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ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

東京の白山神社(1)

2015年10月31日 09時40分41秒 | まち歩き

 2012年度より、講義期間中のみではありますが、週に一回、文京区白山五丁目にある東洋大学で大学院法学研究科の講義を担当しています。

 これまでにも、何度か白山や本駒込を取り上げています。「何度も歩いているから」ということもあるのですが、「気に入っている街であるから」という理由でなければ、写真を撮ったりすることもないでしょう。都営三田線白山駅、東京メトロ本駒込駅の周辺は寺町と言える所で、とにかく寺院が多いのですが、今回は寺院でなく、地名の由来ともなっている神社です。

 都営三田線白山駅のA3出口から、白山上交差点のほうへ向かう道ではなく、その脇に入り、小さな公園のある交差点を左折すると、すぐに白山神社の鳥居が見えます。

 真っ直ぐ向かう前に、交差点の近くにある文京区の「旧町名案内」を見ておきたいものです。白山駅を含むこの辺りは、1966(昭和41)年まで白山前町といいました。白山神社(白山権現社)の門前町であったためです。領域は、現在の白山五丁目の一部と同一丁目の一部です。大まかにいえば、国道17号線の西側、東洋大学の南側、という感じでつかめばよいでしょう。

 白山神社は、天暦2年、西暦に直せば948年に建立されました。石川県白山市にある加賀一ノ宮の白山比咩神社を、武蔵の地に祀ったのが始まりなのですが、当初はこの地でなく、本郷元町(旧本郷区の元町。現在の本郷の一部)にありました。後に、正確な年代などはわからないのですが現在は小石川植物園となっている場所に移り、明暦元年、西暦に直せば1655年に、現在の場所に移転したとのことです。

 旧本郷区と旧小石川区が合併して成立した文京区には、江戸幕府との関係が深い街が多く、歩いていると様々な発見があります。

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日本国憲法の「なしくずしの死」 臨時国会召集請求問題に関連して

2015年10月27日 13時03分56秒 | 国際・政治

 ルイ・フェルディナン・セリーヌの小説の題名(勿論邦訳。フランス語の原題を示すと文字化けする可能性があります)をタイトルに掲げましたが、私はこの言葉を大分大学教育福祉科学部で憲法の講義を担当していた時によく使っていました。まさに、日本国憲法が置かれている状況に相応しい表現と考えたからです。

 現在、野党側が臨時国会の開会を要求しているのに対し、内閣が全く応じず、来年1月に開会される予定の通常国会を、例年より大幅に早い時期(1月上旬。通常は下旬)に召集する方向を示しています。これまで、臨時国会の開会要求は(今回も含めて)36回もなされていますが、21世紀に入ってから、過去に2回、いずれも小泉内閣時代に臨時国会が開かれていません(今日付の朝日新聞朝刊⒋面14版「少数派尊重 憲法の趣旨どこへ 臨時国会 内閣は召集しない構え」によります)。

 このような事態に関して、内閣が憲法違反を犯しているという批判もあります。その通りとも考えられます。しかし、実は憲法自体に問題がないとは言えないのです。ここを利用すれば、なしくずしの死に至らせることも可能でしょう。

 憲法第53条は「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と定めています。問題は後段です。今回は衆議院の総議員の4分の1以上に該当する議員が召集を要求している訳ですから、内閣は応ずる義務があります。

 ところが、何時までに応じなければならないかがわかりません。何も書かれていないのです。

 通常国会であれば、第52条が定めるように「毎年一回」としておけばよいのですが、臨時国会や特別国会では話が変わってきます。現に、第54条第1項は「衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。」、同第3項は「前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。」と定めていますし、第59条第4項は「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。」、第60条第2項は「予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。」と定めています。

