今から30年前の1993年4月28日、アイルランドの首都ダブリンで行われた試合結果です。
WBCフェザー級戦:
挑戦者グレゴリオ バルガス(米)TKO7回2分27秒 王者ポール ホドキンソン(英)
*この試合がWOWOWで放送されたのは、7月下旬に大阪で2階級下のWBCバンタム級暫定王座決定戦が行われた前後。また当時、WBAフェザー級には、タイトルの7連続防衛に成功していた朴 永均(韓国)という実力者が君臨していました。試合を見た直後の率直な感想として、新王者となったバルガスは、「とても対抗王者の朴や、バンタム級戦に出場した辰吉 丈一郎(大阪帝拳)、ビクトル ラバナレス(メキシコ)が敵う選手ではないな」と思いました。ホドキンソン戦でのバルガスは、それだけレベルの高い選手でした。
(アイルランドのダブリンで好試合を演じたバルガスとホドキンソン)/ Photo: Youtube x 2
当時のバルガスはまだまだ22歳でしたが、すでに5年のプロキャリアを持っていました。層の厚いメキシコ国内タイトルの7度の防衛に成功し、若年ながらも完成度の高いボクシングを披露してくれました。ホドキンソンも欧州の強豪選手たちと拳を交えながら実力を蓄え、2度目の世界挑戦でバルガスの同胞マルコス ビジャサナから王座奪取に成功した本格派のボクサーでした。
そんな実力者を相手にバルガスは、発達した上半身から左ジャブと左ボディーを起点としたコンビネーションで、攻撃的なボクシングを展開するホドキンソンに対抗していきました。
一進一退の攻防が続いたこの試合。試合は中盤の7回、バルガスが一気にストップに持っていきます。上下左右の多彩のパンチから、最後は左ジャブでダウンを奪ったバルガス。試合再開後に再び連打からダウンを奪います。そこでホドキンソン陣営は躊躇することなく試合のストップを要請し試合終了。バルガスが見事なボクシングで緑のベルトをメキシコに持ち帰ることに成功しています。
パンチの角度といい、そのフォームといい素晴らしいボクシングを披露したバルガス。そのボクシングから、私(Corleone)は辰吉がラバナレスとの大激戦を制した以上の衝撃を受けました。そして今後(1993年以降)、どれだけの選手になっていくのだろうと大きな期待を寄せていました。その後、バルガスがどれだけの活躍をしたかはさておき、彼は今でのお気に入りのボクサーの一人です。