有馬記念を前日に控えた12月23日(天皇誕生日)は、東西で注目の重賞競走が行われました。中山競馬場の「第140回中山大障害」は、障害GⅠ3連勝中のオジュウチョウサンが2年連続の春秋連覇に挑戦。阪神競馬場の「阪神カップ」は、GⅠ級のメンバーが集結しました。
第140回中山大障害(J・GⅠ 芝4100m 15頭立て)は、現役最強ジャンパー⑦オジュウチョウサン、2015年に障害GⅠ春秋連覇を達成した⑥アップトゥデイト、グランドジャンプ2着⑧サンレイデューク、秋陽ジャンプステークスを勝った④シンキングダンサー、昨年の中山大障害で3着だった⑮ルペールノエル、京都JSを制した⑬マイネルフィエスタ、平地で重賞経験のある⑭クランモンタナ、イルミネーションJS2着⑨ミヤジタイガなどが参戦しました。
スタートは15頭揃って飛び出し、最初の5号生垣障害で、③スズカプレスト・⑩ユウキビバワンダー・オジュウチョウサン・クランモンタナの先頭グループが同時に飛越すると、後続も無事に飛越。正面スタンド前のところで、アップトゥデイトがスズカプレストをかわして先頭に上がると、後続を大きく引き離す。クランモンタナ3番手、オジュウチョウサン4番手、5番手にユウキビバワンダー、6番手ミヤジタイガ、7番手⑤テイエムオペラドン、8番手⑬マイネルフィエスタ、9番手サンレイデューク、10番手シンキングダンサー。その後はルペールノエル、②ビコーピリラニ、⑪サムライフォンテン、①ウインヤード、⑫クラシックマークと続く。
2コーナーのバンケット→向正面で、アップトゥが大逃げを打ち、プレストが2番手、3番手モンタナ、オジュウがその後ろの4番手を追走。15頭は大障害コースを通り、最初の難関・大竹柵障害へ。まず先頭のアップトゥデイトが先頭で飛越すると、オジュウチョウサンらも次々とクリア、最後方のクラシックマークまで全馬クリア。
左回りコースに入ったところで、アップトゥがまた差を拡げ、オジュウが単独2番手、モンタナ3番手、プレスト4番手後退。ミヤジ5番手、フィエスタ6番手、7番手オペラドン、8番手デューク、シンギングは9番手、ルペール10番手。15頭は2度目の大障害コースに入り、2度目の難所・大生垣(赤レンガ)に挑む。先頭のアップトゥデイト、2番手オジュウチョウサンが飛び越えると、他の各馬も続々とジャンプし、ここも落馬なし。
順回りコースに戻り、アップトゥデイトの大逃げが続くが、オジュウチョウサンが徐々に差を詰めようとする。3号障害で3秒差、4号の竹柵障害で約2秒差。後続では、ミヤジタイガが3番手に上がり、マイネルフィエスタ4番手に進出。先頭争いでは、アップトゥとオジュウの差が段々縮まり、最終障害で約1秒差!
優勝争いはアップトゥデイトとオジュウチョウサンの2頭に絞られ、平場勝負となった!アップトゥが先頭で芝直線コースに入るも、オジュウがピタリと射程圏内。ゴール残り200mでオジュウが外に持ち出すが、残り100mでもアップトゥが粘る。しかし、ゴール前でオジュウがついにアップトゥを捕らえ、1着ゴールイン!オジュウチョウサンが大逆転で大障害2連覇!やはり絶対王者は強かった!
