めちゃくちゃ面白いドキュメンタリー映画を見た。
言わずと知れた我らがジョン レノンがオノヨーコと別居していた期間、通称”失われた週末”を描いたのが本映画。
私自身は、その”失われた週末”という言葉も初耳だし、その間に付き合っていた女性がいたことも初耳だったが、うちの、幼少期からビートルズを敬愛してやまない高1息子も、今回のドキュメンタリーの語り手でジョンの恋人だった女性、メイ パンの存在は知らなかった。二人で、何これ??いつ作られた映画なの?などと目を丸くしながら見た。
ビートルズ解散後のジョンとヨーコがアメリカで暮らし始め、しばらくしてアップルレコードで仕事をしていた女性メイ パン(当時22歳くらい)がヨーコに気に入られ、二人の個人秘書となる。その後、二人の関係にヒビが入ってきた頃合いで、メイはヨーコの依頼で、ジョンの彼女になるよう言い渡されるのだが・・・
ジョンにとって彼女は、最初は秘書であり、妹のような存在だったのだと思う。
ビートルズを解散させるほどに心酔しきっていたヨーコとの関係にヒビが入り、進路を見失っていたジョンに、徐々に優しく寄り添うパートナーとなっていったのが彼女だった。荒れ狂っていたジョンの心が凪いできて、彼は3年ぶりにおそらくヨーコによって、決裂させられていた最初の妻シンシアとの間の息子ジュリアンとも再開し交流するようになる。すっかりマインドコントロールされていたジョンが心を取り戻した18ヶ月、それが俗にいうロストウィークエンドの真実で、ロストウィークエンドとは一体誰が名付けたのかと疑問に思う。
ヨーコとの暮らしからエスケープしたジョンに、ヨーコは日に15回もの電話をかけて来ていたというから、私は島尾敏雄とミホ夫婦を思い出してゾッとした。
最後にヨーコはジョンを強引に取り戻すけど、それは愛じゃない、恋でもない、一種の宗教とも呼べるほどの強いマインドコントロール禍によるものだ。
しかし、メイ パンとの関係は、ここで完全に断ち切られたわけではなく、二人の友情関係はジョンが亡くなるまで続いていた。
失われた週末は、ジョンにとってもジョンの音楽にとっても、最も輝かしいものだった。すっかり訣別したと思っていたビートルズのメンバー、ポールとリンダでさえ、こんなに交流があったとは思いもよらなかった、そして、彼の愛する息子ジュリアンと元妻シンシアはメイ パンと生涯を通じて良き友達となったのだ。
それにしても、すごくよく出来たドキュメンタリーで、最後のシーンはサプライズみたいで実に実に素晴らしく感動した。
”失われた週末”は”取り戻せた週末”へと名前を変更して改めて後世に伝え直したい。
今回の映画を見て知った、あれは愛じゃない、これこそが愛だったのだと。
映画『ジョン・レノン 失われた週末』予告編|2024年5月10日(金)公開
https://mimosafilms.com/lostweekend/