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命みじかし 恋せよ乙女
赤きくちびる あせぬまに
命みじかし 恋せよ乙女
赤きくちびる あせぬまに

その昔、黒澤明監督の映画「生きる」を見た。志村喬さんが、ブランコに揺られながら歌う「ゴンドラの唄」の名シーンが目に焼きついている。テレビのリメーク版を見て、ストーリーは同じであるが、別のものと思うことにした。どちらが良いということではないが。
自由気ままに生きてきた僕にとって、生きることの意義を教えてくれたのは、父母の死であり、愛する人、身近な人の死であった。誰もが避けられない、しかしその時期を選ぶことはできない死。遠い先と思っていた最期のときが、身近な人の死によって、より現実的に感じられるようになった。
我が人生を振り返ったとき、少しの後悔がないわけではないが、まぁ、いい人生だったと思える。今まで生きてきた人生に比べれば、決して長くない残りの人生は、おまけだとも思っている。しかし、自分の命が余命いくばくもないと知ったとき、はたして冷静に受け止めることができるだろうか?自信がない。
前夜に見たドラマ「天国と地獄」では、死刑宣告を受けた誘拐犯の若者が、全財産を投げ出し身代金を差し出した主人公と対面し、強がって見せる。「たとえ地獄へ行こうとも、少しも恐れていない」。そううそぶくそばから、全身の震えが止まらなくなる。死とはそういうものだろう。
そんな死を受け止めるときのためにも、今日という日を悔いのない一日にしたい。命を賭けられるものがあるだろうか。“ある”と信じる。

熱き血潮の 冷えぬまに
明日の月日は ないものを
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明日の月日は ないものを
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