伝統の障害重賞・中山大障害は、今までの大障害の中で一番興奮したレースだったと思います!アップトゥデイトが大差で逃げ続け、オジュウチョウサンが必死に猛追。直線での攻防はまさに意地のぶつかり合いでした。アップトゥデイトが粘る場面では、「逃げ切っちゃうの?」と思いましたが、最後の最後でオジュウチョウサンが差し切りました。10馬身以上も離されながらも、最後は勝ちきったオジュウは本当に強すぎるなって思いました。アップトゥも最後までスタミナが切れなかったし、GⅠ馬としての意地を見せてもらいました。
1着はオジュウチョウサン、2着にアップトゥデイト、大きく離れた3着争いはルペールノエルが3着に入り、3番人気のシンギングダンサーが僅差で4着。今年も15頭全馬完走しました。勝ちタイム4分36秒1は、中山4100mのコースレコード。1991年秋のシンボリモントルーが出した4分37秒2の記録を1秒1も更新。
オジュウチョウサンはこれで障害GⅠで4連勝、さらには重賞競走8連勝を達成。今年4月のグランドジャンプで優勝した後、右脚を骨折して半年も休養。復帰戦の10月の東京ハイジャンプでは、直線突き抜けて大差の圧勝。今回は単勝1.1倍の圧倒的人気を集め、見事に大障害2連覇を果たしました。この日のオジュウは何時になく危なかったけど、それでも強かったなあ。世間では「キタサンブラックは最強」だと言われているけど、オジュウチョウサンの方が最強だと思っています。
阪神のメイン・第12回阪神カップ(GⅡ・芝1400m 18頭立て)は、2014年皐月賞馬でこのレースを最後に引退する②イスラボニータ、マイルチャンピオンシップ2着⑩サングレーザー、4連勝中の3歳馬⑦モズアスコット、桜花賞馬⑤レーヌミノル、1400mで4勝の⑪アポロノシンザン、昨年の勝ち馬⑰シュウジ、さらにはCBC賞で復活を果たした⑱シャイニングレイ、京阪杯2着⑨ビッブライブリー、芝初挑戦の⑬モーニン、⑫ダンスディレクター、⑯ミスエルテなどが参戦しました。
スタートでシュウジが少し出遅れたのに対し、アポロノシンザンが好スタートを決めてハナを切る。2番手から⑮トウショウピスト、外からシャイニングレイが3番手に上がる。4,5番手にダンスディレクターと①オールザゴーが並び、6,7番手にビップライブリーとイスラボニータ、その後ろの8番手にレーヌミノルがつける。中団外側にモズアスコット、内側に④オールザゴー、11番手⑥キャンベルジュニア。12番手ミスエルテ、13番手⑧エポワス、14番手③タガノブルグ、その後ろの15番手にサングレーザーがいる。後方はモーニンと⑭サンライズメジャーが並走し、シュウジがポツンと最後方。
内回り3,4コーナー中間を過ぎ、アポロノが先頭、ピストが2番手、シャイニング3番手変わらず。ボニータとモズアスが中団で並走し、すぐ後ろにレーヌ9番手、ミスエルテ10番手。キャンジュニとレーザーはまだ中団後ろ。レーザーは外に持ち出した。
最後の直線コースに差し掛かり、アポロノシンザンがまだ先頭をひた走るが、真ん中からダンスディレクター、外からモズアスコットが追い込み、さらにはイスラボニータも突っ込んでくる。残り200mでディレクターが先頭に立ち、ボニータが外から接近。ゴール前で胴体となり、まったく並んでゴール!そして大外からサングレーザーが上がって来るも3番手まで。
関西では今年最後の重賞レース・阪神カップは、7番人気・ダンスディレクターと2番人気・イスラボニータの叩き合いとなりましたが、イスラボニータが接戦をモノにしました。ダンスディレクターは一旦先頭に立ちましたが、ゴール前で差されてハナ差の2着。3番人気のサングレーザーは3着、1番人気のモズアスコットは4着。初芝のモーニンが6着と健闘し、桜花賞馬のレーヌミノルは7着、前回覇者のシュウジは12着に終わっています。
勝ったイスラボニータは、読売マイラーズカップ以来の勝利を挙げ、通算で重賞6勝目。引退レースで見事に勝利し、有終の美を飾りました。道中は中団を走り、直線では馬群の中から追い上げ、ダンスディレクターとモズアスコットの間を割り込み、ゴール手前でディレクターをかわしました。ラストランで根性を出し切りましたね!
3歳時は3連勝で皐月賞を制し、ダービーでは2着。古馬になってからは2着と3着が多かったけど、それほど安定していたという証だと思います。今思うと、GⅠをもう1勝できたと思うけどなあ。イスラボニータさん、本当にお疲れさまでした。種牡馬でも優秀な成績を残し、余生をゆっくりお過ごしください。
さあそして、12月24日のクリスマスイヴは、中央競馬の総決算・有馬記念です!前日オッズでは、ラストランの①キタサンブラックが1.8倍で1番人気。3歳馬のスワーヴリチャードが5.0倍で2番人気、GⅠ連勝を狙う⑩シュヴァルグランが7.2倍で3番人気。その後は⑫サトノクラウン、⑬ミッキークイーン、①ヤマカツエース、⑦シャケトラ、③クイーンズリング、⑪ルージュバックと続いています。
キタブラはGⅠ7勝目、サトクラはグランプリ春秋連覇、シュヴァルはジャパンカップに続いてのGⅠ連勝がかかっています。23日の中山競馬はステイゴールド産駒が大活躍を見せ、オジュウチョウサンが中山大障害を制すると、メインのグレイトフルステークス(有馬と同じ2500m)ではステゴ産駒の馬が1~3着を独占。ということは、ステゴ産駒の⑧レインボーラインにもチャンスあるかもしれないぞ…。全国民注目の有馬記念は15時25分に発走します!