遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

面白古文書『吾妻美屋稀』8.「浮世たくさんな人すくない人の見立角力」

2023年07月27日 | おもしろ古文書

今回は、面白古文書『吾妻美屋稀』の8回目、「浮世たくさんな人すくない人の見立角力」です。世の中で、たくさんな人とすくない人をそれぞれ23人ずつあげて競う、見立相撲です。

いつものように、全体を4分割して、右上から。

浮世たくさんな人すくない人の見立て角力

たくさんな方 

大関 金もちのしハんぼう(金持ちのしはん坊)
【しはん坊】ケチな者

関脇 むすめのしばゐずき(娘の芝居好き)

小結 よめいじりのばゝさん(嫁いじりの婆さん)

前頭 後家のせわやき(後家の世話焼き)

同  上ざいくしののら(上細工師ののら)
【のら】なまけ人

同  としよりのじんばり(年寄りの腎張)
【腎張】精力絶倫なこと

同  げい子のつめなが(芸子の爪長)
【爪長】非常にけちな人

同  びんぼう人のとし子(貧乏人の年子)

同  すれがらしのおなごし(擦れからしの女子)

同  かヽにまかれるていしゆ(かかに巻かれる亭主)

 

同  おなごのあんま(女子の按摩)

同  気のきいた風のあほう(気の利いた風の阿呆)

同  なりあがり者のぎり知らず(成り上がり者の義理知らず)

同  かゝけつのぜいもの(空穴の贅者)
【空穴】一文無し
【贅者】見栄っ張り

同  わかい人のしつやミ(若い人の疾病)

同  やまめのしらミ(やまめの虱)
【やまめ】一人暮らしの男

同  すゞミのあんま(涼みの按摩)

同  おなごのいもずき(女子の芋好き)

同  はなしずきのながじり(話好きの長尻)
【長尻】人の家に座り込んでなかなか帰らないこと。

同  へたのしやうぎずき(下手の将棋好き)

同  しやうだんするでつち(商談する丁稚)

同  ふろやでやたら二しやべる人(風呂屋でやたらにしゃべる人)

同  かヽをねさして朝おきする人(かかを寝させて朝起きする人)

行司 節季のつまらん人(節季の詰まらん人)
【節季】年二回の掛売支払い
【詰まらん】やり繰りがつかない

 

少ない方

大関 いろけはなれた出家(色気離れた出家)

関脇 太夫になるかむろ(太夫になる禿)
【禿(かむろ)】太夫などの遊女に仕えて、見習いをする少女

小結 しうとめにかう/\な嫁(姑に孝行な嫁)

前頭 白ねづミのばんとう(白鼠の番頭)
【白鼠】主家に忠実な番頭や雇人。

同  役しやのめいじん(役者の名人)

同  やうし婿のとくじつ(養子婿の篤実)

同  おやまのはらぼて(女形の腹ぼて)

同  しやうたくの子もち(妾宅の子持ち)

同  十年もつヾく薬やの客(十年も続く薬屋の客)

同  お家さまになるおやま(お家さまになる女形)
【お家さま】上方で、中流以上の商家の主婦を敬っていう語。

 

同  おとなしいおうば(おとなしい御乳母)

同  商売にせいだす息子(商売に精出す息子)

同  ぶぜにかしの泪もろいの(夫銭貸しの泪もろいの)
【夫銭】年貢以外に、使役やその代わりに納めさせた金銭

同  しろいもじの本むく(白い綟の本無垢)
【綟】麻糸で織った目の粗い布

同  やまひあがりのかミのけ(病上がりの髪の毛)

同  しつやミのむきず(疾病みの無傷)

同  仕にせの常店(老舗の常店)

同  おたふくのはなばしら(お多福の鼻柱)

同  素人浄るりの玉かぶ(素人浄瑠璃の玉歌舞)

同  二十五六のあらばち(二十五、六の新鉢)
【新鉢】処女

同  そうバはりのかねもち(相場張りの金持ち)

同  金もちでひげする人(金持ちで卑下する人)

同  江戸へ欠落して尻据る人(江戸へ欠落して尻据える人)
【欠落】駆け落ち

行司 せつきの払に仕かけせぬ人(節季の払いに仕掛けせぬ人) 
【仕掛け】だまし。ごまかし。

 

 

コメント (2)
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