見ただけでは区別がつきませんが、左はかつての東横線の主力である9000系、右はかつての田園都市線の輸送増強用として登場した2000系である9020系です。どちらも大井町線の各駅停車用として運行されていますが、2025年から廃車が進み、一部が西武鉄道に譲渡されることとなっています。とくに、9020系が大井町線で運行される期間は短いものとなってしまいました。
管理人の権限を利用して、おしらせです。
実は2024年7月に刊行されていますが、地方自治総合研究所のサイトに、公益財団法人地方自治総合研究所の「地方自治関連立法動向 第9集 第203臨時会~第207臨時会」が掲載されています。
この中に、私が書いた次の3本の論文が掲載されています。
「地方税法等の一部を改正する法律(令和3年3月31日法律第7号)」
「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年5月19日法律第37号)による個人情報保護法制度の改正」
「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律(令和3年5月19日法律第40号)」
御一読をいただければ幸いです。
昨日(2024年11月27日)の19時50分0秒付で「久留里線と大鰐線(メインは大鰐線)」を掲載しましたが、今回は続編です。
やはり、大鰐線の廃止は事実上決まったようです。東奥日報社が昨日付で「弘南鉄道大鰐線廃線へ/27年度末で運行休止」として報じているのですが、全文を読むには会員登録が必要な記事でしたので、仕方がなく、Yahoo! Japan Newsに掲載された同タイトルの記事を参照しておきます。
弘南鉄道が昨日の協議会(非公式の会合であったようです)において表明した大鰐線の運行休止の方針は、やはり廃止の方針と同じことであったようで、沿線自治体である弘前市および大鰐町のほうから異論は出されなかったとのことです。2027年度末で運行休止としたのは、2025年の春に高校に入学する生徒たちが卒業するまで交通手段を確保したいからとも表明されています。大鰐線には弘高下駅、弘前学院大学前駅、聖愛中高前駅および義塾高校前駅と、学校名に由来する駅名が4つもあるからでしょう。
ただ、2028年3月まで維持できるのかという疑問は残ります。弘南鉄道の本線級路線である、というより本来の弘南鉄道の路線である弘南線でも輸送人員が減少し、赤字を計上するようになっています。弘南線の営業状況が良くなるのであれば大鰐線の維持も可能かもしれませんが、それも大鰐線次第であることに変わりがありません。実際、弘南鉄道の社長はCOVID-19の勢いが減っても利用客が戻らなかった旨を述べています。既にモータリゼイションが進行している地域ですから、公共交通機関から自家用車や自転車にシフトしていてもおかしくありません。
東奥日報社記事によると、大鰐線の利用客は1974年度がピークで390万人ほどでしたが、2023年度には27万1777人でした。つまり、2023年度の利用客は1974年度の約7%しかいないということです。また、非常に乱暴な計算ではありますが、2023年度の利用客を単純に365日で割ると、1日あたりで744.6人しか利用していないということになります。これでは、廃止もやむをえないでしょう。
気になる赤字額は、2023年度で1億3068万円でした。この数字は、沿線自治体からの支援の存続のための条件を満たしていないものです。このブログでは詳細がわからなかったので記さなかったのですが、2020年に沿線自治体などが維持活性化のための基本方針を定めていました。それによると「2023年度末の営業成績で中長期計画に基づく収支改善がなされない場合、支援は2025年度までとする」となっていたそうです(東奥日報社記事およびYahoo! Japan News記事によります)。とりあえず、2025年度までは沿線自治体が支援するということですが、2026年度および2027年度については未定ですが、弘前市および大鰐町は支援を決定するかもしれません。ただ、市議会および町議会では議論が行われることでしょう。休止の時期が早まる可能性も否定できません。
