遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

鼓箱と小鼓

2022年03月24日 | 能楽ー工芸品

先のブログで、江戸時代の粋な鼓箱を紹介しました。このような鼓箱は特別の品です。

一般には、必ずしも鼓に箱が付いているわけではありません。現在では、裸の品の方が多いです。

けれども、長年鼓を扱っていると、いろいろな鼓箱が自然に集まって来ます。そこで、今回、まとめて眺めてみる事にします。

5個あるので、A~Eまで番号をふりました。

鼓箱A:

29.4㎝ x 22.8㎝、高 22.7㎝。江戸後期ー明治。

桐で出来ていて、金具が付いています。内側には、古紙が貼られています。上面は、わずかにアールになっています。

 

鼓箱B:

29.0㎝ x 23.4㎝、高 27.8㎝。昭和。

頑丈な木でできています。比較的新しい品です。戦後? 蓋の上面はフラットです。

 

鼓箱C:

29.2㎝x23.6㎝、高23.3㎝。大正。

桐製で、上面がわずかにアールになっています。外側は、柾目の桐ですが、内側には節があります。よくみると、外箱の内側に、別の桐板を入れて2重にしてあります。前桐の箪笥のように、見える所が柾目になっているのですね(^^;

 

鼓箱D:

29.7㎝ x 22.2㎝、高 23.6㎝。江戸時代。

相当古い鼓箱です。上面のアールはきついです。内側には、金蘭の布地が貼ってあります。品物の時代は、江戸中期よりも遡るかも知れません。もともとは全面漆塗りだったのですが、今はかなり剥げています。下地の砥粉が現れて白くなっているところは、汚れに見えてみすぼらしい。早く、黒漆を塗らなければ(^^; 

 

鼓箱E:

28.9㎝ x 22.0㎝、高 23.1㎝。現代。

保管と運搬を兼ねた箱です。外での練習や鼓の会の時には、必要な小物一式とともに、この箱に入れて持ち運びます。かなりの数の小鼓を持っていますが、実際に使う物は限られています。最近は、家での練習以外は、蕪蒔絵小鼓がmy小鼓。この箱に入れて、お出かけ(^.^)

 

さて、ここで問題です。

以上、5種類の鼓箱A~Eを紹介しましたが、その中に次の写真のどれかが入ります。小鼓a~eは、どの鼓箱と組み合わさっているでしょうか。

いくらなんでも、これは難しすぎますね。ヒントも兼ねて、若干の説明をします。

小鼓a:蕪蒔絵小鼓

江戸中期の名品です。外での稽古、発表会にはこの鼓を使います。粗相はできないので、大切に持ち運びしています。そのために、専用に作られた鼓箱を使っています。

 

小鼓b:

芭蕉の葉をモチーフにした装飾が施されています。どことなく、大正モダンの香りが漂います。

 

小鼓c:

笹の葉が描かれた鼓です。新しい物です。

 

小鼓d:

黒無地の鼓、いわゆる烏胴です。非常に使い込まれていて、黒漆が擦りきれています。木も枯れていて、軽いです。江戸初期まで遡るかも知れません。私の持っている鼓胴のなかでは、一番古いです。

 

小鼓e:

松葉が全面に描かれた鼓です。先回の根引松蒔絵菓子皿とよく似た蒔絵が施されています。但し、鼓の場合は曲面に描くので、蒔絵の難易度は上がります。江戸後期~明治頃の品だと思われます。

以上、鼓箱A~Eと小鼓a~eのなかから、時代などを参考にして、鼓箱と小鼓の組み合わせ(5組)を作って下さい。

連絡は、メッセージを送る(頁左上)からお願いします。

エントリーされた方には、もれなく、『故玩館への招待』(論創社、2009年、全173頁)を贈呈します。


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 根引松蒔絵菓子皿(5枚) | トップ | 見台2.観世組立式譜面台 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遅生さんへ (Dr.K)
2022-03-24 18:46:02
小鼓も鼓箱も沢山持っているんですね。
能に関するコレクションは相当に充実していますね(^-^*)

なお、小鼓と鼓箱との組み合わせのメッセージは、「メッセージを送る」から送ります。正しいか、間違っているかはわかりませんが、、、。
返信する
Dr.kさんへ (遅生)
2022-03-25 08:13:38
能楽堂などで、時々、関連する品の展示をしていますが、私の場合は、選りすぐりのガラクタです(^^;から、当然およびはかかりません。かく言う私も、何十年か前、海津能会場で愛知県の能愛好者のコレクションが展示されているのを見て、何とか自分もと考えて集め始めたのです。今からすれば、展示してあったのはどうということもない明治の能浮世絵だったのですが、その時にはショックを受けました(^.^)

つまらないクイズですが、老化防止の頭の体操になるかと思い作ってます(^^; エントリーして下さる方は、慈悲深いボランティア精神の持ち主(^.^)
返信する
遅生さまへ (くりまんじゅう)
2022-03-25 11:42:23
写真や動画で観る小鼓とはえらい形がちがう この湯飲みを
両端にくっつけたようなものが小鼓?それとも砂時計?とYouTubeを観たら
この湯飲みの両端に 太鼓の皮のようなものをつけて それであの
ポンという 澄んだ美しい音が出るのですね。

蒔絵が美しいです。これが遅生さまの肩を 上がらなくしている
美しき犯人ですね。
返信する
くりまんじゅうさんへ (遅生)
2022-03-25 14:00:33
普通の人が見る小鼓は、両側に皮をつけた形のものですよね。でも、これは使うときだけの形です。それ以外の時は、胴と皮を別にしておきます。そのままにしておくと、皮が傷んでしまうからです。

微妙な楽器ですから、湿度や温度に敏感です。演奏の途中でも、調子が変わってきます。ちなみに、ポゥンという音が出るまでには、習い始めてから3ー5年が必要です。楽に打っているように見えますが、キツイです。特に、打っていない方の手と肩がジーンハックマン(^^;

鼓の値段の半分以上は蒔絵の値段です。残りが、時代の古さと楽器としての能力。本当の価値は、この逆の順序なのですが(^.^)
返信する

コメントを投稿