故玩館のガラス建具を紹介します。
故玩館の内部は基本的に明治のままですから、書院横のガラス窓(改修時に撤去)を除いては、ガラスの建具はありませんでした。しかし、故玩館を大改修するにあたって、採光などの関係から、ガラス戸がどうしても必要となり、それらしき雰囲気の品を私が探し求めて、改修工事に組み入れました。
主な物は二つ。玄関を上がってすぐ、仏間との境の戸と台所の間仕切りの戸です。
まず、仏間の戸です。
92.6㎝x176.5㎝(1枚)。昭和。
花鳥模様が下方にあります。
このようなガラスは、すりガラスの一種で、ガラスに型を置いて金剛砂を吹き付けると、型の部分だけが透明なまま残り、模様になります。
すりガラスの部分が白っぽくなるので、透明の部分が黒く見える場合が多いです。この品は、線描き模様です。
もう一つのガラス建具は、台所の間仕切りです。
ここはもともと土間でしたが、床を張って部屋にしました。
71.3㎝x175.8㎝。昭和。
三枚の戸に、異なった模様が描かれています。
これは、松竹梅ですね。
しかも、先のガラス戸と違って、線描きではなく、メリハリのある絵画的表現になっています。
実は、この戸はもう一枚あります。
先の線描きの戸較べて、非常に重いです。ガラスが分厚いのです。木枠の黒漆も、本格的な塗りです。上手の品ですね。
この一枚を加えれば、元々は、松竹梅+牡丹の吉祥紋だったのです。台所の間口の大きさの都合で、松竹梅の3枚を使いました。
しかし、残りのこの一枚。もう、使途がありません。
この品も、粗大ゴミの運命です