私にとってまだよくわからないのは、2027年度末で休止し、その後に廃止に向けた手続を進めるとしていることです。何らかの理由なり事情なりがあるのでしょう。休止予定日まであと3年以上もありますし、休止した後の再開も考えられていないようですから、2027年度末で廃止、より正確には2028年4月1日廃止としてもよいように思われるのです。あるいは冬季の輸送手段としての意義も考慮されているのかもしれませんが、わざわざ休止期間を置く必要もないのではないでしょうか。
いずれにしても、東北地方から、また、一つの私鉄の路線が消滅することとなります。
やはり、東急東横線や田園都市線に馴染んでいる私としては、弘南鉄道を走っている初代東急7000系を見に行こうか、などと考えました。10年程前には福島交通飯坂線で初代東急7000系に乗りましたし、5年前には養老鉄道養老線で初代東急7000系の改造車である東急7700系に乗っています。
今日は三題噺ならぬ二題噺です。二題ともこのブログで取り上げたことがあります。
まずはJR東日本の久留里線です。2024年11月27日、つまり今日、JR東日本千葉支社長が記者会見の場で例の久留里線の末端区間について発表しました。内容は「鉄道運行を取りやめる方針」であり、「今後、バスなど新たな交通体系への移行について市と協議する」とのことです(共同通信社が今日の15時41分付で報じた「JR東日本、久留里線の一部廃線発表 久留里~上総亀山間―バスなどへ移行協議」より)。但し、あくまでも方針を発表したのであり、廃止の時期などについては明言されなかったようです。実際のところ、明確な時期を示すことは無理でしょう。
もう一つ、私にとってはこちらのほうが驚きでもあり、実は容易に予想されたことでもありましたが、弘南鉄道の大鰐線です。東奥日報社が今日付で「弘南鉄道、大鰐線を27年度末で運行休止の意向」として報じています。速報扱いですので短いですが、今日、弘前市役所で沿線市町村側との協議会が開かれたとのことです。2027年度末で運行休止する意向の理由として「物価高騰や人員不足で、収支改善が見込めない」ことがあげられています。こちらのほうも、弘南鉄道が一方的に決めるという訳にも行かないでしょう。そのため、もしかしたら運行休止にならないかもしれませんが、現在の大鰐線の状況からすれば、せいぜい、運行休止の時期がずれるくらいでしょう。
むしろ、よくぞここまで延命したものだと思います。元々は弘前電気鉄道という会社によって運行されていた路線ですが、1960年代に廃止の危機に見舞われ、結局、弘前電気鉄道が解散し、大鰐線は弘南鉄道の手に渡ります。救済というところでしょうか。しかし、あまり儲かる路線でもなく、乗客も少なかったのか、弘南線と比較してもあまりに古すぎて見劣りする車両ばかりが走っていたくらいで、黒字になったことは一度もなかったとのことでした。弘南線が黒字であったから続けられたという訳でしょう。もっとも、弘南鉄道は国鉄の赤字ローカル線であった黒石線を引き受けて運行していましたが、この路線を1990年代に廃止させています。内部補助の限界に達した可能性もありますし、そもそも電化線と非電化線との違いなども理由として考えられるでしょう。
私が知る限りですが、21世紀に入ってから、まず2013年6月27日、弘南鉄道の株主総会において大鰐線廃止の方針(のようなもの)が弘南鉄道社長から発せられました。このことについては「弘南鉄道の大鰐線が廃止されるか」(2031年6月30日15時8分8秒付)において取り上げました。株主総会の議題にも入っておらず、総会の冒頭における挨拶で述べられたので、会社として正式に決定した方針ではないということにはなりますが、どう考えても会社としての検討事項が公表されたと考えるべきでしょう。ただ、2016年度末、つまり2017年3月末に廃止という方向性も示されたことが周囲の反発を受けた可能性もあります。
その後、2020年に沿線自治体(弘前市、平川市、黒石市、田舎館村および大鰐町)が弘南鉄道に対して2019年度および2020年度における経常損益の赤字分の全額補塡を行う方針を固めたと報じられました。このことは「鉄道関係二題」(2020年2月15日11時35分0秒付)で取り上げています。弘南線は2016年度まで黒字でしたが、2017年度から赤字が続いていたのでした。なお、「弘南鉄道への財政支援/JR北海道への支援策」(2021年1月25日0時0分0秒)も御覧ください。
