Q457 卵管癌について正しいのはどれか.2つ選べ.
a)×患者の平均年齢は約40歳である →55歳
b)○水様性帯下は特徴的な症状である
c)×細胞診でスクリーニングできる
d)○MRI などの画像診断が有用である
e)×化学療法は無効である
解答:b、d
a)患者の平均年齢は55歳で、約半数が閉経後である。
c)細胞診が陽性となる頻度は低い。
e)術後化学療法(CAP、TJ)は有効である。
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Q458 卵巣腫瘍全般について正しいのはどれか。2つ選べ。
a)○女性が生涯で卵巣腫瘍を発生する確率は5%程度である
b)×発生頻度は表層上皮性・間質性腫瘍よりも胚細胞性腫瘍の方が高い
c)×子宮内膜症性嚢胞は性索間質性腫瘍の一種といえる
d)×ホルモン産生腫瘍の多くは表層上皮性・間質性腫瘍である
e)○成熟嚢胞性奇形腫は胚細胞腫瘍の良性群に分類される
解答:a、e
b)わが国の頻度は、表層上皮性・間質腫瘍が60~70%、胚細胞腫瘍が30%、性索間質性腫瘍が6%、その他が約4%である。わが国では欧米に比して明細胞腺癌と胚細胞腫瘍の頻度が高い。
c)子宮内膜症性嚢胞は類腫瘍病変 Tumour-like lesionsの一種といえる。
d)性索間質性腫瘍の多くはホルモン産生性である。
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Q459 卵巣腫瘍の術前診断で正しいのはどれか。2つ選べ。
a)×漿液性嚢胞腺腫では血中CA125値が上昇する
b)○粘液性嚢胞腺腫は多房嚢胞性の腫瘍が多い
c)×莢膜細胞腫はしばしば男性化兆候を伴う
d)○成熟嚢胞性奇形腫ではCA19-9値の上昇をしばしば認める
e)×MRI T1強調で高信号を示す部分は脂肪組織と診断される
解答:b、d
c)莢膜細胞腫(thecoma)の好発年齢は閉経期以降の中高年層であり、約1/3の症例で顆粒膜細胞と同様のホルモン活性(通常はestrogenic)を示す。生物学的には常に良性とされている。
e)T1強調で高信号を示す場合は脂肪または血液である。脂肪成分の存在は、T1強調で高信号、T2強調で中等度の信号、Chemical shift artifactの存在、脂肪抑制画像による信号抑制により診断される。
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Q460 卵巣の類腫瘍病変で正しいのはどれか。2つ選べ。
a)○更年期にしばしば認められる機能性嚢胞は卵胞嚢胞である
b)×正常妊娠の初期に認められる嚢胞はルテイン嚢胞という
c)×出血性黄体嚢胞は超音波検査にて充実性エコー像を呈する
d)×多発性黄体化卵胞嚢胞の発生は、通常、片側性である
e)○多発性黄体化卵胞嚢胞は粘液性嚢胞腺腫と誤診されやすい
解答:a、e
a)卵胞嚢胞は排卵が障害され卵胞が存続することによるもので、更年期の機能性出血の際にしばしば認められる。直径3~5cmの球形嚢胞で、超音波にて内部に均一で低輝度の液体を含有する。時間経過とともに縮小する。
b)正常妊娠の初期に認められる黄体嚢胞(黄体化卵胞嚢胞)は、片側性でhCGの刺激によりかなり大きくなり比較的長期間存続しうるが、時間経過とともに縮小する。
c)出血性黄体嚢胞は排卵や黄体形成の際の卵胞内出血が通常より増量したもので、下腹部痛または不快感を伴うことが多い。超音波では嚢胞内部に特有の網状エコー像が観察され、これは凝血塊と析出フィブリンによるものとされる。
d)e)多発性黄体化卵胞嚢胞(黄体化過剰反応)は絨毛性疾患の際に多く認められるが、まれに正常妊娠においても出現する。両側性で臨床的にルテイン嚢胞と呼ばれる。拡張した黄体化卵胞嚢胞が多数観察され、卵巣径が20cmにも達する。粘液性腺腫と誤診されやすい。
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Q461 卵巣腫瘍の治療で正しいのはどれか。2つ選べ。
a)×類腫瘍病変のうち径5cmを超える腫瘤は手術を行う
b)○良性腫瘍の基本術式は患側卵巣腫瘍摘出(核出)術である
c)×茎捻転を起こしている場合は付属器切除術を要する
d)×成熟嚢胞性奇形腫は良性の診断が確実ならば手術を行わない
e)○不妊症患者の子宮内膜症性嚢胞に対しては外科的治療を行う
解答:b、e
a)類腫瘍病変が疑われる場合は基本的に経過観察とする。