 念のために国会法を参照しますと、第2条は「常会は、毎年一月中に召集するのを常例とする。」、第2条の2は「特別会は、常会と併せてこれを召集することができる。」と定めています。または、第2条の3第1項は「衆議院議員の任期満了による総選挙が行われたときは、その任期が始まる日から三十日以内に臨時会を召集しなければならない。但し、その期間内に常会が召集された場合又はその期間が参議院議員の通常選挙を行うべき期間にかかる場合は、この限りでない。」、同第2項は「参議院議員の通常選挙が行われたときは、その任期が始まる日から三十日以内に臨時会を召集しなければならない。但し、その期間内に常会若しくは特別会が召集された場合又はその期間が衆議院議員の任期満了による総選挙を行うべき期間にかかる場合は、この限りでない。」と定めています。つまり、衆議院議員総選挙または参議院議員通常選挙が行われた場合に関しては臨時会の召集期日が定められているのですが、議員側から臨時国会の召集を求められた場合の期日の規定が存在しないのです。

 臨時国会の召集について期日が定められていない点は、実は自由民主党も問題としており、同党の改憲草案には20日以内と明記されています(それすら無視されているのが、今回の最大の問題とも言えます)。現行の第53条については、おそらく、召集を実質的に決定する内閣の裁量に委ねるという理解なのでしょう。

 手元にある宮澤俊義(芦部信喜補訂)『全訂日本国憲法』(1978年、日本評論社)399頁は、「議員から、一定の期日に召集せよとの要求があった場合に、内閣はその期日に拘束されるか」という問いを立て、「内閣は、要求者たる議員が指定する期日に召集すべき拘束を受けるものではない、と解すべきである。先例もそう解する。議員が期日を指定して召集を要求した場合は、内閣はその期日に法律上拘束されると解すべき根拠はどこにも見出されない」と答えています。たしかにその通りでしょう。しかし、それならば、内閣は何時臨時国会を召集してもよいのでしょうか。宮澤(芦部補訂)・前掲書同頁は「内閣は、召集の時期をいつと決定しなくてはならないか」という問いを立て、400頁において先例を引き合いに出しつつも「内閣はいつ召集することに決定してもいいかといえば、そう解することは、正当ではない」と述べ、続けて次のように論じています。

 「いやしくも、議員から本条によって要求がなされた場合には、内閣は、国会召集の手続を行うために、通例必要とされる期間を経た後に、国会を召集することを決定すべきであり、それ以上に、その召集をおくらせるべきではあるまい。先例では、そうした要求があってから、二か月またはそれ以上たってから召集している例があるが、これは不当である。本条による要求があった場合、内閣はいくらおそく召集してもいいということになれば、本条が議員に召集の要求権をみとめたことが無意味になってしまうだろう。

 先例では、召集されるべき国会に内閣が提出すべき案件の準備ができていないことをもって、すぐに召集しないことの理由としているが、これは不当である。議員から召集を要求される国会の臨時会の権能は、内閣が提出する案件の審議にかぎられるものではないことはもちろんであるから、内閣がそこに案件を提出する準備ができたかどうかは、召集の時期の決定に少しも影響をおよぼすべき事情ではない。内閣としては、右に述べられたような相当な期間(せいぜい二、三週間でよかろう)のうちに臨時会の召集を決定すべきである。」(同書400頁)

 参照した文献が古いということについては御容赦を願うこととして、内容は妥当でしょう。私も、このように解釈するのが正しいと考えています。もう一冊、手元にある長谷部恭男『憲法』〔第6版〕(2014年、新世社)362頁も、召集時期については明言していないものの、「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、召集を決定しなければならない」と述べています。

 しかし、憲法にも国会法にも臨時国会の召集の期日が明文で定められていないことが、問題を大きくしていることは否定できないでしょう。これでは、内閣のほうで通常国会の召集時期を早めに設定することなどにより、臨時国会を召集しなくともよいということになり、憲法第53条後段は空文に帰し、実質的に削除されたのと同じことになります。まさに「なしくずし」の改憲という事態です。悪いことに、これを招いたのは憲法自身であり、国会法でもあります。もっとも、だからと言って臨時国会を召集しないことが許される訳ではありません。特別国会など、期日を定めている条文に倣って、召集期日を決定すべきです。