そして2024年2月28日、弘前市議会で大鰐線の廃止を求める発言が相次いだと報じられました。これについては「弘南鉄道大鰐線の廃止を求める声が」(2024年3月4日20時30分0秒付)で取り上げました。その記事で私は次のように述べました。
「大鰐線の廃止は現実的に最も大きな選択肢であると思われます。この路線は、起点の大鰐駅から義塾高校前駅までJR奥羽本線と完全に並行しており、義塾高校前駅から中央弘前駅まではJR奥羽本線から少し離れた所を走っているものの、並行路線と言えます。また、終点の弘前中央駅は大鰐線のみの駅であり、弘南線の起点でもある弘前駅から1キロメートル以上離れています。弘南鉄道の路線となる前に廃止の議論が出ており、しかもその原因の一つが弘南バスとの競争に敗れたことという歴史を考えると、存続してきたことが一つの驚異とも言えます。」
こうした流れを見ていけば、2027年度末、つまり2028年3月末で運行休止という選択も理解できます。むしろ、もう少し早めるほうがよいとも考えられます。下手な延命では傷もふさがらず、出血が続くでしょう。
また、運行休止という表現に引っかかる方もおられるでしょう。おそらく、弘前市および大鰐町の住民などからの反発を予想して、廃止ではなく運行休止としたのでしょう。しかし、弘前市議会での動きなどを見ると、弘前市で大鰐線の廃止に反対する声は出るとしても大きくならないでしょうし、普段利用もしない人が廃止に反対する資格などありません。はっきりと廃止と表明すべきでしょう。遅きに失したとも言いうるからです。
休止と言えば、同じ青森県に南部縦貫鉄道の例があります。野辺地駅〜七戸駅の南部縦貫鉄道線は、1997年に運行を休止しました。直接の理由は、野辺地駅〜西千曳駅の区間の路盤でした。ここは元々が東北本線であった区間であり、千曳駅の移転に伴って南部縦貫鉄道が国鉄から借り入れていたのです。JR東日本発足後も同様でしたが、1995年12月、当時の国鉄清算事業団はこの路盤の買い取りを南部縦貫鉄道に要請しました。これが南部縦貫鉄道にとっては大きすぎる負担であるということで、1997年5月の連休明けから南部縦貫鉄道線は運行休止となりました。その後、南部縦貫鉄道線はこの路盤を購入したそうです。しかし、休止の間に南部縦貫鉄道線全線の鉄道施設が荒廃してしまったようで、復活運転をするには多額の費用がかかるということで、結局2002年8月1日に廃止されてしまいました。
弘南鉄道大鰐線が実際に運行休止するとなると、直接の理由は南部縦貫鉄道と異なりますが、結末は同様になるでしょう。つまり、休止が始まってから何の維持管理もなされなければ鉄道施設は(おそらく短期間で)荒廃してしまう訳です。そうなったら、営業を再開するにしても莫大な費用がかかることになります。まして、大鰐線の場合、2023年8月に脱線事故が発生し、同年9月25日には線路の不具合を理由として弘南線とともに運休が始まりました。元々路盤がよくないという可能性もあります。少なくとも線路規格はJR奥羽本線よりも格段に落ちるでしょう。無期限の運行休止ということであれば、とりもなおさず廃止ということです。
今後、事態がどのように展開するかをみていく必要がありますが、大鰐線の運行休止あるいは廃止は、時間の問題でしょう。初代東急7000系が今でも運転されているので、見に行ってみたいとは思っていますが……。
最後に。時代遅れのリニア新幹線と全国新幹線整備計画は一刻も早く廃止すべきです。北陸新幹線と西九州新幹線がいつまで経っても全通の見込みがないという無様さなのに、四国新幹線だの何だのと狂気の沙汰です。北陸新幹線の敦賀駅から新大阪駅までの区間やリニア新幹線を早く建設して開通させろという鉄道ファンもいますが、「何を考えているのやら」と言いたいところです。筒井康隆さんのエッセイ集のタイトルではないけれど「狂気の沙汰も金次第」なのでしょうか。
既に、2024年度後期の期末試験などについて記していますが、追加を記しておきます。
●國學院大學法学部行政法1B
