否も確認できないし、知り合いとも合流できないし。
そして最後に。
姉ミライ、ちょっとヒステリーすぎ。
そんなに怒らなくてよくね?と思う。
怖いお姉ちゃんをもつと苦労するよな。
というわけで、第4話へ続く。