秋の最強マイラー決定戦・第30回マイルチャンピオンシップ(GⅠ・芝1600m 18頭立て)が17日、京都競馬場で行われました。今年で節目の30回目を迎えるこのレース、昨年の優勝馬②サダムパテック、GI2勝の⑯グランプリボス、2011年安田記念馬⑱リアルインパクト、復活を期す⑧カレンブラックヒルのGⅠ馬に加え、富士ステークスを勝った⑬ダノンシャーク、スワンステークスを勝った①コパノリチャード、重賞4勝の⑫クラレント、ヴィクトリアマイル3着⑰マイネイサベル、さらにはマイル初挑戦の⑤トーセンラー、秋の天皇賞の調教の時に側溝に転落して話題となった⑮ダークシャドウの「中長距離路線組」も参戦してきました。
レース直前の単勝上位人気は、1番人気がダノンシャーク(3.8倍)、2番人気トーセンラー(4.7倍)、3番人気は④ダイワマッジョーレとクラレントの2頭が並びました(7.5倍)。5番人気以降はサダムパテック、コパノリチャード、グランプリボス、カレンブラックヒル、ダークシャドウ、⑩ドナウブルーと続きました。
スタートは18頭ほぼ揃って飛び出し、ダノンシャークが好スタートを切る。先行争いでクラレントが鼻に立とうとしたが、最内からコパノリチャードが上がって先頭でレースを引っ張る。2番手に⑥ガルボがつけ、クラレントが3番手、その内の4番手にマッジョーレ。5番手にリアルインパクト、その後ろではグランプリボス・ブラックヒル・シャーク・パテックの4頭が5番手集団を形成。中団の10番手にサクラゴスペル、11~14番手辺りに③レッドスパーダ、イサベル、ダークシャドウ、⑭リルダヴァルの4頭が固まっている。中団より後ろの15番手にドナウブルー、16番手にトーセンラー、後方は⑦サンレイレーザーと⑨ダノンヨーヨーが並走。
18頭がほぼ一団の状態で外回り3コーナーに差し掛かり、先頭のリチャードは前半800mは46.8秒で通過。これはゆったりとした流れか?ガルボとクラレントが前に接近し、リアルも外に持ち出し、シャークは依然として6番手辺りを走っている。トーセンラーはまだ後方。4コーナーから最後の直線に入り、コパノリチャードがまだ粘るが、内からダイワマッジョーレ、真ん中からクラレント、さらにダノンシャークも上がって来たが、一番外からトーセンラーが伸びて来た!残り200mでマッジョーレとシャークが抜けたかと思いきや、トーセンラーがラスト100mで2頭をあっさりとかわして先頭でゴールイン!京都巧者トーセンラー、初のマイル戦でGⅠタイトルを手にしました!
全着順&払戻金
1着⑤トーセンラー 1分32秒4
2着④ダイワマッジョーレ 1馬身
3着⑬ダノンシャーク 3/4馬身
4着①コパノリチャード 1馬身3/4
5着⑩ドナウブルー アタマ
6着⑦サンレイレーザー アタマ
7着②サダムパテック アタマ
8着③レッドオーヴァル アタマ
9着⑯グランプリボス 3/4馬身
10着⑱リアルインパクト 1/2馬身
11着⑫クラレント 1/2馬身
12着⑨ダノンヨーヨー ハナ
13着⑭リルダヴァル 3/4馬身
14着⑥ガルボ 1馬身1/2
15着⑰マイネイサベル 1馬身1/4
16着⑮ダークシャドウ 1馬身
17着⑪サクラゴスペル 1馬身1/2
18着⑧カレンブラックヒル 1馬身3/4
単勝 ⑤ 470円
複勝 ⑤ 180円 ④ 210円 ⑬ 140円
枠連 [2]-[3] 1630円
馬連 ④-⑤ 1930円
馬単 ⑤-④ 3250円
ワイド ④-⑤ 800円 ⑤-⑬ 390円 ④-⑬ 450円
3連複 ④-⑤-⑬ 2090円
3連単 ⑤-④-⑬ 12450円
絶対的な本命が不在、どの馬にも勝利のチャンスがあったであろう今年のマイルチャンピオンシップは、マイル初挑戦のトーセンラーが、後方から大外一気の差し切りを決め、6度目のGⅠ挑戦で待望の初勝利を飾りました。2着にはダイワマッジョーレが入り、1番人気だったダノンシャークは3着。連覇を狙ったサダムパテックは7着に終わり、4番人気クラレントは11着。トーセンラーと同じく「中長距離路線組」のダークシャドウは16着、カレンブラックヒルは最下位の18着に沈みました。春の安田記念で短距離馬のロードカナロアが勝ち、マイルCSで長距離路線の馬が制し、現在の日本のマイル路線はレベルがかなり低いなと実感しました。
優勝したトーセンラーの鞍上・武豊騎手は、マイルCS2連覇(史上5人目)を果たし、今年のGⅠ2勝目。そして、中央・地方・海外を含むGⅠ競走で、前人未到の通算100勝(JRA68勝、地方交流25勝、海外7勝)を達成しました!今年5月の日本ダービーでGⅠ99勝目を挙げ、100勝にリーチをかけながらも、なかなか勝てずにいましたが、このマイルCSでやっと大台に到達しました。レース後の表彰式では『百勝』のラベルが貼られた日本酒を掲げたユタカ騎手は、「まだまだ。もっと勝ちたい。来週にも101勝目を挙げたい」と節目の記録も通過点だと強調。来週のジャパンカップではヒットザターゲットに騎乗し、JRAのGⅠで唯一勝てていない「朝日杯フューチュリティステークス」では、ベルカントとのコンビで「中央GⅠ完全制覇」に挑みます。完全制覇の偉業も夢じゃないかも…。
いや~、それにしてもトーセンラーは京都だとよく走りますな~。通算4勝&重賞3勝は全て京都コースで挙げております。直線での大外一気の追い込みを見たときは、2011年のきさらぎ賞を思い出してしまいました。あの時はオルフェーヴルに勝ったんだよなあ…。今まで2000m~3200mの長距離戦ばかり使ってきたけど、今回は距離短縮がうまくハマったし、京都巧者ぶりを如何なく発揮させました。この後どこへ向かうのかわかりませんが、状態が良ければ香港遠征もあり得るか?
来週は東京競馬場で国際招待レース・ジャパンカップが行われます。宝塚記念を勝ったゴールドシップ、今年未勝利のジェンティルドンナ、エイシンフラッシュ、エリザベス女王杯から中1週で挑むデニムアンドルビー、アンコイルド、アドマイヤラクティなどが登録しています。海外からはジョシュアツリー(イギリス)、ドゥーナデン(フランス)、シメノン(アイルランド)の3頭が参戦します。これといって日本馬にとって脅威になりそうな馬がいない…。