 参考までに、地方自治法第101条を掲げておきましょう。同条の第2項は、「議長は、議会運営委員会の議決を経て、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる。」と定めており、さらに、次のように定めています。

 同条第3項:「議員の定数の四分の一以上の者は、当該普通地方公共団体の長に対し、会議に付議すべき事件を示して臨時会の招集を請求することができる。」

 同条第4項:「前二項の規定による請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、請求のあつた日から二十日以内に臨時会を招集しなければならない。」

 同条第5項:「第二項の規定による請求のあつた日から二十日以内に当該普通地方公共団体の長が臨時会を招集しないときは、第一項の規定にかかわらず、議長は、臨時会を招集することができる。」

 同条第6項:「第三項の規定による請求のあつた日から二十日以内に当該普通地方公共団体の長が臨時会を招集しないときは、第一項の規定にかかわらず、議長は、第三項の規定による請求をした者の申出に基づき、当該申出のあつた日から、都道府県及び市にあつては十日以内、町村にあつては六日以内に臨時会を招集しなければならない。」

 国会法にも同様の規定を置く必要があるのではないでしょうか。

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13年前に買ったiBook 600

2015年10月25日 21時55分49秒 | デジタル・インターネット

 先日、実家にあるiBook G3 600を、久しぶりに動かしてみました。

 大当たりの機械であったためか、それともマッキントッシュであったからか、理由はわかりませんが、しっかりと動きました。ちなみに、OSはMac Ⅹですが、ヴァージョンは10.2のままのはずです。そのため、OS 9も動かせます。

 このiBook G3 600は、ぼくが最初に購入したマックで、大分大学教育福祉科学部の助教授になった2002年の6月14日、デオデオ大分本店で購入しました。2001年モデルでしたので、購入当時で既に少し古い型番となっていましたが、それを承知で購入しました。

 理由は、当時、研究室で使用していたWindows XPの機械でトラブルが頻発し、仕事にならないと悩んでいたためです。その頃、Mac OS Ⅹの安定性が増したということを何かの雑誌で読んだことから、将来のメイン機になりうることを想定して、予備機として購入したのです。早い話が様子見のためですが、大分大学助教授時代、そして大東文化大学助教授時代に、非常に使用頻度が高い予備機となりました。大学での講義で使用したこともありますし、遠出をする際に何かと持ち歩く機械となりました(現在ではMacBook Airを持ち歩いています)。キーボードの操作感はあまりよくないのですが、とにかく丈夫で使い勝手が良いのです。

 しかも、これまた理由がよくわからないのですが、iBook G3 600は女性に受けがよい機械でした。大分大学時代のゼミ生にも好評でしたし、東京・大分間の飛行機の中でこれを使っていたところ、JALであったかJASであったかANAであったか、どこの航空会社であったかは忘れましたが、客室乗務員の女性に、いかにも、欲しい、持っているなんてうらやましい、というような歓声をあげられ、むしろこちらが驚いたということもありました。よほど欲しかったのでしょうか。

 2015年の今、OS 9を使うことなどないでしょうし、10.2ではとうの昔に実用的でなくなっていますし、さりとて10.11(Mac OS Ⅹ El Capitan)にすることはできません。しかし、動作は安定していますし、今では入手困難なソフトも入っていますので、何かの折にまた使ってみようと思っています。

 こんなことを書いているぼくは、新しいMac Bookの操作感などに魅了されてしまい、渋谷、銀座、そして二子玉川でいじってみて買いたくなったのですが、性能などを考え、どうしようかなどと考えながら現在に至っています。

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司法試験の考査委員から法科大学院教員を排除へ(但し、2016年度のみ?)

