勿忘草 ( わすれなぐさ )

「一生感動一生青春」相田みつをさんのことばを生きる証として・・・

曼珠沙華

2007-09-27 00:53:19 | Weblog

◇ 長崎物語 ◇

赤い花なら 曼珠沙華
阿蘭陀屋敷に 雨が降る
濡れて泣いてる じゃがたらお春
未練な出船の あゝ鐘が鳴る
ララ鐘が鳴る


赤い花なら曼珠沙華(まんじゅしゃげ)ちゅうのんは
どこや知らんけど
オランダ屋敷ちゅうとこに
いっぱい咲いとって
雨が降っとるんやて
曼珠沙華が咲いたら雨が降るのんか
雨が降ったら曼珠沙華が咲くのんか
どっちが先かわからへんけど
これは長崎物語ちゅう歌の文句や



田圃の畦道に
真っ赤な彼岸花が咲いとった
これは葬礼花(そうれんばな)ちゅうて
気色悪い花や



学校へ行ったら先生が
曼珠沙華の根を掘って来いいうた
曼珠沙華はこんなところにあらへん
それに
雨降っとるかどうかわからへんしな
そないに悩んどったら
アホ
曼珠沙華ちゅうのんは彼岸花のことや
ウワァ 葬礼花かいな 気色悪い

-「瀬戸内少年野球団」より抜粋-

 数々のヒット曲を世に送り出し、生涯に作詞した曲は5,000曲以上といわれる、作詞家で小説家の阿久悠さんが去る8月1日、この世を去った。その阿久悠さんの小説、瀬戸内少年野球団の書き出しに、彼岸花について、前記のような著述がある。
 秋の彼岸の頃になると、突然咲き出す彼岸花。別名もたくさんあるらしい。墓地に植えられることが多かったためか、「死人花」「霊花」「仏花」「仏様花」などは“死”に関する名前である。

 また、何もないところから、いきなり姿を現し、赤い花を咲かすことから、狐が化けたものだろうと思われたらしく、「狐のたんぽぽ」「狐のかみそり」「狐のたいまつ」「狐ばな」「狐のかんざし」などもあると、図鑑に載っている。
 そして『長崎物語』の中で歌われる「曼珠沙華」。敗戦期を野球に夢を託した子供たちが、瀬戸内少年野球団の冒頭で騒ぐ「葬礼花(そうれんばな)」と、その名前は、枚挙にいとまがない。

彼岸も過ぎ、十五夜の月が欠け始めると、いまはもう秋。そして誰もいなくなった。


今はもう秋 誰もいない海
たった一つの 夢が破れても
私は忘れない 砂に約束したから