中日VSロッテの日本シリーズ第6戦は、延長15回の末2-2の引き分けに終わり、ロッテの胴上げは持ち越しとなりました。歴史的死闘から一夜明け、7日の第7戦もナゴヤドームで行われましたが、初回から激しい打ち合い、そして2夜連続の延長戦という展開に…。
第7戦のスタメン
中日 ロッテ
1(遊)荒木雅博 (遊)西岡剛
2(中)大島洋平 (左)清田育宏
3(三)森野将彦 (二)井口資仁
4(左)和田一浩 (右)サブロー
5(一)ブランコ (三)今江敏晃
6(右)野本圭 (一)キム・テギュン
7(捕)谷繁元信 (捕)里崎智也
8(二)井端弘和 (中)岡田幸文
9(投)吉見一起 (投)渡辺俊介
第7戦の先発は、日本一に王手をかけているロッテは第3戦で完投勝利を挙げた渡辺俊介。もう負けられない中日はエース・吉見が登板。中日は前日の試合で攻守にわたり活躍を見せた大島が2番センターでスタメン入り。
初回、ロッテは西岡がセンター前ヒットを放つと、清田が内野安打。この時、中日の三塁手・森野と遊撃手・荒木が交錯、森野が足を痛めてしまいます。無死1,3塁で井口がレフトを破るタイムリー2塁打で1点を先制すると、なおも無死3塁でサブローの犠牲フライで1点を追加し、この回2点を奪いました。
2点を追う中日はその裏、荒木の四球、大島の犠打で1死2塁の後、森野がライト前タイムリーを放って1点を返す。この時、ロッテ先発・渡辺が右肩かひじに違和感を訴えるようになる。その後も続投するが、和田にヒットを打たれると、ブランコに死球を与えて満塁のピンチを作ってしまう。中日は絶好のチャンスに野本が詰まりながらもセンター前タイムリーで同点に追い付き、さらに谷繁のライト犠牲フライで逆転。中日は渡辺の立ち上がりを攻め立て、3点を奪ってひっくり返しました。
中日の勢いは続き、2回に荒木がヒットと盗塁を決め、大島のライト前タイムリーで1点を追加。右腕に違和感を抱えながらも続投していたロッテの渡辺は2回4失点で降板。3回、野本と谷繁の連打、井端の2塁ゴロ→井口フィルダースチョイスで無死満塁となり、1死後に荒木の犠牲フライで5点目が入ると、大島が2打席連続タイムリーとなるセンター前ヒットで6点目。3回まで6-2とロッテに4点差のリード。
初回に2点を失った中日先発・吉見は、2回と3回を無失点に抑えて立ち直ったかに見えましたが、4回に2死から里崎に2塁打を打たれると、続く岡田にセンター前ヒットを浴びてしまいます。連打でまた1点を失った吉見は、4回で降板となりました。
3点差に詰めたロッテは、4回裏に2番手の薮田安彦が中日打線を3者凡退に抑え、直後の5回に清田とサブローのヒットで2死1,3塁の場面で、今江が中日2番手・河原純一からセンター前タイムリー。1点を返して2点差に詰め寄ります。この後テギュンの死球で満塁となり、里崎が河原の直球をうまく合わせてセンター前ヒット。サブローと今江が生還し、6-6の同点!ロッテ打線の粘り強さで同点に追いついた!
同点で迎えた7回、ロッテは6回からマウンドに上がっていた中日3番手・ネルソンに対し、井口とサブローが共に倒れて2死となった後、今江がレフトフェンス直撃のシングルヒット。さらに中日左翼手・和田の送球が乱れ、今江は2塁まで進みます。続くテギュンの場面で、ネルソンの初球ストレートが暴投となり2死3塁とチャンス拡大。そしてテギュンはネルソンの2球目をセンターに弾き返すタイムリーを放ち、ロッテが7-6と逆転!
日本一にグンと近づいたロッテは、6回から4番手で登板している内竜也が、中日打線の反撃を退ける好リリーフ。特に7回では2死から谷繁&井端に連打を浴びて2死1,2塁と一打同点のピンチを招きましたが、代打・中田亮二を三球三振に仕留めてガッツポーズ!ピンチを凌いで見せました。
ロッテ1点リードの9回裏、優勝まであと3アウトのところで、守護神・小林宏が満を持して登場。しかし、中日の先頭打者・和田がファウルで粘ってからの7球目ストレートを引っ張り、左中間への大きな当たりはフェンスに直撃!打った和田は3塁ストップ。竜の主砲の意地で小林宏から3塁打!無死3塁で同点、一発が出ればサヨナラ→中日逆王手!続くブランコがセンターへの犠牲フライを放ち、土壇場で7-7の同点!この後、後続の打者が倒れてサヨナラならず。9回終了で7-7、試合はまたしても延長戦!