2015年10月21日 22時43分19秒 | 法律学

 このブログでは敢えて取り上げないでおいたのですが、やはり、司法試験考査委員から受験生に試験問題が漏洩した事件は、大きな衝撃を与えるものでした。

 そこで、ということなのでしょう。法務省は、今日、2016年の司法試験考査委員から法科大学院の教員を排除する方針を固めました。時事通信社が、今日の21時42分付で「法科大学院教員を除外=来年の司法試験考査委員-法務省」(http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2015102100903)として報じています。

 但し、これは2016年のみの措置とのことで、2017年以降については検討が続くようです。

 とりあえず、2016年実施予定の試験については、考査委員を実務家、法科大学院OB、学部のみで指導する教員により構成するようです。実施上の難点の有無はともあれ、妥当な方針と言えるでしょう。大学教員を入れるのであれば、当初から法科大学院の教員を排除すべきであったとも言えます。

 

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六法の参照は非常に大事

2015年10月19日 09時26分08秒 | 法律学

 10年前、つまり2005年度の4月から半年ほどの間、私は、早稲田大学法職課程教室公務員試験講座の専門科目講座「行政法」を担当していました。全15回で、講義期間中の毎週月曜日、18時から21時までです。記憶に誤りがなければ7号館でした。毎回教材を作成していたので、前日の日曜日となるとほぼ一日を潰していました。

 それから10年が経過し、今年度(2015年度)、5月から、月曜日の6限(18時半から20時まで)に、私は法学研究所(大東文化大学法学部法律学科の付置機関)の公務員講座「行政法」を担当しています。過去問などを題材にしつつ、学部の講義とは違う観点に立って、話を進めていきます。私自身が教材を作成し、過去問の解説も記しています。

 このような仕事をしていると、改めて気づくことがあります。普段から六法を参照して勉強することの重要性です。法律の条文を読みながら学習しなければ、やはり無意味なのです。

 よく、公務員試験は判例が重要だといいます。実のところ、これは半分は当たっていますが、半分は外れています。やはり、法律に関する試験問題が出される訳ですから、条文に関する知識が大前提になっているのです。条文と判例の順序を間違えてはいけません。まずは条文があり、その条文の解釈などをめぐって争われるから判例があるのです(ほとんどの場合はこれに該当します)。判例の重要性を肯定するのは当然なのですが、だからといって条文を疎かにしたら、何が争点なのかを理解することすら難しくなるでしょう。

 行政法の過去問を参照するとすぐにわかりますが、これといった判例が存在しないような分野があります。また、判例の有無に関係なく、条文に関する知識が必要な分野がいくつも存在します。例えば、行政手続法に関する出題がそうで、条文の趣旨についてかなり細かいところを問うものが多いのです。

 こうなると、普段から重要な法律、例をあげるならば行政手続法、行政代執行法、行政事件訴訟法、行政不服審査法などの重要な規定に何度も繰り返して目を通し、確認しておくことが必要となります。実際の試験では六法を参照することができませんし、問題によっては参照条文が書かれているとは言え、行政手続法や行政事件訴訟法などの条文は書かれませんから、覚えているか否かで結果が異なります。問題の選択肢には、条文の引き写しに近い文章も含まれていれば(これが正解であったりします)、紛らわしい表現であるがよく読むと不正解であることがわかるもの(勿論、引っかけを意図しています)も含まれています。一度も条文を読んだことがなければ正解を見つけられるはずがありませんし、参照の度合いが不十分であっても、正解に至ることはないでしょう。

 こう記すと、六法の参照が面倒だ、などという声が聞こえてきそうです。たしかにそうです。しかし、最初に億劫がり、面倒くさがっては、後が大変です。最初の苦労を省くと、後の苦労が大きくなる訳です。毎日のように読んでいれば、いつの間にか覚えてしまうものです。正確に暗唱できる必要があるかどうかは、私にもわかりませんが、少なくとも趣旨は覚えられます。小説などを何度も読んでいれば、少なくともあらすじなどを詳しく語ることができるようになり、印象的なフレーズであれば完全に諳んじることができるようになるのと同じことです。「読書百遍意自ずから通ずる」という言葉は、六法の参照についても当てはまります。何しろ、それほど記憶力のよくない私でも、いくつかの条文は暗記できるようになったのです。