定期試験期間中に行います。参照(國學院大學流では披見)などは一切不可、解答時間は60分です。論述式で、数問のうちから一問のみを選択の上で解答していただきます。
今や東京メトロで最古参の系列にして、徐々に廃車が進んでいる8000系ですが、半蔵門線および田園都市線ではよく見かけます。二子玉川駅で、急行中央林間行きとして運行しているところを撮影しました。普段であれば東急車に付けられているはずの26Kという運行番号が表示されています。撮影日の前日にダイヤが乱れたので、その影響かもしれません。08系が東武車のTを付けられたり、50050系が東京メトロ車のSを付けられているのも見ていますので、単なる精算運転ではないでしょう。
今年に入ってから、8000系の側面上部、ドアの戸袋付近にこのような番号が表示されるようになりました。東京メトロ車は、伝統的に車体番号板を側面下部に付けていましたが、これではホームドアが設置された駅で確認しにくいからでしょう。
栃木県といえば、宇都宮ライトレールによるLRTの隆盛が最近の明るい話題と評価できるでしょうが、勿論、公共交通機関の状況が全県で良好という訳ではありません。
同県におけるJR東日本の鉄道路線は、東北新幹線の他、東北本線、日光線、両毛線、水戸線および烏山線です。このうち、東北本線、両毛線および水戸線が幹線に、日光線および烏山線が地方交通線に分類されています。とくに烏山線は、県内のJR路線では唯一の非電化路線であるとともに(但し、電車が走っています。後に述べます)、1960年の時点で廃止が提言され、1960年代後半には赤字83線に指定されたほどです。しかし、それほど営業係数などが悪くなかったということなのか、以後は特定地方交通線に指定されることもなく、存続しています。
そうは言っても、輸送人員が多いという訳でもなく、JR東日本が2024年10月29日付で発表した「ご利用の少ない線区の経営情報(2023年度分)の開示について」によると、烏山線(宝積寺〜烏山)の状況は次の通りです。
運賃収入:6200万円
営業費用:7億8900万円
収支:7億2700万円の赤字
営業係数:1265円
収支率:7.9%
1987年度の平均通過人員:2559
2023年度の平均通過人員:1144
1987年度の平均通過人員と2023年度の平均通過人員とを比較した場合の増減率:55%減
平均通過人員の増減率が−90%以上となっている路線(奥羽本線の新庄〜湯沢が93%減、久留里線の久留里〜上総亀山が92%減、飯山線の戸狩野沢温泉~津南が90%減 )もあり、減少率が80%台や70%台となっている路線・区間も少なくないことからすれば、烏山線は健闘していると言えるかもしれません。ただ、赤字額は大きく、営業係数も4桁となっています。しかも、赤字額が2022年度より9300万円ほど増えていますし、営業係数も2022年度より悪くなっています。ただし、平均通過人員は2022年度より24人増えているそうです。
そこで、沿線自治体である那須烏山市(鴻野山駅、大金駅、小塙駅、滝駅および烏山駅の所在地)は、乗客の増加に向けての取り組みを行っています。朝日新聞社2024年11月23日10時45分付記事「JR烏山線、23年度は7億2700万円の赤字 地元は乗客増へ催し」(https://www.asahi.com/articles/ASSCQ3R53SCQUUHB00HM.html)によると、那須烏山市は2023年秋には烏山線全線開業100周年記念イベントを実施しており、「利用客への助成金制度もつくった。小学生から高校生までを対象に通学定期券の料金の4分の1を補助したり、市民3人以上で利用すると運賃を全額補助したり。市はこうした取り組みが増客に奏功したとみる」とのことです。助成金制度がどの程度まで乗客増に貢献したかは検討の対象となるでしょうが、何もしないよりはよいということです。とくに、烏山線の場合、ほとんどの列車が宇都宮駅から烏山駅までの運行となっているため、那須烏山市の住民にとって同線は通勤通学のための重要手段であるということです。
また、那須烏山市は、2024年6月に市長を委員長とするJR烏山線利用向上委員会を設置しており、11月8日に開かれた委員会では「助成金制度の条件を緩和して通勤定期券も対象にする案や、車両に自転車を持ち込める『サイクルトレイン』の導入案などを検討していくことが決まった」とのことです。