2試合連続の延長戦となったこの試合、10回、中日は9回から続投している5番手・浅尾拓也がロッテ打線を無失点に抑え、その裏にヒットと敬遠四球で2死1,2塁とサヨナラのチャンスでしたが、代打で登場した平田良介がライトフライに倒れて2者残塁。11回は両チームとも3者凡退に終わりました。
迎えた12回、4イニングス目に突入した浅尾は、先頭の今江に四球を与えてしまう。ここに来て疲労が見え始めたか。ロッテは11回に6番手で登板している伊藤義弘が犠打を決めて1死2塁と勝ち越しのチャンス。里崎凡退で2死後、岡田がカウント1-3からの5球目のストレートを弾き返し、右中間への大きな打球は前進守備の中日外野陣の頭上を超えた!今江生還でロッテ8点目!大きな大きな1点が入った!その裏、伊藤が中日打線を3者凡退に抑えてゲームセット!延長12回の激闘を制したロッテが、2010年の日本シリーズを制しました!
2010年日本シリーズ 2010/11/07(日)
中 日-ロッテ 第7戦 (ロッテ4勝2敗1分、ナゴヤドーム、18:11、38075人)
M 200 130 100 001 8
D 312 000 001 000 7
(延長十二回)
【投手】
(ロ)渡辺俊、小野、薮田、内、小林宏、伊藤-里崎
(中)吉見、河原、ネルソン、高橋、浅尾、岩瀬-谷繁
【責任投手】
(勝)伊藤4試合1勝1敗
(敗)浅尾4試合1敗
両チームにケガ人が発生するという波乱の展開で始まった日本シリーズ第7戦は、両チーム合計で29安打のヒットが飛び出る乱打戦となり、延長12回に岡田選手の決勝タイムリーでロッテが8-7で今シリーズ3度目の延長戦を制し、4勝2敗1分けで5年ぶり4度目の日本一に輝きました。パリーグのチームが日本一になったのは、2008年の西武以来となります。西村徳文監督は前任のバレンタイン氏から監督の職を引き継ぎ、就任1年目でいきなりチームを日本一に導きましたね。
今年の日本シリーズの最優秀選手には、6試合で27打数12安打6打点、打率.444の好成績を挙げた今江敏晃選手が選ばれました。この日は5打数4安打1打点と大活躍し、延長12回では四球を選び、優勝を決めるホームを踏みました。今江選手は2005年のシリーズでもMVPを獲得しており、これで2度目の受賞。彼こそ「シリーズ男」といえるでしょう。
他の表彰選手では、敢闘選手には中日の和田一浩選手、優秀選手にはロッテから内竜也投手と清田育宏選手、中日からは大島洋平選手が受賞しました。内投手は4試合登板して無失点、第7戦では6回から3イニング投げ、打者12人に対して7奪三振の素晴らしいピッチングを披露しました。清田選手はこのシリーズで大ブレイクし、打率.333、新人では最多タイの6打点をたたき出しました。
一方敗れた中日は、3年ぶりの日本一ならず。ナゴヤドームで2敗したこと、先発投手陣が不調で(チェン除く)、ロッテ打線の餌食に遭い続けた事が敗因だったと思います。この日は先発の吉見投手が4回で降板し、またしてもエースとしての責務を果たせず。9回から登板した浅尾投手は、11回までロッテ打線を無失点に抑えていましたが、4イニング目の12回に力尽きました。打線の方は初回に足を負傷した森野選手が、痛みを押してタイムリーヒットを放つも、残念ながら途中交代。
優秀選手に選ばれた大島選手は、第4戦で決勝打、第6戦で超ファインプレー、第7戦では2打席連続タイムリーを放ち、「中日のラッキーボーイ」として大暴れ。逆にブランコと井端選手の調子が上がらなかったのが痛かった。ブランコは7試合で9打点を挙げたものの、.167の低打率。井端選手は第6,7戦でヒットが出るようになったんですが、20打席無安打という極度の不振に陥ったのが最後まで響きました。
日本一に輝いたロッテは、11月13日に東京ドームで行われる「日韓クラブチャンピオンシップ2010」で、韓国シリーズ覇者のSKワイバーンズと対戦します。再び「和」の力で勝利をつかみ、日韓王者になれるのでしょうか?
レギュラーシーズンでは3位に終わったロッテは、クライマックスシリーズで西武とソフトバンクを破り、日本シリーズでセリーグ王者の中日を撃破。3位という厳しい位置から両リーグの王者を倒し、一気に頂点に駆け上がるという日本プロ野球史上最大の「ジャイアントキリング」を達成した「ミラクル・マリーンズ」は、後世の野球ファンに語り継がれる事でしょう。ロッテの選手の皆さん、そしてマリーンズサポーターの皆さんおめでとうございます。