 私は中央大学法学部法律学科を卒業し、早稲田大学大学院法学研究科修士課程を修了しました。その間、周囲に司法試験(勿論、当時ですから旧司法試験です)の勉強をしていた者が多かったため、六法の活用に自分なりの工夫をしている人をよく見かけ、私にできることがあれば真似たりしたものです。新司法試験の現在でも、教材なり勉強法なりは多少変わっているでしょうが、基本的な部分では同じことではないでしょうか。

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三江線は廃止されるか

2015年10月17日 15時02分21秒 | 社会・経済

 以前から廃止の噂があった三江線ですが、JR西日本が同線について今後のあり方を検討していることが明らかになりました。朝日新聞社が今日の7時46分付で「JR西日本、三江線廃止を検討 地元に戸惑い広がる」(http://www.asahi.com/articles/ASHBJ513FHBJPTIB00S.html?iref=comtop_6_03)として報じています。

 三江線という路線名を耳にしても、どこかわからないとおっしゃる方もおられるでしょう。山陰本線の江津駅(島根県)から芸備線の三次駅(広島県)まで108.1kmの路線で、いわゆる陰陽連絡線の一つです。しかし、国鉄時代から営業成績は悪く、1975年に全通する前、三江北線、三江南線の双方が赤字83線として国鉄諮問委員会から廃止を勧告されたこともあります。この際は、途中の浜原~口羽が建設中であったことなどから存続が決まりました。1980年代には特定地方交通線に指定される可能性も高かったのですが、除外されました。代替道路の未整備が理由とされています。

 それにしても、営業成績が悪いことに変わりはありません。しかも、年々悪化しています。上記朝日新聞社記事によると、1992年度の利用者は1日平均で1409人で、これでも多いとは到底言えない数字ですが、2014年度には183人となっていました。2014年度の輸送密度は50人で、これはJR北海道で最も低い札沼線の北海道医療大学⇔新十津川(81人)を下回り、JRグループでは最低の数字となります。ちなみに、廃止された岩泉線(JR東日本。盛岡県)の2009年度における輸送密度は29人であり、一部廃止が決定した留萌本線の全線における2014年度の輸送密度は142人です。

 2010年には沿線自治体によって三江線活性化協議会が結成されました。その後、三江線では、2012年の10月から12月まで社会実験が行われ、列車(と言っても1両だけのワンマン運転ですが)の代わりにバスを増便したのですが、1日平均の利用人員が226人しかいなかったのでした。

 ついでに記すならば、赤字83線の勧告がなされたのは、私が生まれた1968年のことですから、実に47年前のことでした。それ以来、機会がある毎に廃止か存続かが検討されてきたこととなります。半世紀近くにわたってよくぞ存続したものです。また、特定地方交通線から除外された路線であっても、深名線、岩泉線は廃止されています。

 今月に入って、JR西日本から島根県の副知事に連絡が入りました。今後の三江線について検討したいという意向が、同社から伝えられたとのことです。その後も同社から県に説明が行われたのですが、廃止という言葉そのものは出されなかったということです。ただ、同社は、記事の文言を引用するならば「地域交通のあり方について検討に入りたい」という趣旨を島根県に伝えたのであり、廃止も示唆されていると理解するのが妥当でしょう。

 ただ、廃止が検討されるのであれば、2013年8月24日の大雨による全線運休からおよそ11か月ぶりに、つまり2014年7月に全線で運転を再開したのは何であったのか、という疑問は残ります。2013年の災害では、井原川橋梁の橋脚が折れたり、72箇所で土砂の流入や土石流などの被害を受けており、10億円以上の費用がかけられています。JR西日本がいつから廃止を検討してきたのか、詳しいことがわからないのですが、利用客が極端に少ないのであれば、当然、大金をかけて復旧するだけの意味があるのか、岩泉線のように復旧を断念して廃線とするか、検討を重ねたはずです。

