日本では、これまで長年にわたり、地方の医師派遣の役割は大学の医局が担ってきました。しかし、最近、特に地方においては、多くの診療科で大学の医局員数が減少し、大学医局に医師派遣機能を果たすだけの人的余裕が徐々に失われつつあり、おそらく、将来的には大学の役割もだんだん変化し、教育機関としての役割に特化され、大学から地方病院への医師派遣は今後あまり多くを期待できなくなっていくものと予想されます。
従って、今後は、地域で必要な医師は、地域で自力調達し、地域で育成していく以外にないような厳しい時代に突入していくのかもしれません。
若手医師を呼ぶためには、専門医資格が取れる施設であることが必須条件です。そのためには、指導医陣の確保、医療設備の整備、豊富な症例数などの条件が絶対に必要となります。現状では、そのような条件を満たす病院が地方には少なく、若手医師が都会の病院に集中しやすい状況になっています。
個々の病院の努力だけで、この状況を一気に変革しようとしても、絶対に無理です。将来的に地域で必要な人材は地域で確保・育成できるようになることを目指して、地域で一体となって、この問題に長期戦で取り組んでいく必要があると思います。