先のブログで、江戸時代の粋な鼓箱を紹介しました。このような鼓箱は特別の品です。
一般には、必ずしも鼓に箱が付いているわけではありません。現在では、裸の品の方が多いです。
けれども、長年鼓を扱っていると、いろいろな鼓箱が自然に集まって来ます。そこで、今回、まとめて眺めてみる事にします。
5個あるので、A~Eまで番号をふりました。
鼓箱A:
29.4㎝ x 22.8㎝、高 22.7㎝。江戸後期ー明治。
桐で出来ていて、金具が付いています。内側には、古紙が貼られています。上面は、わずかにアールになっています。
鼓箱B:
29.0㎝ x 23.4㎝、高 27.8㎝。昭和。
頑丈な木でできています。比較的新しい品です。戦後? 蓋の上面はフラットです。
鼓箱C:
29.2㎝x23.6㎝、高23.3㎝。大正。
桐製で、上面がわずかにアールになっています。外側は、柾目の桐ですが、内側には節があります。よくみると、外箱の内側に、別の桐板を入れて2重にしてあります。前桐の箪笥のように、見える所が柾目になっているのですね(^^;
鼓箱D:
29.7㎝ x 22.2㎝、高 23.6㎝。江戸時代。
相当古い鼓箱です。上面のアールはきついです。内側には、金蘭の布地が貼ってあります。品物の時代は、江戸中期よりも遡るかも知れません。もともとは全面漆塗りだったのですが、今はかなり剥げています。下地の砥粉が現れて白くなっているところは、汚れに見えてみすぼらしい。早く、黒漆を塗らなければ(^^;
鼓箱E:
28.9㎝ x 22.0㎝、高 23.1㎝。現代。
保管と運搬を兼ねた箱です。外での練習や鼓の会の時には、必要な小物一式とともに、この箱に入れて持ち運びます。かなりの数の小鼓を持っていますが、実際に使う物は限られています。最近は、家での練習以外は、蕪蒔絵小鼓がmy小鼓。この箱に入れて、お出かけ(^.^)
さて、ここで問題です。
以上、5種類の鼓箱A~Eを紹介しましたが、その中に次の写真のどれかが入ります。小鼓a~eは、どの鼓箱と組み合わさっているでしょうか。
いくらなんでも、これは難しすぎますね。ヒントも兼ねて、若干の説明をします。
小鼓a:蕪蒔絵小鼓
江戸中期の名品です。外での稽古、発表会にはこの鼓を使います。粗相はできないので、大切に持ち運びしています。そのために、専用に作られた鼓箱を使っています。
小鼓b:
芭蕉の葉をモチーフにした装飾が施されています。どことなく、大正モダンの香りが漂います。
小鼓c:
笹の葉が描かれた鼓です。新しい物です。
小鼓d:
黒無地の鼓、いわゆる烏胴です。非常に使い込まれていて、黒漆が擦りきれています。木も枯れていて、軽いです。江戸初期まで遡るかも知れません。私の持っている鼓胴のなかでは、一番古いです。
小鼓e:
松葉が全面に描かれた鼓です。先回の根引松蒔絵菓子皿とよく似た蒔絵が施されています。但し、鼓の場合は曲面に描くので、蒔絵の難易度は上がります。江戸後期~明治頃の品だと思われます。
以上、鼓箱A~Eと小鼓a~eのなかから、時代などを参考にして、鼓箱と小鼓の組み合わせ(5組)を作って下さい。
連絡は、メッセージを送る(頁左上)からお願いします。
エントリーされた方には、もれなく、『故玩館への招待』(論創社、2009年、全173頁)を贈呈します。
能に関するコレクションは相当に充実していますね(^-^*)
なお、小鼓と鼓箱との組み合わせのメッセージは、「メッセージを送る」から送ります。正しいか、間違っているかはわかりませんが、、、。
つまらないクイズですが、老化防止の頭の体操になるかと思い作ってます(^^; エントリーして下さる方は、慈悲深いボランティア精神の持ち主(^.^)
両端にくっつけたようなものが小鼓?それとも砂時計?とYouTubeを観たら
この湯飲みの両端に 太鼓の皮のようなものをつけて それであの
ポンという 澄んだ美しい音が出るのですね。
蒔絵が美しいです。これが遅生さまの肩を 上がらなくしている
美しき犯人ですね。
微妙な楽器ですから、湿度や温度に敏感です。演奏の途中でも、調子が変わってきます。ちなみに、ポゥンという音が出るまでには、習い始めてから3ー5年が必要です。楽に打っているように見えますが、キツイです。特に、打っていない方の手と肩がジーンハックマン(^^;
鼓の値段の半分以上は蒔絵の値段です。残りが、時代の古さと楽器としての能力。本当の価値は、この逆の順序なのですが(^.^)