b)良性腫瘍で、妊孕性温存を要する若年女性では、原則として卵巣腫瘍摘出(核出)術を行う。
c)茎捻転により全体が壊死に陥っている場合は付属器切除を行わざるを得ないが、捻転を解除できる場合は腫瘍摘出(核出)術とする。
d)真性の卵巣腫瘍には原則として手術療法を行い、組織学的な確定診断を得る必要がある。
e)子宮内膜症性嚢胞には、状況に応じて経過観察、ホルモン療法、または手術治療を行う。すなわち、挙児希望のない若年女性に認められた小さな内膜症性嚢胞で症状の軽度の場合は経過観察を行う。月経困難症や性交痛などがある場合、大きな嚢胞の場合、不妊症で挙児を希望している場合は、ホルモン療法と手術療法を組み合わせた治療を行う。手術では腹腔鏡を用いた嚢胞摘出術や焼灼術を行い、健常卵巣部分をできるだけ残す。
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Q462 正しいものはどれか。
a)×境界悪性腫瘍の組織学的特徴のひとつは、間質浸潤を認めることである
b)○漿液性腺癌は全卵巣癌の約40%を占める
c)×砂粒小体psammoma bodyの出現があれば、漿液性腺癌である
d)×明細胞腺癌は欧米に比し本邦での発生頻度は低い
e)×ブレンナー腫瘍は良性腫瘍である
解答:b
a)境界悪性腫瘍の組織学的特長は、
1.上皮細胞の多層化
2.腫瘍細胞集団の内腔への分離増殖
3.同一細胞型における良性と悪性の中間的な核分裂活性と核異型
4.間質浸潤の欠如
b)漿液性腺癌:全卵巣癌の約40%を占める。
c)砂粒小体psammoma bodyの出現は悪性例で高頻度に認められるが、悪性に特異的な所見とは言えない。
d)明細胞腺癌は欧米に比し本邦で高頻度にみられる。
e)ブレンナー腫瘍:特異な上皮構造(移行上皮型の充実巣)と間質の増殖を伴い、大部分が良性である。上皮細胞の核はしばしば縦溝を呈し、コーヒー豆様(coffee-bean nuclei)と表現。境界悪性腫瘍は増殖性ブレンナー腫瘍、悪性腫瘍は悪性ブレンナー腫瘍と呼ばれる。
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Q463 正しいものはどれか
a)×顆粒膜細胞腫はエストロゲンを産生する良性腫瘍もある →境界悪性
b)×莢膜細胞腫は悪性腫瘍に分類される
c)○セルトリ・間質細胞腫瘍にはエストロゲン活性を示すものがある
d)×ライディック細胞腫は境界悪性に分類される
e)×輪状細管を伴う性索腫瘍には全例でPeutz-Jeghers症候群を合併する
解答:c
a)顆粒膜細胞腫は顆粒膜細胞を優位に含む腫瘍(性索間質性腫瘍)。組織像は成人型、若年型に分けられる。通常、エストロゲン産生性。少数例は悪性の経過を示すが、通常は低悪性で、境界悪性腫瘍に分類。
b)莢膜細胞腫は良性腫瘍に分類される。
c)セルトリ・間質細胞腫瘍:ほとんどが男性化徴候を示すが、ホルモン活性がないもの、エストロゲン活性を示すものもある。高分化型(良性)、中分化型(境界悪性)、低分化型(悪性)。
d)ライディック細胞腫は良性腫瘍に分類される。ラインケ結晶を胞体に有する。3/4の症例で多毛、男性化症状を示すが、まれにエストロゲン活性を示すこともある。ステロイド細胞腫瘍(ライディック細胞腫:良性、間質性黄体腫:良性、分類不能型:境界悪性)。
e)輪状細管を伴う性索腫瘍:特異な単純また複雑な輪状細管からなる腫瘍。Peutz-Jeghers症候群を伴う例(良性)と伴わないもの(境界悪性)がある。
約1/3はPeutz-Jeghers症候群(消化管ポリポーシス、口腔・皮膚のメラニン沈着)を合併し、ときに子宮頸部の悪性腺腫を伴うこともある。40%の例では高エストロゲン症状を示す。
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Q464 誤っているものはどれか
a)×全卵巣腫瘍の50~55%は胚細胞起源である →15~20%
b)○若年者に発生する卵巣腫瘍の約2/3は胚細胞腫瘍である
c)○未分化胚細胞腫は間質のリンパ球浸潤が特徴的で悪性に分類される
d)○卵黄嚢腫瘍の内胚葉洞型にはloose reticular network, Schiller-Duval body,hyaline globules などがみられる
e)○未熟奇形腫のGrade 3は悪性腫瘍に分類される
解答:a
a)表層上皮性・間質性腫瘍:60~70%、性索間質性腫瘍:5~10%、胚細胞腫瘍:15~20%。
b)胚細胞腫瘍は若年女性に多いことが特徴的であり、最も高頻度にみられる腫瘍は成熟嚢胞性奇形腫である。
