牡馬クラシック第1戦・皐月賞を前日に控えた18日は、中山競馬場で障害レースのGⅠ競走・第17回中山グランドジャンプ(J・GⅠ 芝4250m 15頭立て)が行われました。昨年の優勝馬⑤アポロマーベリック、昨年末の中山大障害を&前哨戦のペガサスジャンプステークスを勝った④レッドキングダムのGⅠ馬2頭に加え、阪神スプリングジャンプを勝った⑦サンレイデューク、⑫アップトゥデイト、⑬ソンブレロ、①ファイヤーなどが参戦。レースは例年以上のサバイバルレースとなりました。
単勝上位人気は、レッドキングダムが1.5倍で1番人気、アポロマーベリックが2番人気(4.7倍)、3番人気のサンレイデューク(7.9倍)まで10倍を切り、4番人気以降はアップトゥデイト、ソンブレロ、シャイニーブラック、ファイヤー、⑮テンジンキヨモリと続きました。
レースはほぼ揃ったスタートで始まり、先行争いでアポロマーベリック・⑭ショウナンカミング・テンジンキヨモリの3頭が前を行き、最初の5号障害(生垣)でショウナンカミングが先頭で飛越。しかし、4コーナーを回ったところでアポロマーベリックが先頭に立つ。カミング・アップトゥデイト・シャイニーブラックの3頭が2番手集団を形成し、テンジンキヨモリは5番手に下がり、レッドキングダムは6番手に控える。その後、②ティリアンパープル7番手、8番手ソンブレロ、9番手サンレイデューク、10番手ファイヤー、11番手⑪リキアイクロフネ、12番手③ビコーピリラニ、13番手⑨カントリースノー、14番手⑧ミヤコデラックス、⑩サンマルボスが最後方追走。
かなり縦長の状態で2コーナーのバンケットを通過し、アポロが単独先頭、アップが3番手につけ、シャイブラ単独4番手、レッキンはキヨモりと並んで5,6番手。そしていよいよ大障害コースに差し掛かり、最初の難関・大竹柵をアポロマーベリックが先頭で飛越すると、後続も次々とクリア。最後方のサンマルボスはちょっと体勢くずしながらも難なく飛越を終えた。
大竹柵を全馬クリアし、今度は逆回り。5号障害でアップトゥデイトがアポロに差を詰める。レッドキングダムは已然5番手キープ。ソンブレロは単騎で8番手、デューク9番手追走。2度目の大障害コースに入るところで、アポロマーベリックが下りのバンケットを利用して引き離し、2つ目の難関・大生垣(赤レンガ)を先頭で飛び越えた。アップ、シャイブラ、レッキンらがスムーズに飛越する中、テンジンキヨモリが落馬してしまった。さらにこの後、2号障害(生垣)でカントリースノーも落馬競走中止。
3号障害→2コーナーバンケットを過ぎ、芝外回りコースに入ったところで、アップトゥデイトがアポロマーベリックに並びかけ、8号ハードル障害を同時にジャンプ。シャイニーブラック3番手キープ、レッドキングダムは4番手までポジションを上げ、サンレイデュークとソンブレロもペースを上げる。3コーナーのところで今度はアップがアポロをかわし、9号障害を先頭で飛越。レッドキングダムも前を追うが、前に届くか微妙な状況。後方ではショウナンカミングがバランスを崩して落馬。
4コーナーから最後の直線に入り、アップトゥデイトがラストスパート、アポロマーベリックはペースが落ち、レッドキングダムは後退。サンレイデュークとソンブレロが2番手争いに加わる。最終障害(10号ハードル)でアップが先頭、ソンブレロとデュークが同時に飛越。レッキンは躓いたが大丈夫。アップトゥデイトは後続に大差をつけ、悠々と先頭でゴールイン。ソンブレロがゴール前で抜け出し2着、サンレイデュークが3着に入りました。
中山グランドジャンプ 全着順&払戻金
1着⑫アップトゥデイト 4分46秒3
2着⑬ソンブレロ 大差
3着⑦サンレイデューク 2馬身2/1
4着⑥シャイニーブラック 10馬身
5着⑤アポロマーベリック 2馬身2/1
6着②ティリアンパープル クビ
7着④レッドキングダム 4馬身
8着③レッドキングダム 3馬身2/1
9着⑧ミヤコデラックス 大差
10着⑩サンマルボス 大差
中止①ファイヤー
中止⑨カントリースノー
中止⑪リキアイクロフネ
中止⑭ショウナンカミング
中止⑮テンジンキヨモリ
単勝 ⑫ 1200円
複勝 ⑫ 440円 ⑬ 500円 ⑦ 340円
枠連 [7-[7] 5290円
馬連 ⑫-⑬ 4640円
馬単 ⑫-⑬ 11490円
ワイド ⑫-⑬ 1170円 ⑦-⑫ 1010円 ⑦-⑬ 1030円
3連複 ⑦-⑫-⑬ 6450円
3連単 ⑫-⑬-⑦ 69700円
春の最強障害馬を決める一戦は、障害戦では異例のハイペースで進み、優勝タイム・4分46秒3のレコード決着。その一方で落馬が多発し、15頭中10頭が完走いうグランドジャンプ史上最も過酷なレースとなりました。優勝したのは単勝4番人気のアップトゥデイトで、外回り3コーナーでアポロマーベリックをかわして先頭に立つと、4コーナーで一気に突き放し、ぶっちぎりの圧勝を飾りました。2着は5番人気・ソンブレロ、3番人気・サンレイデュークが3着に入線し、「阪神スプリングジャンプ」組が上位を独占しました。連覇を狙ったアポロマーベリックは、序盤から飛ばすも最後に力尽きて5着。断然の1番人気だったレッドキングダムは直線伸びず7着に終わりました。最後の障害でバランスを崩したシーンは、落馬するかと思いました。
このレースは5頭が競走を中止。大生垣でテンジンキヨモリ、2周目2号障害でカントリースノー、芝コース3コーナーの9号障害でショウナンカミングが転倒。さらにはリキアイクロフネも道中前の馬に躓いて落馬。ファイヤーも終盤故障でレースを止めました。カミングは鼻骨を骨折し、鞍上の草野太郎騎手は右下腿打撲。ファイヤーは左肩跛行。キヨモリ騎乗の江田勇亮騎手は左腕を負傷、カンスノに乗っていた原田和真騎手は左鎖骨を骨折しました。また、レッドキングダムもレース中に左肩跛行を発症を発症したとの事です。
優勝したアップトゥデイトは、平地では2歳時に2勝を挙げ、2012年の全日本2歳優駿で3着と好走。4歳時の2014年の9月に障害に転向し、10月の未勝利戦と11月のオープン戦で連勝。GⅠ初挑戦となった今回の勝利で障害3勝目、2度目の重賞挑戦で初制覇を果たしました。
鞍上の林満明騎手にとってもJ・GⅠ初勝利。過去に障害の重賞で9勝を挙げ、アワパラゴンとのコンビで重賞3勝。自身の重賞勝ちは2011年の東京ハイジャンプ以来約4年ぶりで、これが節目の重賞10勝目です。林騎手は競馬学校の1期生で、柴田善臣騎手、石橋守元騎手、須貝尚介調教師らと同期生でした。デビュー30年目にして初めて掴んだGⅠタイトル、心から「おめでとう」と言いたいです。