ダートの祭典「JBC(ジャパンブリーディングファームズカップ)」が4日、石川県の金沢競馬場で行われました。13回目を迎えた今年は、「JBCレディスクラシック」がGIに昇格し、同一日に3つのGⅠ競走が行われることとなりました。もちろん日本競馬史上初めてです。JBC初開催の金沢には、エスポワールシチー、ホッコータルマエ、ワンダーアキュートといったダート界のトップホース達が集結し、大勢のファンが駆け付けました。
まず最初に行われた「第3回JBCレディスクラシック」(金沢8R ダート1500m・12頭立て)には、交流重賞4連勝中の②メーデイア、昨年のダート2歳チャンピオン⑩サマリーズ、⑦キモンレッド、③トシキャンディ、⑪アクティビューティのJRA勢に加え、2011年に東京ダービーを制した⑥クラーベセクレタ(船橋)、地元・金沢の①マニエリズムと⑤アルドラの2頭が参戦しました。
レースは好スタートを切ったトシキャンディが先手を奪い、2番手からメーデイアとサマリーズが追走。1・2コーナーから向正面のところで、トシキャンディが単騎で逃げ、メーデイアが単独2番手、サマリーズ・アクティビューティ・キモンレッドの3頭が3番手集団を形成。その後ろの6番手に⑧ハードデイズナイト(川崎)と続く。単独7番手にマニエリズム、8番手の位置にクラーベセクレタと④ピッチシフター(愛知)が並走、後方は10番手アルドラ、11番手に⑫アドマイヤインディ(高知)、⑨エイシンルンディー(笠松)がしんがり追走。
縦長の展開で3コーナーを回り、トシキャンとメーデイアの差が縮まり、サマリーズに早くもムチが入る。そして4コーナー手前でメーデイアが先頭に立ってラストスパート。残り200mでアクティが2番手、キモンレッドが3番手に浮上。先頭を行くメーデイアは後続を引き離し、3馬身リードで堂々とゴールイン。交流重賞5連勝で砂の女王の座に輝きました。
今年からGⅠとなった「レディスクラシック」は、メーデイアが単勝1.0倍の圧倒的1番人気の期待にしっかりと応え、格の違いを見せつける形での快勝で、GI初制覇を果たしました。3馬身差の2着にアクティビューティ、3着にはキモンレッドが入って上位はJRA勢が独占。地方勢はピッチシフターの5着が最高で、クラーベセクレタは6着。2番人気だったサマリーズは11着と大敗。地元勢のマニエリズムは10着、アルドラは最下位の12着に終わりました。
勝ったメーデイアは、父がキングヘイロー、母・ウィッチフルシンキングという血統。キングヘイロー産駒からは過去にカワカミプリンセスやローレルゲレイロがGI馬となりましたが、メーデイアが3頭目のGI馬となりました。彼女は今年1月のTCK女王盃で重賞初勝利を挙げると、その後、船橋のマリーンカップ、川崎のスパーキングレディーカップ、大井のレディスプレリュードを制し、今回のJBCレディスクラシックで破竹の5連勝。1年前の今頃は1000万クラスの条件馬だったけど、わずか1年でGⅠホースに成り上がったメーデイアの快進撃はどこまで続くのでしょうか。
金沢9Rの「JBCスプリント」(1400m・12頭立て)には、南部杯を勝った⑫エスポワールシチー、昨年の勝ち馬①タイセイレジェンド、ダート初挑戦②ドリームバレンチノ、ダート重賞6勝の⑥セイクリムズン、GI2勝の⑩テスタマッタ、オーバルスプリント(@浦和)で中央勢を破った③セイントメモリー(大井)、中央時代に京成杯AHを勝った④ファイヤーフロート(高知)などが出走しました。
スタンド前からのスタートで、セイントメモリーがポンと飛び出し、真ん中からセイクリムズン、さらに大外からエスポワールが上がってゴール板を通過。向正面で、セイントメモリーが単独先頭、セイクリムズンが2番手、エスポワールシチーが3番手追走。4番手にタイセイレジェンド、テスタマッタがその外の5番手で追う、中団の6番手でドリームバレンチノがファイヤーフロートをかわす。8番手に②サミットストーン(金沢)、9番手以降は⑤コスモワッチミー(高知)、⑧ブレーブキャンター(高知)、11番手に⑪ギオンゴールド(佐賀)、⑨トウホクビジン(笠松)が最後方を追走。
3,4コーナー中間点(残り400m)で、セイント・エスポワール・クリムズンの3頭が競り合い、テスタマッタが大外に持ち出せば、バレンチノが最内を狙う。4コーナーから最後の直線に入り、エスポワールシチーが抜け出した。2番手で上がったドリームバレンチノが差を詰めるが、ゴール前でエスポワールシチーが突き放してゴールイン!前走のマイルチャンピオンシップ南部杯に続きGⅠ2連勝、そしてJBCのタイトルをてにしました!
