勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

熱闘

2006-08-21 17:47:08 | Weblog
<
-ひまわり-

ラジオから
流れているはずの
甲子園の歓声

私には
ひまわりの中から
聞こえる

-星野富広さん-

 37年ぶりという引き分け再試合となった全国高校野球選手権大会の決勝は、早稲田実が4:3で駒大苫小牧の3連覇を阻止して優勝を飾った。

 最後まで勝負の行方がわからない試合展開は、ただでさえ残暑の厳しい夏の一日をさらに暑くさせた。

 思い返せば37年前、僕がダンスの世界に足を踏み入れた初めての年だった。サラリーマンをしながら、アルバイトで勤めたダンスホールの入店間もなくの慰安旅行の旅先で、ラジオから流れる松山商VS三沢の試合に聞き入ったものだ。

 そんな遠い昔を思い出しながらの昨日・今日の熱戦は、時の流れと重ね合わせて見ると感慨深いものがある。

 夏も終わりに近くなってもなお暑い毎日、部屋を通り抜ける風にふと秋の気配も感じるとき、時の流れの速さを思う。

 ~~夏の物語~~☆~~野球~~

        掴む。
          滑る。
砂煙があがる。
  倒す。倒れる。
    どよめく。
   沸く。
 燃える。
ギュッとくちびるを噛む。   
 苦しむ。焦る。つぶされる。
  どこまでもくいさがる。
 どこまでも向かってゆく。
波に乗る。拳を握る。
襲いかかる。陥(おとしい)れる。
踏みこむ。真っ二つにする。
盗む。奪う。
  刺す。
振りかぶる。構える。
  投げおろす。打ちかえす。
叫ぶ。叫ぶ。
跳びつく。駆ける。
     駆けぬける。
深く息を吸う。引き締める。
  かぶりを振る。うなずく。
 狙う。睨む。脅かす。
浴びせる。崩す。切りくずす。
むきだしにする。引きつる。
踏ンばる。
顔をあげる。腰を割る。
粘る。与える。ねじふせる。
        投げる。
打つ。
     飛ぶ。
    走る。
   見事に殺す。      
なお生きる。生かしてしまう。
     付けいる。         
   追い込む。
     突きはなす。
   手をだす
     見逃す。
読む。選ぶ。             
  黙る。             
 黙らせる。目に物みせる。      
意気地をみせる。思い切る。       
叩く。突っ込む。死ぬ。      

 動詞だ、野球は
すべて
動詞で書く物語だ

あらゆる動詞が息づいてくる。     
    一コの白いボールを追って        
誰もが一人の少年になる
夏                 

-長田弘さん「長田弘詩集」から-

 野球は人生の或る日にも似ている。しかしこれが人生のすべてでもない。泣くな駒大苫小牧。
2006.08.21