ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

飯田市立病院から下伊那日赤に産科医派遣も 飯伊医療圏の産科体制が新局面に

2007年08月30日 | 飯田下伊那地域の産科問題

全国的、全県的に、地域産科医療体制の崩壊地域がどんどん広がりつつあり、この難局を一病院、一自治体の努力だけで何とか打開しようとしても、絶対に無理だと思います。地域全体で一丸となって、一致団結して、この難局に対応していくことが大切だと思います。

また、地域の周産期医療は、この半年、この1年が何とか持ちこたえさえすればいいというものでもありません。次の世代の10年先も20年先も、持続可能な地域の周産期医療システムを構築していくことが重要です。

そのために、今、最も求められていることは、地域の周産期医療提供体制の新たな担い手として、毎年多くの若い力に加わってもらえるように、地域基幹病院の研修環境を充実させることだと思います。

そもそも若者が全く参入して来ないような世界に決して明るい未来はあり得ません。多くの若者達が安心してこの世界に参入できるように、充実した研修・指導体制、余裕のある勤務体制、楽しい職場の雰囲気、待遇面での十分な配慮など、魅力のある研修環境を地域の病院の中に創り上げていくことが大切だと思います。

****** 医療タイムス、長野、2007年8月30日

飯田市立病院から下伊那日赤に産科医派遣も

~飯伊医療圏の産科体制が新局面に

 飯田下伊那の産科体制について検討する「産科問題懇談会」(会長・牧野光朗南信州広域連合長)は28日、下伊那赤十字病院の産科医師の退職などに伴う新たな産科体制などを検討した。飯田市立病院から下伊那日赤に産科医師を派遣し、下伊那日赤では婦人科外来のみを継続する案などが出され、今後も継続して審議していくこととなった。

 飯伊医療圏では昨年から、飯田市立病院を拠点病院とし、分娩可能な2つの診療所と妊婦健診をなど担当する4つの医療機関が独自の「共通カルテ」による情報の共有化を図り、各医療機関が連携してお産に対応するセミオープンシステムを導入。これまでのところ順調に進んでいる。

 しかし、下伊那日赤の産科医が来年3月末で退職し、産婦人科を閉鎖せざるを得ない状況が明らかになったほか、隣接する上伊那医療圏では、年間500件前後のお産を取り扱っている昭和伊南総合病院が来年4月から分娩を中止することから、現行の産科システムへの影響が懸念されている。

 同日の懇談会では、年に数人の分娩と1日10~20人の妊婦健診を受け入れている下伊那日赤の後医療体制が論点となり、飯田市立病院の千賀脩院長は、「下伊那日赤の産婦人科がなくなることは下伊那北部の妊産婦にとって大きな負担と不安を与えることになる」とした上で、市立病院の産科医1人の増員などを条件に、下伊那日赤に産科医を派遣する用意があると提案した。

 具体的には平日、市立病院から下伊那日赤に医師1人を派遣し、妊婦健診や婦人科外来、がん検診、不妊外来などを行う。合わせて、分娩件数の増加に伴い手狭になりつつある施設を改修、昭和伊南病院の産科休止に伴い、増加することが予想される分娩にも対応していきたい方針を示した。課題となる医師増員について千賀院長は「来年には1人増える可能性が出ている」とした。

(以下略)  

(医療タイムス、長野、2007年8月30日)