哲学者、西田幾多郎の自作漢詩です。
全体:60.3㎝x192.6㎝、本紙(紙本):47.8㎝x129.5㎝。昭和10年。
青山連海盡潮水接
天流落日烟雲外只
看富岳浮 寸心
青山連海盡
潮水接天流
落日烟雲外
只看富岳浮
青山、海に連なりて盡き、
潮水、天に接(つづ)きて流る。
落日、烟雲の外、
只看る、富岳の浮かべるを。
昭和10年春、西田幾多郎、65歳の時の漢詩です。先日紹介した作品と同様、独特のほねホネ書体で書かれています。
西田は、哲学の研究のかたわら、短歌、俳句、漢詩をつくっていました。
今回の作品は、京大を定年退官した後、哲学論集を纏めていた頃につくられたものです。
移り住んだ鎌倉の情景を詠んだのでしょうか。壮大な世界が広がっていますね。
ps.『西田幾多郎遺墨集』(昭和58年、一灯燈園 燈影舎)に未掲載の作品です。