行政法、税法と期末試験を行ってきました。答案を読み、採点をして、前期末試験などと合わせて評価を出す訳ですが、その度に、気になることがいくつもあります。
毎年、必ず何枚かあるのですが、憲法は法律の一種であるというような趣旨の答案を書いてくるのです。これが嘘であれば、私もつまらない冗談なり洒落なりと片付けられるのですが、本当の話だから困ってしまうのです。
法学部でない学部の学生であれば、私としてもまだ理解できます(だからと言って手加減はしません。大分大学時代の7年間に憲法の講義を担当したのですから)。法学部、しかも法律学科の学生が「憲法=法律の一つ」などと理解しているとなると、根本的な問題となってしまいます。
イギリス、イスラエルなどのような不文憲法の国であれば、実質的な憲法の一部が法律の形をとっているという例がありますから、「憲法=法律の一つ」ということもありうるでしょう。しかし、日本は成文法主義の国です。法律が実質的な憲法の一部であるということがありうるとしても、憲法と法律とをしっかりと区別する必要があります。
こんなことを書かなければならないのに忸怩たる思いがないといえば、それこそ嘘になります。いや、こういう場合には嘘として書きたいものです。しかし、残念ながら嘘ではないのです。それでも、書かざるをえません。