c)未分化胚細胞腫:腫瘍細胞は大型円形、類円形で、細胞質は淡明でグリコーゲンに富む。明瞭な核小体、間質のリンパ球浸潤が特徴的。ときにsyncytiotrophoblastを伴いβ-hCGが証明される。悪性。
d)卵黄嚢腫瘍
ⅰ.内胚葉洞型:最も高頻度で、網目状loose reticular network、Schiller-Duval body(腫瘍細胞が血管周囲に配列)、hyaline globules(好酸性球状の硝子様小体) などがみられる。
ⅱ.多嚢胞性卵黄型:卵黄嚢に類似した多数の嚢胞からなり、一層の扁平な中皮様細胞に被覆。
ⅲ.類肝細胞型:未熟肝細胞あるいは肝細胞癌に類似する腫瘍細胞が索状に配列。
ⅳ.腺型:立方形の腫瘍細胞が管状、胞巣状あるいは原腸状配列を示す。
e)未熟奇形腫:未熟な胎児性成分を伴う奇形腫をいう。未熟な組織、とくに神経外胚葉組織が豊富なものほど播種や転移を起こしやすい。分化度に応じ、Grade 1、2(境界悪性)、Grade 3(悪性)に分類。
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Q465 卵巣癌のFIGO臨床期分類で正しいものはどれか
a) ×子宮のみへの浸潤を認めた:Ⅱb期 →Ⅱa期
b) ×腫瘍は一側卵巣に限局していたが、術中、卵巣腫瘍が破綻した:Ⅰa期 →Ⅰc(b)期
c) ×S状結腸浸潤を認め、腹水細胞診が陽性:Ⅱc期 →Ⅲ期
d) ×脾実質への転移を認めた:Ⅳ期 →Ⅲ期
e) ○肝実質への転移を認めた:Ⅳ期
解答:e
a) Ⅱa期:進展ならびに/あるいは転移が、子宮ならびに/あるいは卵管に及ぶもの。
b) Ⅰc(b)期:手術操作による被膜破綻
c) d) Ⅲ期:腫瘍が一側または両側の卵巣に存在し、さらに骨盤外の腹膜播種ならびに/あるいは後腹膜、または鼠径部のリンパ節転移を認めるもの。また腫瘍は小骨盤に限局しているが小腸や大網に組織学的転移を認めるものや、肝表面への転移の認められたものもⅢ期とする。
e) 肝実質への転移はⅣ期とする。
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Q466 卵巣癌の臨床進行期で誤っているものはどれか
a)○肺転移や肝実質転移などには画像診断も有用である
b)○腹膜播種の診断には、腹膜腫瘍の組織学的診断が必要である
c)○胸水細胞診で癌細胞が証明されないもの(疑陽性も含む)は、Ⅳ期とはしない
d)○TNM 分類でT2bN1M0は、FIGO 分類ではⅢc 期である
e)×卵巣癌において骨盤内リンパ節は所属リンパ節であるが、膨大動脈リンパ節は遠隔リンパ節である
解答:e
d)Ⅲc期: 直径2cmをこえる腹腔内播種ならびに/あるいは後腹膜または鼠径リンパ節に転移の認められるもの。
e)所属リンパ節:傍大動脈節、総腸骨節、内・外腸骨節、仙骨節、閉鎖節、鼠径節など。
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Q467 卵巣癌の手術進行期決定のために必ずしも必要でない手術操作はどれか。1つ選べ。
a)大網切除
b)子宮全摘術
c)横隔膜生検
d)腹水・腹腔洗浄細胞診
e)後腹膜リンパ節郭清あるいは生検
解答:c
標準手術:腹水・腹腔洗浄細胞診、単純子宮全摘出術、両側付属器切除、大網切除、後腹膜リンパ節郭清あるいは生検。
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Q468 Ⅰ期の早期卵巣癌をリスク因子で分類した場合、ローリスクとされるのはどれか。2つ選べ。
a)×粘液性腺癌、stage Ⅰc
b)○漿液性腺癌、stage Ⅰb、grade1
c)×明細胞腺癌、stage Ⅰa
d)×類内膜細胞癌、stage Ⅰb、grade 3
e)○粘液性腺癌、stage Ⅰb、grade 1、癒着なし
解答:b、e
c)明細胞腺癌:約50%がFIGOⅠ期症例である。化学療法が奏功せず、予後は漿液性腺癌に比較して不良である。
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Q469 卵巣癌に対する化学療法に関する記述で正しいのはどれか。2つ選べ。
a)×CAP療法はCP療法に比較し、奏功率、生存率ともに有意に高い
b)○paclitaxelのDLT (dose limiting factor)は好中球減少、神経障害、血圧低下である