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この閣議決定は生きているのか? (生きているはずであるが)

2015年10月16日 09時00分32秒 | 法律学

 私は、ここ何年間か、大東文化大学法学部で法学特殊講義2A(財政法A)・2B(財政法B)という講義を担当しています。2003年に熊本県立大学総合管理学部で、2007年、2009年および2011年に福岡大学法学部で行った集中講義と、基本的な構造は同じです(勿論、年度によって内容を変えています)。

 10月20日か27日の講義で、今も施行されていない財政法第10条を取り上げます。それに関連するものとして、「官公庁における寄附金等の抑制について(次官通達)」という文書があります。1948(昭和23)年1月30日の閣議決定で、国立国会図書館のサイトに掲載されています(https://rnavi.ndl.go.jp/politics/entry/bib00855.php)。今回は全文を紹介しておくこととしましょう。何か問題がありましたら、すぐに削除しますので、御連絡をいただければ幸いです。

 「財政の窮迫化に伴い、最近諸官庁(学校を含む。)においてその経費の一部を諸種の寄附に求める傾向が著しいが、寄附者の自由意志によると言われる揚合においても、その性質上半強制となる場合が多く、或いは国民に過重の負担を課することとなり、或いは行政措置の公正に疑惑を生ぜしめる恐れなしとしない。

 よつて、極力かかる傾向を是正するため、次の方針によるものとする。

 1 官庁の諸経費は、予算でもつて賄い、寄附金等の形によつて他に転嫁することは、極力これをつつしむこととし、これがため行政諸政策は、国家財政との関連において実行可能のものに限定するよう努めること。

 2 官庁自身による場合はもとより、後援団体を通じてなす場合においても寄附金の募集は厳にこれを禁止すること。

 3 自発的行為による寄附の場合においても、割当の方法によるものでなく、旦つ主務大臣が弊害を生ずる恐れがないと認めたものの外その受納はこれを禁止すること。

 4 前項によつて主務大臣が寄付の受納を認めた場合には、

 (イ)醵金にあつては、これを歳入に繰入、醵金の主旨を考慮の上予算的措置を講ずるものとすること。

 (ロ)公共施設の寄附(適正賃貸料を下廻る借入の場合を含む。)にあつては、所定の手続をなし、且つこれを公表するものとすること。

 5 主務大臣は前各項の趣旨を部内に徹底せしめる措置を講ずること。

 6 地方公共団体に対しても前各項に準ずるようその自粛を求めること。」

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高津駅で総合検測車TOQ i(東急7500系)に遭遇

2015年10月14日 00時00分00秒 | 写真

昨日(10月13日)、高津駅で総合検測車TOQ i(7500系)を見ました。

電車から降りたばかりの時に4番線ホームを通過したため、iPhone6で撮影しました。

 総合検測車TOQ iは、2012年に登場した事業用車で、上り側(田園都市線で言えば渋谷側)にデヤ7500、下り側(田園都市線で言えば中央林間側)にデヤ7550という編成です。中間にサヤ7590をはさむことがありますが、撮影時は連結しておらず、デヤ7500とデヤ7550との間に7700系の3両編成(7903F)をはさみこんでいました。

 TOQ iは、東急の鉄道線(軌道線である世田谷線を除く全線)の軌道検測および架線検測を行うための車両ですが、今回のように7700系などをはさんで走ることもあります。これは、池上線・東急多摩川線の車両(2代目7000系を除く)にATC機器が搭載されていないためで、長津田車両工場で行われる定期検査のための回送にも使用されます。池上線・東急多摩川線の車両は雪が谷検車区に所属するため、同検車区→蒲田駅→多摩川駅→田園調布駅→大岡山駅→二子玉川駅→長津田駅→長津田車両工場というルートを使うこととなります(復路はこの逆を進みます)。 

