黄銅製の茶托、5客です。
先に紹介した2種類の錫製茶托に比べ、大きさは一回り小さいですが、分厚く重いです。
蓮の葉の端に、一匹の蛙がのっています。
すべて、同じ鋳型でつくられています。
錫の茶托と違って、轆轤や鏨は使われていません。
径 10.2㎝、高 2.4㎝、重 168g(5枚、 866g)
かなりしっかりとした造りです。
叩くと、仏具のおりんのような良い音が響きます
ちなみに、錫の茶托は、ボスッとした音しかしません。
一匹の蛙が雰囲気をだしています。
裏側も手抜きがありません。
裏側には、小さく「琢斎」の銘があります。佐渡の名工、本間琢斎の工房作品です。時代は明治。
本間琢斎は、江戸後期から続く佐渡の鋳金師で、蝋型鋳造の銅製品を多く世に出しました。
この品は、唐物が主流であった煎茶の世界に、琢斎が得意の鋳造技術を生かして、和製の道具類を提供しようとしたものの一つでしょう。明治期、流行し始めていた蓮の葉模様を大胆に取り入れています。
蓮葉二蛙のこの茶托は、かなりの数製造されていて、当時の人気商品であったことが伺えます。その分、例によって、骨董市などでは、「ん?」という品も散見されるので注意が必要です(^^;)