先回に続いて、面白古文書『金玉尽・鳥尽』の2回目です。
右中段(2段目)が今回の金、玉尽くしです。きんと玉が交互にビッシリと書かれているので、思ったよりも多くの金、玉があります(^^;
前頭 膳腕の布きん
(膳椀の布巾)
前頭 市月の親玉
(市(の)月の親玉)
前頭 福のハ雑きん
(拭くのは雑巾)
前頭 おがむはじゆず玉
(拝むは数珠玉)
前頭 奉公人ノ給きん
(奉公人の給金)
前頭 身ニしミる車錀玉
(身にしみる車錀玉)
前頭 丸イガ甲きん
(丸いが甲錦)
前頭 手つまが品玉
(手妻が品玉)
前頭 家のかきん
(家の瑕瑾)
前頭 初春のとし玉
(初春の年玉)
前頭 江戸は現きん
(江戸は現金)
前頭 鯉にはにが玉
(鯉には苦玉)
前頭 ○○○に南きん
前頭 緒じめの砂金玉
(緒締めの砂金玉)
前頭 ◯しの◯きん
前頭 珊瑚珠の血玉
(珊瑚珠の血)
前頭 往来の庭きん
(往来の庭訓)
前頭 お杉にお玉
(お杉にお玉)
前頭 飯屋茶きん
(飯屋茶巾)
前頭 組大夫ハあゐ玉
(組大夫は藍玉)
前頭 掛月の一ツきん
前頭 稲荷に宝珠玉
(稲荷に宝珠玉)
前頭 不作ノ飢きん
(不作の飢饉)
前頭 大見世ハ本玉
(大見世は本玉)
【甲錦(こうきん)】蜀甲錦。丸い模様が連続した錦地。
【品玉(しなだま)】手妻、すなわち手品のこと。
【瑕瑾(かきん)】恥、名折れ
【苦玉(にがたま)】魚の胆嚢、強烈な苦味あり。
【砂金玉(さきんたま)】ガラス玉の一種。
【血玉(ちたま)】血赤珊瑚、血玉珊瑚。
【庭訓(ていきん)】庭訓往来。手紙の形態をとって、武士や庶民に必用な知識をおさめた書物。寺子屋でも使われた。
【お杉、お玉】江戸時代、伊勢神宮の内宮と外宮の中間の山間に小屋掛けして、三味線や胡弓などをひいて歌い、旅人から銭をもらっていた女芸人。当時、全国的に有名だった。
【藍玉】義太夫の藍玉(竹本)組大夫。
【大見世】遊郭は、その大きさによって、「大見世」、「中見世」、「小見世」とわかれていた。
【本玉】芸娼妓の中の主だった者。
どうでもよい物やあまり上品でない品ばかりですが、浮世のゴミやしがらみをしばし忘れていただくのに少しでもお役に立てれば、望外の幸せです(^.^)
こういう物にも、作者のクセみたいなものがあります。そのパターンをつかんだ上で、あれこれ詮索してゴールを探ります。そうは言っても、遊郭や歌舞伎、浄瑠璃は遠い世界のことですから、全くピンと来ません(^^;
ただ、ごくまれにすぐわかるのもあります。苦玉は、昔、釣った鯉を料理する時、つぶさないよう気をつかっていたからです(^.^)
とにかく、こういう類のことは、お堅い成書には出てきませんから、当時の庶民の関心がどこにあったかがうかがえて、何だか得をした気になります(^.^)
勿論、解説付き、現代語訳をしたものでですが、、、(^_^)