現行の『新臨床研修医制度』では、それぞれの研修希望者がどの研修病院で研修するのか?は、『医師臨床研修マッチング(研修医マッチング)』という新しいシステムで決定されるようになりました。
『研修医マッチング』とは、医師免許を得て臨床研修を受けようとする者(研修希望者)と、臨床研修を行う病院(研修病院)の研修プログラムとを、研修希望者および研修病院の希望を踏まえて、一定の規則(アルゴリズム)に従って、コンピュータにより組み合わせを決定するシステムです。この『研修医マッチング』は平成16年度より開始されましたので、今年度のマッチングはこれから始まりますが、この制度が始まってから4回目の実施ということになります。
第1回目のマッチングが実施された当時は、まだ当院でも各診療科の若手医師たちは大学医局から多く供給されてました。ですから、「どうせ、研修希望者のほとんどは、大学や都会の有名病院に応募するに違いない。こんな田舎の病院には、きっと1人も応募はないだろう。マッチングに参加しても、どうせ無駄骨になるだけだろう。」との予測が大勢を占め、私も当初は研修医マッチングにそれほど大きな関心はありませんでした。ところがフタを開けてみたら、なぜか予想に反して、当院へのマッチング応募者が定員の4倍近くもあって非常に驚きました。時代の大きな変化を予感しました。
その後、科によっても事情は大きく異なりますが、多くの診療科で大学医局からの若手医師の供給がストップされました。幸いなことに、当院では、初回のマッチングより、毎回、ほぼフルマッチングを達成してますので、この制度が開始されてから病院内の若手研修医の数がかえって多くなり(初期研修医:現在計16名在籍)、病院全体の医師の平均年齢がかなり若返りました。
今後の課題として、医学部卒業後3年目以降の『後期臨床研修医』の採用をだんだん増やしていく必要があると思います。そのためにも、「研修環境が整備され、若い研修医が自然に大勢集まってくるような病院」を目指して、各診療科で臨床研修の指導体制を整えていく必要があります。