c)○docetaxelのDLT (dose limiting factor)は好中球減少である
d)×paclitaxelはその薬理作用から腹腔内投与は不可能である
e)×docetaxelはweekly投与には適していない
解答:b、c
a)GOG52(1989年):CP療法とCAP療法の比較試験で、両者に奏功率、生存率、無病期間に差がないことが報告された。
b)投与量規制因子(dose limiting factor, DLF)。paclitaxelの最大投与量規制因子は神経毒性であった。
c)DJ療法には好中球減少が多く認められた。
d)GOG172では、Ⅲ期で残存腫瘍径1cm以下の症例に対し、TP(paclitaxel、cisplatin)の腹腔内投与群と静脈内投与群を比較し、progression free survivalの中央値は24.3か月、19.3か月と、腹腔内投与群で有意な延長が認められた。
e)docetaxelでのweekly投与も実施されている
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Q470 卵巣癌に対する化学療法の記述で正しいのはどれか。2つ選べ。
a)○TJ療法とDJ療法の奏功率は同等とみなされる
b)×TJ療法とDJ療法による好中球減少の程度は同等である
c)×DJ療法が現在の標準的治療とされる
d)○腹腔内投与は微小な腹腔内残存病変に対する効果が認められている
e)×TP療法はTJ療法に比較し、末梢神経障害が少ないとされる
解答:a、d
a)c)TJ療法(パクリタクセル+カルボプラチン)とDJ療法(ドセタキセル+カルボプラチン)とを比較するphase Ⅲ study(SCOTROC: Scottish Randamized trial in Ovarian Cancer、2001年)で、奏功率、progression free survivalで両者に差を認めなかった。長期予後に関する結論がまだ出ていないので、DJ療法を卵巣癌の標準初期治療とするには時期早尚である。合併症として末梢神経障害が危惧される患者に対しては、DJ療法を選択し施行することも十分に想定される。
b)TJ療法に神経毒性が多く出現し、DJ療法に好中球減少症が多く認められる。
e)GOG158(1999年):TP療法 vs TJ療法の比較試験が行われ、両者の抗腫瘍効果は同等であるものの神経毒性に関してはTJ療法の方が軽度であることが示された。
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Q471 再発卵巣癌に対する治療に関する記述で正しいのはどれか。1つ選べ。
a)×再発癌に対しては手術が第一選択となる
b)○初回治療修了後6ヶ月以内の再発は、薬剤抵抗性である可能性が高い
c)×初回治療終了後6ヶ月以降の再発に対しては、薬剤の変更が必要である
d)×シスプラチン耐性症例に対してはCPT-11が第一選択となる
e)×再発癌に対しては単剤よりも多剤併用療法のほうが効果が高い
解答:b
a)孤立局在性の再発巣に対しては第二次腫瘍縮小手術の選択肢があるものの、長期予後に関するエビデンスには乏しい。
b)c)初回治療後6ヶ月以上経過してからの再発例に対しては、初回治療薬剤に感受性があるとされることから、同様の薬剤投与が試みられる。一方、6ヶ月以内の再発例は、薬剤抵抗性と考えられ、交差耐性のない薬剤が選択されるものの標準的治療法は確立されてない。
d)Platinum製剤に耐性である場合、paclitaxelは40%、docetaxelは24~40%の奏効率を示すことよりsecond lineの候補となる。一方、paclitaxel耐性に対しては、23%の奏効率を示すdocetaxelが候補となる。
e)再発癌に対して単剤と多剤併用のどちらが有効かに関してはエビデンスに乏しい。再発症例の大多数がpalliative careでありQOLの面からもweekly paclitaxel、weekly TJ、weekly docetaxelなどが選択肢になり得る。
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Q472 卵巣癌化学療法でのG-CSF製剤使用について正しい用法はどれか。
a)好中球数500(白血球数1000/μl)未満で投与、好中球数3000(白血球数6000/μl)以上で中止
b)○ 好中球数500(白血球数1000/μl)未満で投与、好中球数5000(白血球数10000/μl)以上で中止
