先回のブログの続き、おもしろ古文書 『天候五穀作柄予知百撰』の2回目です。今回は、各月、季節、節句などにおける天候と農作物の作柄予知です。写真の番号は、最初からの通し番号です。
④
一.二月二〇日天晴れバ米安し
一.三月に三ツ卯の日あれバ其年凶にして米大に高し
一.春分の日に東風吹バ麦安し
其年豊なり又南風吹バ五月に大水出る也又後々ひでりなり
亦西風吹バ麦高し又北風吹バ米大に高し
一.春の甲子の日に雨降バ其年大にひでりなり
⑤
一.夏の甲子日に雨降れバ其秋洪水有
一.春夏秋冬の甲申の日に風雨有バ米穀暴(にわか)に高し又小雨なれバ高し大雨ならバ大に高し
一.春の巳丑日に雨ふれバ米穀高し
一.五月朔日に風雨あれバ其年五穀実らず米大に高し
一.春の甲寅日乙卯の日雨ふれバ夏に至りて五穀高し
⑥
一.春の庚寅の日あり癸巳日に至りて雨ふれバ米高し
一.夏丙寅の日丁卯日に雨ふれバ秋に至りて米穀大に高し
一.夏の庚寅の日辛卯の日に雨ふれバ麦安し
一.秋の庚寅の日辛卯の日に雨降は其冬に至て米穀大に高し
一.冬の壬寅の日癸卯日雨ふれは来春に至て米穀高し
⑦
一.冬庚寅日癸巳日雨降バ米高し
一.六夏の日巳時東南に青雲あらバ大豊年也青雲なけれバ大凶なり
一.夏至の日午時南方に赤雲気有バ百穀大に宜し又赤雲なく日月光薄けれバ五穀みのらず
一.夏至の日に北風吹バ米穀豊なり
一.夏至五月三日に当れば米高し亦夏至上旬にあれバ米安し
一.夏至に南風吹ば秋に至り米穀大に熟す之また西風吹バ秋に至りて大雨ふるなりまた北風吹バ山より大水出る之
⑧
一.立秋の日申の時に西南の方に赤き雲あらば其秋よろしからず亦来年正月に地震有べし
一.七月七日の夜天の河の中に白気光曜の五色あり是を徹應とす見る者則拜して富貴を祈り亦壽命を祈り亦子なきものバ子を祈るなり只一をねがへば三年の内かならず其願成就するなり
一.七月十五日二七日午刻に風を到るなり風吹ざれバ必す雨降るなり
一.八月二日八日十七日十九日は皆風をつかさどるなり風吹ざれバかならす雨降也
一.八月三日十六日二三日二七日皆辰の刻に大風を出る也
⑨
一.八月に甲寅日巳丑日有は其日かならず風吹なり
一.八月社日に雨ふれバ来年に至り五穀豊にみのる之
一.八月社日の前に秋分の日あらバ米大高し
一.亦社日の後に秋分の日あらバ米安し大豆高し
一.秋分の日に東風吹バ万物みのらず又五穀高し亦南風吹バ凶なり又西風吹バ豊年なり亦北風吹バ冬に至り寒風をつかさどる之
一.冬至の日に天晴て温なれバ来年麦豊作なり
一.冬至の後一日に壬の日有は旱りする事千里之二日に有バ旱無数亦四日にあれバ五穀豊年なり亦六日にあれバ大水出る也
亦八日にあれバ海ひるがへるなり又九日に有バ麦作よし又十日あれバ五穀よし
注:
何年何月何日が、60干支のどれに当るかは、干支カレンダーなどを参照すればわかります。
⑤ 朔日;1日
⑦六夏;旧暦の夏は、4,5,6月でしたから、6月のことだと思われます。
⑧の2つ目の項目
一.七月七日の夜天の河の中に白気光曜の五色あり是を徹應とす見る者則拜して富貴を祈り亦壽命を祈り亦子なきものバ子を祈るなり只一をねがへば三年の内かならず其願成就するなり
光曜;光輝くこと
則拜;即拜の当て字と思われます。
後漢の崔寔の『四民月令』に次のようにあります。上の天の川についての記述は、これに依ったのでしょう。
「七月七日.曝經書.設酒脯時果.散香粉
於筵上.祈請於河鼓織女.言此二星神當
會.守夜者咸懷私願.或云.見天漢中.
有奕奕正白氣.如地河之波.輝輝有光曜
五色.以此為徵應.見者便拜乞願.三年乃得.」
⑨社日;社日(しゃにち)とは、土地の神様(産土神)を祀る日で、秋、冬の2回あります。春分と秋分に最も近い戊 (つちのえ) の日に、春には五穀豊穣を祈り、秋には収穫に感謝します。
今年の立春の暦を見てしまいました。この豪雨は止むかな?と思って。
私も古い本をひたすら読んでおりますが、結構読めず、四苦八苦しております。
所で、最後の之は也ですね。
「ちょっと便利帳」変体仮名の最後の「合略仮名」で確認下さい。最近漢詩送り片仮名でどう見てもシテなのに読めんと思って探した時にありました。
ところで、小生のblogのトップに貴blog紹介記事を真似て、コロナ終息祈願コレクション「年中行事絵巻 祇園会」を表示しておりますので、合わせてご覧頂ければ幸いです。早く終息して欲しいですね。
又お邪魔しますね。
拙句
今日も雨窓をながめむ夏ごもり
早速、訂正しました。
必死で読んでも、不明点残ります。思い違いも多々。見切り発車です(^^;
あらかじめ添削をお願いした方がよさそうです。
早く、自閑さんのようにスラスラ読めるようになりたいです(多分無理ですが)。
「年中行事絵巻 祇園会」、拝見しました。貴重資料ですね。
「いついつに〇〇なら、△△になる」
という簡単な文章です。
これが、長年の経験にもとづくものなのかどうかは、わかりません。
ただ、⑧の最期の項目などは、今でいう、二百十日や二百ニ十日などに相当すると思われますから、経験データも反映されているのではないでしょうか。
次回は、太陽、月、雲などによる天気予報です。経験による言い伝えが主で、今でも参考になるのではないでしょうか。
非科学的と現代社会は思うかも知れませんが
私は受け入れます
次回天気予報とか・・
観天望気に興味を持ちましたね
楽しみにしております
コロナ時代になって家に籠ることが多くなると、以前より雲や風に注意がいくようになりました(^^;
豊穣と飢饉が背中合わせの江戸時代には、天候は死活に直結しましたから、経験則が重要な意味をもっていたと思います。