Controversial Chapters in the Story of Fukushima

2012-04-03 13:45:36 | 日常
東電福島第一原発事故で論争となっていることが二つあります。
・ベントがなぜ遅れたのか
・東電が原発からの全面撤退を申し入れたというのは、官邸の誤解
だったのか
 
BBCの番組This World 2012 Inside the Meltdownには、その論争を解明する
上でヒントになりそうな証言がたくさんありました。番組全体を書き起こせたら
よいのですが、その時間がありません。コロ子が重要と判断した部分だけ
聞き取って文字にしました。(若干の誤りと誤訳はゆるしてください)
 
登場人物 菅総理、古森明生東電常務、Yukio Murakami(TEPCOの原子力
エンジニア、現在もプラントで働いているため仮名)、Takashi Sato(原子炉
検査員 既に辞職)、BBC Narrator(ナレーター)
 
・ベントがなぜ遅れたのか?
 
菅総理:全員が、これはもうベントをやらざるを得ないと。やりましょうという
ことで、じゃあ解りました、やってくださいと、こう言ったんです。
 
BBC Narrator:But there was something TEPCO wasn’t telling the
government. The company had never envisaged they might have to vent
a reactor without electricity.  They didn't know how to do it.
だが、東電が政府に伝えていないことがあった。手動でベントするなんて思いもした
ことがない。彼らは、どうすればよいのか解らなかったのだ。
 
Yukio Murakami:ベント弁は基本的にモーター駆動でMO弁になります。MO弁です
ので、電源がなければ普通は開きません。手動でも開くんですけれども、かなりの
労力がかかる弁です。
 
BBC Narrator:In the darkness of the reactor 1 control room, the workers
pored over blueprints to try to work out how to open the vents.
一号機コントロールルームの暗闇で、職員はどうやって弁を開けばいいのか、設計
図を凝視した。
 
Yukio Murakami:菅ちゃんが怒ってたと思うんですけれども、菅総理が。国は
指示出してんのに何やってんだ東電は。必死になって対応しようとしていた。
MO弁が開かなかったっていうのが裏にあって。簡単に開かなかった。一所懸命
やろうとしてんだけど、追いつかなかっただけなんですよね。
 
 
・東電が原発からの全面撤退を申し入れたというのは、官邸の誤解だったのか
 
古森明生東電常務:プラントの状況によっては、一部保安をしっかり守るという
人を除いて退避を検討すると、そういう可能性が出て来るだろうと、そういう
ことで、検討をするという話を、まあ、あのう、国の方にはお伝えをしております。

BBC Narrator:What happened next has become one of the most
controversial chapters in the story of Fukushima.  That night, the Prime
Minister was woken to the disturbing message. He was told that TEPCO
planned to withdraw every last worker, total surrender.  There was no
mention of leaving some men behind to keep control of the plant.
次に起ったことは福島を語る上でもっとも論争となっていることである。その夜、
総理は憂慮すべきメッセージで起こされた。東電が全面撤退を計画していると伝え
られ、プラントに要員を残すとの言及はなかったというのだ。

菅総理:私自身は撤退はありえないと元々思っていました。つまり撤退するという
ことは6つの原子炉と7つの使用済みの燃料プールを、いわば放棄すると。放棄
してどうなるかというと全部がメルトダウンして、まさにチェルノブイリの何十倍
という放射性物質が巻き散らされることになる。

BBC Narrator:At that moment in Fukushima, the plant manager, Masao
Yoshida had gathered all the workers together.
その時福島では、吉田所長が全職員を集めていた。
 
Yukio Murakami:吉田所長が「これから避難を始めたいと思います」と。で、
その時点で吉田さんはもう覚悟を決めて、彼はそこで死ぬつもりだったんだろう
けども、とりあえず「250人殺すわけにいかないので、帰ってくれ」と。
「もうここまでやったんだから、しょうがない」と。「これ以上は手段も何も
ないから、帰ってくれ」と。
Takashi Sato:発言的にはちょっとあまり良くないのかもしんないですけど、
私はもうほっとしました。早く(福島第一から)出たい。
 
BBC Narrator:Meanwhile the Prime Minister was arriving at TEPCO
headquarters in Tokyo, determined to stop the withdraw.
一方では、撤退を止めさせる決意をした首相が東電本社に到着しつつあった。
 
 

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