竹花器のブログ紹介が一段落しました。他に、竹の物はないかと探したところ、灯台下暗し、能で使う笛、能管がありました。
コロナでぐずぐずしていて、謡だけでなく、小鼓と能管も一服状態が続いています。この二つの和楽器の演奏では、掛け声をかけたり、激しく息が飛んだりするので、コロナ下、単独で音を出すより仕方ないからです。したがって、大したことのない私の技量も足踏み状態(^^;
しかし、楽器だけならOKと勝手に自分に言い聞かせて、物色をしていました。その結果、あらたに能管を3本ゲット。コロナ下でも能管道楽の本領発揮といったところでしょうか(^.^)
この3本が、入手した能管です。以前のブログで、能管道楽、遅生の所蔵品、能管、5本を紹介しましたが、今回の品は、それらに勝るとも劣らぬ能管です。写真、下から順に紹介します。それぞれの特徴をもとに、適当な名称をつけました。
八割返し能管:
長 38.9㎝、最大径 2.2㎝、重 118g。
頭金は尖った金属。
この品は、竹をそのまま使った能管ではなく、竹を一度いくつか(八ッが多い)に割り、それを裏返して接着し、丸竹に作り直した材料を能管に仕立てています。
よく見ると、切り口には、八ッ割りの後が見えます。
吹いてみると、幅広い音域で素直に音が出ます。これは、八ッ割能管の特徴です。しかも、以前に能管道楽で紹介した八ッ割能管よりも力強い音です。八ッ割能管は作るのに手間がかかるため、通常の能管よりも高価です。が、この品はお値打ちにゲットすることができ、貧乏コレクターとしてはうれしい限りです(^.^)
金属補強能管:
長 39.2㎝、最大径 2.5㎝、重 145g。
通常の能管ですが、
下端が銀板で覆われています。
非常にきっちりと巻いてあり、継ぎ目もどこにあるかわからないほどです。能管は竹に少しでもヒビが入ると、全然音が出ません。それを金属で直したのでしょうか。しかし、このように覆うだけではヒビが入ったままなので、音は戻りません。すると、補強と装飾を兼ねた細工なのでしょうか。
このような品には初めて遭遇しました。鋭い音の出る能管です。
糸巻能管:
長 39.1㎝、最大径 2.7㎝、重 122g。
これといった特徴のない能管です。
しかも、歌口(吹き穴)の下側、口が当たる部分の塗りが剥げています。
巻きも、樺巻きではなく、チープな糸巻です。
うーん、これは駄品をつかまされたか(^^;
ということですが、
この3本を吹き比べてみると、最後に紹介した一番上の品が、抜群の音色なのです。多くの能管のように鋭い金属音ではなく、柔らかくまとわりつくような落ち着いた音色です。しかも、出し難い低音や高音も楽々と吹けてしまいます(私の技量でも(^^;) これまで、10本以上の能管を吹いてきた能管道楽の私ですが、ついに、最良の伴侶をみつけたという次第です。
人と同じで、楽器も見かけによらないものですね(^.^)
その後、能管を3本もゲットしていたのですか(^_^)
しかも、最良の伴侶となる能管を見つけたのですね(^-^*)
これはもう、カラダに染み付いたサガですね(^^;
楽器は鳴ってナンボの物ですから、吹いてみるまでは本当の価値はわかりません。しかも、能管の場合は使っているうちに育つという側面があるのでよけい難しいです(^.^)
能管もいろいろあるのですね。
並べた写真を見ると長さが違うようですが、音程が違わないのですか?
通常長くなると低い音になると思うのですが?
フルートはだいたい同じ長さで長さが変わるとピッコロ、アルトなど別の楽器になってしまいます。
お教え下さるとうれしいです。
能管は、竜笛から派生したといわれていますが、雅楽で用いられる竜笛と異なり、能では能管は一人で演奏を担当しますので、絶対的な音程の調整はありません。絶対音と音階も管ごとに異なっています。長いもの(といっても、1㎝もちがいませんが)は低く、短いものは高いです。実際に吹いた感じは、長い物は低音域に強く、短い物は高音域が出しやすいです。オールラウンドの能管はなかなかありません。ですから、我々素人は音を出すのが精一杯です(^^;
当然、旋律を担当しますが、能管は吹く打楽器と言われているように、能のリズムを先導するので、音の高低よりも強弱が重要になります。
また、7個あけられた穴によって、竜笛は西洋音階と同じ変化をするのに対して、能管は内部に入れられた細竹で管の内が細く縊れています。そのため、能管独特の音階になります。音も鋭いです。
どうしてこのように奇妙な楽器が生まれたのかは定かではありません(^.^)
勉強になりました。