c)好中球数1000(白血球数2000/μl)未満で投与、好中球数3000(白血球数6000/μl)以上で中止
d)好中球数1000(白血球数2000/μl)未満で投与、好中球数5000(白血球数10000/μl)以上で中止
e)好中球数2000(白血球数4000/μl)未満で投与、好中球数5000(白血球数10000/μl)以上で中止
解答:b
G-CSF製剤の癌化学療法による好中球減少症に対する適応は好中球数が500/μl(白血球数1000/μl)未満の時である。好中球数が5000/μl(白血球数10000/μl)以上で投与中止と規定されている。
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Q473 次の抗癌剤のうち血小板減少が投与量規制因子となっているものはどれか。
a)シスプラチン
b)カルボプラチン
c)エトポシド
d)シクロフォスファミド
e)パクリタクセル
解答:b
血小板減少が用量規制因子となっている薬剤:カルボプラチン
マイトマイシンCによる血小板減少が高度となる症例もあるので注意が必要である。
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Q474 抗癌剤投与時の悪心・嘔吐対策で誤っているものはどれか。
a)○初回化学療法時の制吐管理はとくに重要である
b)○CAP療法では即時型の悪心・嘔吐のみならず遅延型の悪心・嘔吐も発現し管理に苦慮することがある
c)○CAP療法に伴う悪心・嘔吐に対しては、5-HT3受容体拮抗剤を第一選択にすべきである
d)×5-HT3受容体拮抗剤は即時型、遅延型嘔吐いずれにも同様に有効である
e)○制吐方法には個別化が重要である
解答:d
d)5-HT3受容体拮抗剤は、即時型の嘔吐に対しては有効であるが、遅延型の嘔吐に対しては有効でない。
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Q475 抗癌剤投与時の腎・尿路障害について誤っているものはどれか。
a)○cisplatin投与時の腎障害の指標としてはクレアチニンクリアランスが鋭敏であり、60ml/分以下の症例には投与を控えるべきである
b)○cisplatin投与時の腎毒性軽減処置として行われる電解質輸液は投与時のみならず投与前後も十分な量を行うべきである
c)○cisplatin投与時の腎毒性軽減のためチオ硫酸ソーダが用いられることがある
d)×carboplatinはcisplatinに比べ腎障害の発現頻度が高い
e)○ifosfamideの代表的な尿路系障害に出血性膀胱炎がある
解答:d
腎毒性を用量規制因子とする代表的なものは、cisplatinとifosfamideである。
b)c)cisplatinでは十分な輸液と利尿剤により、腎毒性の軽減が図られる。
d)carboplatinはcisplatinに比べ腎障害の発現頻度が低い
e)ifosfamideは急性尿細管障害のほかに出血性膀胱炎を40~50%の頻度で起こすことから、中等度以上のifosfamideやcyclophosphamideを投与する時には、十分輸液をして尿量を100ml/時以上に維持する一方、両薬剤の腎尿路障害に特異的なchemoprotectantである2-mercaptoethane sulfonate(メスナ)を用いることが必要である。
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Q476 抗癌剤投与による神経障害で誤っているものはどれか。
a)○神経障害の発生・推移は薬剤の投与回数・用量に関係する
b)○cisplatinの末梢神経障害は、知覚神経障害が主体である
c)○cisplatinの投与中に難聴をきたすことがあるので定期的に聴覚検査を行うことが望ましい
d)○paclitaxelの方がdocetaxelより抹消神経障害の頻度が高い
e)×抗癌剤による神経障害にはビタミンB12が著効を示す
解答:e
a)b)cisplatinによる末梢神経障害は、四肢の感覚障害を主徴とした知覚神経障害が主体であり、cisplatinの総投与量が200~300mg/m2より発現し、500~600 mg/m2でほぼ全例に何らかの神経障害が認められる。
d)TJ療法に神経毒性が多く出現し、DJ療法には好中球減少症が多く認められる。
e)cisplatinの神経障害では、回復にも時間を要し、著効薬もない。