今から30年前の1993年9月10日、米国テキサス州サンアントニオで行われた試合結果です。
WBCウェルター級戦:
王者パーネル ウィテカー(米)引き分け(1対0:115-113、115-115x2)挑戦者/WBCスーパーライト級王者フリオ セサール チャベス(メキシコ)
*当時の最強選手と呼ばれていた2人の超絶実力者がテキサスのリングで対戦。挑戦者ながらも注目度は上をいくチャベスはこれまでに、強豪たちとの対戦を繰り返しながら戦績が87戦全勝(75KO)と化け物のような戦績を残してきました。
(当時の究極の一戦がテキサスで実現)/ Photo: kofight posters.com
対するウィテカーは1984年に行われたロス五輪の金メダリストという輝かしい肩書を引っさげてプロに転向。32勝(15KO)1敗と数ではチャベスに劣るものの、こちらも内容はメキシカンにも負けない素晴らしいい戦績を築いてきました。すでにウィテカー、チャベス共に世界3階級制覇を達成しており、チャベスはこの試合にメキシコ史上初の4階級制覇を賭けることに。
試合前の予想は、一般の予想では知名度の高いチャベスが有利。しかし専門家や関係者の間では真っ二つ。「チャベスが得意のボディー攻撃でウィテカーを中盤から後半にとらえるであろう」という声もあれば、「ウィテカーはチャベスの最も苦手とするタイプの選手。おそらくウィテカーがその技術で逃げ切るであろう」という2つの意見が多く聞かれました。
実際の試合は、その2つの意見が反映される形に。最初の2回はチャベスが絶好のスタートを切り、4階級制覇に向け大きく前進しているように見えました。しかし「ボクシング史上最高の技師」であるウィテカーが、徐々に、徐々にとチャベスのボクシングに慣れていき、中盤以降は「史上最強のメキシカン」をコントロール。「このままではチャベスも負けるだろう」と思いつつも同時に、メルドリック テーラー(米)との一戦でみせた残り2秒での大逆転劇が再び起こるであろうと期待もありました。しかしウィテカーはテーラーが犯した失敗を繰り返すことなく試合終了。
(チャベスがプレッシャーをかけ、ウィテカーが捌くという展開が続きました)/ Photo: Grueling Truth.com
出された判定は意外にも2人のジャッジがイーブンとする痛み分け。しかしそれまで全戦全勝だったチャベスの偉大なる伝説に終止符が打たれたことには変わりありません。
この試合が日本(WOWOW)で放送されたのは数字後の夜だったと記憶しています。すでに結果は分かっていたのですが、それでも私(Corleone)はチャベスの勝利を信じテレビに釘付けになっていました。「引き分け」という結果は、どちらかというとチャベス贔屓だった自分にとり残念ではありましたが、ウィテカーの実力からすると「しょうがない」という複雑な気持ちでした。
(試合後、ウィテカーの勝利が「Robbed/盗まれた」と言われた一戦)/ Photo: the Fight City.com