ダート最速王を決める一戦は、8歳馬のエスポワールシチーが優勝。残り400mで先頭に並びかけ、直線で抜け出して、ドリームバレンチノらの追い上げを抑えて1着でゴールしました。エスポワールはこれでGⅠ9勝目を挙げ、これまでヴァーミリアンが持っていたGⅠ最多勝記録に並びました。2着には初ダートのドリームバレンチノが入り、セイクリムズンが3着でした。道中レースを引っ張ったセイントメモリーは地方勢最高位の5着。金沢所属のサミットストーンが6着に入り、連覇を狙ったタイセイレジェンドは7着に終わりました。
勝ったエスポワールシチーは、このレースを最後に引退するという情報がありましたが、まだ正式な発表が入っていません。今回の結果とレースぶりを見ても、まだやれそうな気もするけど、余力を残しながら引退するのもアリだと思います。進退はわかりませんが、お疲れさまでした。鞍上の後藤浩輝騎手は、復帰後2度目のGⅠ勝利。ウイニングランの時は「後藤コール」まで起こりました。後藤さん、ファンに愛されてますねえ。
メイン競走「JBCクラシック」(金沢10R・2100m 12頭立て)は、今年GⅠ2勝の①ホッコータルマエ、前回覇者⑫ワンダーアキュート、ジャパンダートダービー馬⑪クリソライト、⑨ハタノヴァンクールのGⅠ馬4頭が参戦。他にも②ソリタリーキング、金沢所属の③タートルベイ&④ジャングルスマイル、交流重賞の常連⑩グランシュヴァリエ(高知)などが出走しました。
レースは⑥サイモンロード(愛知)が好スタートを切るが、すぐにホッコータルマエがハナを奪う。アキュートは3番手からレースを進め、最内の4番手にソリタリーキングがつけ、クリソライトは掛かっていて、ハタノヴァンクールが外から上がって来たが、こっちも折り合ってなさそう。1周目のスタンド前に差し掛かり、タルマエがマイペースで進み、サイモンとアキュートも好位置につけている。その後ろの4番手集団はソリタリー・クリソ・ヴァンクール・⑧ドリームマジシャン(笠松)の4頭。8番手にジャングルスマイル、9番手⑤ハリマノワタリドリ(高知)、後方はタートルベイ、⑦ハイパーフォルテ(兵庫)、グランシュヴァリエと続く。
2周目の向正面でホッコータルマエがペースを上げ、それと同時に縦長の状態に。残り600mでワンダーアキュートが2番手、ソリタリーキングが3番手に上がり、サイモンロードは4番手に後退。クリソライトとハタノヴァンクールは伸びてこない。むしろヴァンクールが遅れてる。4コーナーから直線に入り、依然としてタルマエが逃げ続け、ソリタリーがアキュートに接近する。先頭のホッコータルマエは最後まで先頭を譲らず、そのまま押し切ってゴールイン!そして2着争いは、ワンダーアキュートとソリタリーキングが並んでゴールしたが、わずかにアキュートが2着を確保。
「JBCクラシック」は、序盤から先頭でレースを進めてきたホッコータルマエが、2着に2馬身差をつけての逃げ切り勝ちで快勝。優勝タイム2分12秒6は、金沢2100mのコースレコードを樹立。このタイムは一生破られないと思います。たぶんね。タルマエはかしわ記念、帝王賞に次いでGⅠ3勝目となりました。鞍上の幸英明騎手は同レース初勝利です。前回の勝ち馬・ワンダーアキュートは2着に終わり、武豊騎手のGI100勝目はお預け。100勝に王手をかけながらも、その1勝が遠いですね。3着のソリタリーキングまでがJRAを独占し、金沢所属のジャングルスマイルが4着と大健闘。大舞台で地元の意地を見せ、JDD馬・クリソライトに先着しました。地方馬に負けたクリソライトは、休み明けと折り合いの悪さが影響して5着でした。そして、ハタノヴァンクールはブービーの11着。この馬に何があったんでしょうか?
史上初の同日GⅠ3連戦となった「JBC IN 金沢」は、中央勢が力の差を見せつける結果に終わりました。来年・2014年の第14回JBCは、盛岡競馬場で開催されます。そして、今後もダートのビッグレースが控えており、12月1日にジャパンカップダート、12月29日に東京大賞典があります。JCDにはホッコータルマエ、前日のみやこステークスを勝ったブライトライン、昨年の優勝場・ニホンピロアワーズ、ローマンレジェンド、インカンテーション 、グレープブランデー、ワンダーアキュートあたりが出ると思います。