私が気になるのは、烏山線で運行されているEV-E301系(通称ACCUM)という、蓄電池駆動電車です。これは、電化区間(東北本線)ではパンタグラフを上げて架線から集電し、非電化区間(烏山線)ではパンタグラフを下げて蓄電池でモーターを回して運行するというものです。ディーゼル車よりは環境に優しいと言えるかもしれませんが、現在のところ、電気自動車と同じで走行可能距離が短く、烏山駅には充電のための架線が張られているそうです。一体、どの程度の費用がかかるのか、気になっているのです。世界的には蓄電池駆動電車の例が増えているかもしれませんが、日本では、最初に営業運転を開始した烏山線の他、筑豊本線(とくに若松線という通称がある若松〜折尾)、男鹿線(但し、奥羽本線の秋田駅まで直通運転)および香椎線でのみ運行されています。第三セクターの鉄道では導入例がないことからしても、それなりのコストがかかるのではないでしょうか。那須烏山市は、JR東日本の協力を得ながらACCUM運行のための費用と効果との関係を調査する必要があると考えられます。
何度となくこのブログで取り上げたように、東急9000系および9020系は2025年以降に西武鉄道に譲渡されることが決まっています。その2025年も近づいてきました。
一体、どの編成から東急大井町線を離脱するか。9000系および9020系を置き換えるための新車はいつ登場するのか。大井町線もワンマン運転化され、東急でワンマン運転が行われない路線は田園都市線のみとなるのか(その意味では田園都市線こそ東急の本線級の路線ですね)。色々と興味関心は尽きません。
二子玉川駅(DT07、OM15)で撮影しました。左側がG各停大井町行きの9004F、右側がG各停溝の口行きの9010Fです。どちらも、かつては東横線および横浜高速鉄道みなとみらい線で活躍していた編成です。そう、特急、通勤特急、急行、各駅停車のいずれでも、渋谷駅から元町・中華街駅まで走っていた訳です。
大井町線に転属してからは、基本的に大井町線の各駅停車用として運用されてきました。時折、6000系および6020系の代行として急行電車にもなったようですが、私は一度も見たことがありません。
また、大井町線(正式には大井町駅から二子玉川駅までです)には、現在、車庫がありません。そのため、9000系は田園都市線鷺沼駅のそばの鷺沼車庫をネグラとしており、時折ですが鷺沼駅始発の各駅停車大井町行き、および大井町駅始発の各駅停車鷺沼行きとして運用されています。時には長津田検車区に回送されることもあるのでしょう。記憶に誤りがなければ、回送として走行しているところを南町田グランベリーパーク駅でみたことがありました。
昨日(2024年11月21日)付の朝日新聞朝刊1面14版△トップ記事「『103万円の壁』引き上げ合意 自公国 経済対策に明記」などで報じられたように、一昨年(11月20日)に、自由民主党、公明党および国民民主党が政府の総合経済対策について合意をしました。実際のところはどうなのか、詳細な検討を行うべきかもしれませんが、さしあたり、国民民主党が求めている政策が取り入れたということになっています。103万円の壁の引き上げ、ガソリン減税の検討が明記されたとのことです。
やはり昨日の朝日新聞朝刊の⒋面14版に「国民民主が要望書 税制改正 与党、来週にも回答」という記事が掲載されており、それによると「国民民主党が与党に示した税制改正についての要望」は次の通りとなっています(記事の表現をそのままお借りしておきます)。
「<最重点>
・所得税の基礎控除などを103万円から178万円に引き上げ
・特定扶養控除の年収要件の引き上げ
・ガソリン減税(トリガー条項発動、暫定税率廃止、二重課税廃止)
<重点>
・年少扶養控除の復活、扶養控除の維持・拡大
・消費税5%への時限的引き下げ、単一税率、インボイス廃止
・中小企業への賃上げ支援のため、赤字でも賃上げした企業に固定資産税などを減免
・AI(人工知能)や半導体、蓄電池などの成長分野での投資を優遇する措置の導入
・暗号資産に関する税制と規制の見直し
<その他>
・所得税に塾代の控除制度を創設、単身赴任手当を非課税に