 なお、2015年2月16日に二子玉川駅で撮影した動画も掲載しておきます。

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講義中に思い浮かんだこと 公債発行特例法は違憲の疑いがある法律ではないのか

2015年10月13日 19時06分28秒 | 国際・政治

 今日の午前中、大東文化大学法学部で法学特殊講義2B(財政法B)の講義をしていました。その時、ふと思い浮かんだことがあります。既にどなたかが指摘されておられるとは思うのですが、記していきます。

 通称を赤字国債という特例公債の発行については、平成23年度まで、ほぼ毎年、財政法第4条に対する特例法が制定されていました。しかし、平成24年度からは「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律」が、毎年ではなく、将来の数年間にわたって公債の発行を認める旨を定めています。

 この法律は、次のようなものです(平成25年11月22日法律第76号による改正後のものです)。

 

(趣旨)

第一条 この法律は、最近における国の財政収支が著しく不均衡な状況にあることに鑑み、平成二十四年度から平成二十七年度までの間の各年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、これらの年度における公債の発行の特例に関する措置を定めるとともに、平成二十四年度及び平成二十五年度において、基礎年金の国庫負担の追加に伴いこれらの年度において見込まれる費用の財源を確保するため、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号)の施行により増加する消費税の収入により償還される公債の発行に関する措置を定めるものとする。

(平成二十四年度から平成二十七年度までの間の各年度における特例公債の発行等

第二条 政府は、財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第四条第一項ただし書の規定及び第四条第一項の規定により発行する公債のほか、平成二十四年度から平成二十七年度までの間の各年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、当該各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。

2 前項の規定による公債の発行は、当該各年度の翌年度の六月三十日までの間、行うことができる。この場合において、当該各年度の翌年度の四月一日以後発行される同項の公債に係る収入は、当該各年度所属の歳入とする。

3 政府は、第一項の議決を経ようとするときは、同項の公債の償還の計画を国会に提出しなければならない。

4 政府は、第一項の規定により発行した公債については、その速やかな減債に努めるものとする。

(特例公債の発行額の抑制)

第三条 政府は、前条第一項の規定により公債を発行する場合においては、中長期的に持続可能な財政構造を確立することを旨として、各年度において同項の規定により発行する公債の発行額の抑制に努めるものとする。

(平成二十四年度及び平成二十五年度における年金特例公債の発行等)

第四条 政府は、財政法第四条第一項の規定にかかわらず、平成二十四年度及び平成二十五年度における基礎年金の国庫負担の追加に伴い見込まれる費用(この項の規定により発行する公債に係る平成二十四年度及び平成二十五年度における利子の支払に要する費用を含む。)の財源については、当該各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができる。

2 前項の規定により発行する公債及び当該公債に係る借換国債(特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)第四十六条第一項又は第四十七条第一項 の規定により起債される借換国債をいい、当該借換国債につきこれらの規定により順次起債される借換国債を含む。次項において同じ。)についての償還及び平成二十六年度以降の利子の支払に要する費用の財源は、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律の施行により増加する消費税の収入をもって充てるものとする。

3 第一項の規定により発行する公債及び当該公債に係る借換国債(次項において「年金特例公債」という。)については、平成四十五年度までの間に償還するものとする。

4 年金特例公債は、特別会計に関する法律第四十二条第二項の規定の適用については、国債とみなさない。

 附則

1 この法律は、公布の日から施行する。

2 政府は、平成二十四年度の補正予算において、政策的経費を含む歳出の見直しを行い、同年度において第二条第一項の規定により発行する公債の発行額を抑制するものとする。

 (附則 平成25年11月22日法律第76号は省略)

 

 この法律は、毎年度の国債発行額こそ規定していませんが、数年度先まで国債を発行できるように準備しておくものです。すなわち、毎年度の国会の議決を不要とするものです。そのため、完全に、という訳ではないのですが国会の審議権(審査権)を制約するものとなっています。これは、会計年度独立の原則(予算単年度主義)を定める憲法第86条に違反するのではないか、と思われるのです。発行額の決定については毎年度の国会の審議(審査)を経ることとなっているために違憲性が少なくなっていますが、違憲の疑いが全くないとは言えません。

