馬鹿は青くなっています
悪こそが強いのだ
正しいのだ
すべての存在に勝てるのだと
信じ込んで
あらゆることをやってきたのが
たった一粒の愛の前に
ひっくり返り
すべてが馬鹿になって
途方もない借金となって返ってきたのが
あまりにもつらいと
青くなっています
馬鹿は知らなかったのです
愛がそんなにも硬いものだったとは
そんなにも強いものだったとは
そんなにも大きなものだったとは
たったひともとの
芥子の花のように
はかなく弱く
日陰に咲く孤独な女に
戦をしかけたら
すぐにでも勝てると思って
万軍を指揮してやってみたら
何も通用しなかった
それに焦って
やりすぎにもやりすぎだということを
やりすぎてしまったら
あまりにも借金が膨らみすぎた
それを返さねばならないと
神に言われ
馬鹿は青くなり
今にも神の前から逃げようとしている
もがこうにももがけない
神のお白州で
言い訳をすることもできずに
ただ青くなっている
どこに逃げればいいのか
この世界はすべて
神の城だというのに
馬鹿はどうしていいかわからずに
今もただ
青くなって立ち尽くしています