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自由が丘駅でYOKOHAMA DeNA BAYSTARS TRAINを

2015年10月11日 10時41分51秒 | 写真

 横浜高速鉄道と聞いてもピンとこないかもしれませんが、みなとみらい線と聞けばおわかりの方もおおいでしょう。開業当初から東急東横線と直通運転を行っている、横浜駅から元町・中華街駅までの地下路線です。現在は、東横線を通じて東京メトロ副都心線、さらに西武有楽町線・西武池袋線、東武東上本線への直通運転も行われています。ちなみに、横浜市環境創造局のサイトでは「横浜市国際港都建設計画都市高速鉄道第4号みなとみらい21線」と表現されており、「みなとみらい21線」が正式の名称なのでしょう。

 先日、東横線に乗る機会がありました。自由が丘駅で上り電車を待っていたら、下り電車ホームの3番線に横浜高速鉄道のY500系Y515Fが止まっていました。元々がラッピングを施されたようなデザインですが、さらに、元町・中華街側先頭車のY505にはマスコットキャラクターなどのラッピングが施されています。

 神奈川県でプロ野球といえば横浜DeNAベイスターズで、その宣伝ということでしょう。2014年11月20日にも、副都心線の新宿三丁目駅で見たことがあるのですが、その時はY512Fでして、今回とは違う編成でした。デザインも異なっています。

 Y500系を見て、東急5000系シリーズの色違い程度にしか見えない、という方も多くおられるでしょう。まさにその通りでして、Y500系は東急の2代目5000系(田園都市線用。但し、一部は東横線用)および5080系(目黒線用)と設計を共通しています(勿論、細かく見れば違いはあります)。

 みなとみらい線は横浜高速鉄道が第一種鉄道事業者となっている路線ですが、運行業務を行っているのは横浜高速鉄道ではなく、東京急行電鉄です(つまり、委託されているのです)。同線には車庫などがないこともあり、Y500系は東横線の元住吉検車区に所属しています。また、全て8両編成であるため、8両編成の5050系および5000系と共通に運用されています。従って、東横線・みなとみらい線の特急や通勤特急としては運行されておらず、東武東上本線への乗り入れも志木までとなっています。

 私の小学生時代(1970年代後半)には、男子児童の多くが野球帽をかぶっていたものです。私もそうでしたが、巨人軍の帽子をかぶったことはほとんど無く、覚えているのは近鉄(大きなBのマークがあった頃)、阪急、阪神、南海、川崎時代の大洋ホエールズ、横浜大洋ホエールズです。単にデザイン、格好良さで選んでいた節が多いのですが、気に入っていたのは近鉄、阪急、そして横浜大洋ホエールズです。とくに大洋は、かつて川崎球場を本拠地とし、川崎市中原区の等々力公園の辺りに合宿所を構えており、その後に横浜球場を本拠地としたので、地元という感じが非常に強かったのです。帽子やユニホームのデザインも粋でした。

 長らく熱心なプロ野球ファンではない私ですが、「好きな球団は?」ときかれるならば横浜DeNAベイスターズと答えるでしょう。1998年、横浜ベイスターズが日本シリーズで西武ライオンズと戦った時、私は大分で毎日ラジオ中継を聴き、ベイスターズ優勝に喜んだものでした。しかし、それ以来、リーグ優勝からも遠ざかっています。今年(2015年)、開幕後しばらくは1位と好調だったものの、シーズンが終わってみれば最下位でした。

 そのようなプロ野球チームのラッピング電車ですが、東横線・みなとみらい線はもとより、東京メトロ副都心線も走りますし、西武有楽町線・西武池袋線であれば小竹向原~練馬~飯能、東武東上本線であれば和光市~志木で見ることができるでしょう。

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