・年末調整制度を見直し、全員確定申告制度を導入
・金融所得課税の強化
・移住促進の税制を創設」
4面14版記事によれば「自民、公明両党と国民民主党の税制調査会長が20日、来年度の税制改正に向けて本格的な協議を始めた」、「国民民主が求める、課税の最低ラインを年収103万円から178万円に引き上げた場合、政府は7兆~8兆円の税収減になると試算している」、国民民主党の「古川元久税調会長は記者団に、「政府の懐から国民のみなさんの懐に移るので、当然経済効果もある」と強調。経済効果の試算を示すよう与党側に求めた」とのことです。
ここまで話が進んでいるのであれば、2025年度税制改正大綱は「自由民主党および公明党」ではなく「自由民主党、公明党および国民民主党」という形で出すほうがよいのではないかとも思えてくるのですが、第2次石破茂内閣に国民民主党員の国務大臣はおりませんので、部分連合の枠は崩さないのでしょう。しかし、いつ自公国連立政権が実現してもおかしくないということになるかもしれません。一方で、国民民主党が求める政策の一部でも取り入れられず、税制改正大綱に盛り込まれないとすれば、国民民主党が部分連合を離脱する可能性もあります。
まずは11月28日に召集されるという臨時国会(第216回国会)において提出されることになっている2024年度補正予算が成立するかどうかでしょう。自由民主党、公明党は勿論賛成するでしょうし、国民民主党も賛成する可能性が高いようです。次に2025年度税制改正であり、ここが一つの山場あるいは分岐点になるでしょう。国民民主党が部分連合からの離脱するという事態になると、2025年度税制改正のための与党税制改正大綱も政府税制改正大綱も決定されたのに、衆議院で税制改正に関する法律案が可決されないという、おそらくは前代未聞の結末につながりかねません(通例では税制改正に関する法律案は先に衆議院に提出されます)。これでは2025年度予算が成立したとしても滅茶苦茶な状況になりかねないので、避けなければならないでしょう。
こうなると、部分連合のままでは不安が残ります。何せ、衆議院の会派別の議員構成数は次のようになっているからです。
自由民主党・無所属の会:196
立憲民主党・無所属:148
日本維新の会:38
国民民主党・無所属クラブ:28
公明党;24
れいわ新選組:9
日本共産党:8
有志の会:4
参政党:3
日本保守党:3
無所属:4
欠員:0
計:465
自由民主党と公明党を合わせると220となりますが、これでも過半数に達しません(約47%ですから)。国民民主党を合わせれば248で、これでようやく過半数となります(約53%)。今後の展開によっては、連立政権の構成政党が一つか二つ増えなければ国政も何も進まなくなるのではないでしょうか。
今回は京王8000系8708Fです。高幡不動駅で、特急京王八王子行きとして運行されているところを撮影しました。
私が学部生であった時の、京王線特急の停車駅は、京王線であれば新宿、明大前、調布、府中、聖蹟桜ヶ丘、高幡不動、京王八王子、高尾線に直通する特急であれば高幡不動、めじろ台、高尾、高尾山口でした。相模原線の停車駅をよく覚えていませんが、調布、京王永山、京王多摩センター、橋本であったと記憶しています。
現在ではかなり停車駅が増えています。私にとって便利になったと思うのは、笹塚と分倍河原、京王稲田堤に停車するようになったことです。しかし、理解しづらいと言うべきか京王らしいと言うべきか、高尾線では特急と急行が逆転するという状態になっています。どういうことか。それは、高尾線では特急が各駅に停車するのに対し、急行は北野、めじろ台、高尾および高尾山口のみに停まるということです。平日の日中には急行が走りませんし、あまり混乱することもないのかもしれませんが、路線図を見た限りでは、何とかならなかったのかと思います。
以前、このブログで東上線について種別が多すぎて停車駅の違いなどで混乱を引き起こしかねないと記しました。同じことが京王線にも言えます。新宿から分倍河原までにおける急行と区間急行との違いは仙川に停車するかしないかということだけですし、新宿から調布までにおける区間急行と快速との違いは下高井戸および八幡山に停車するかしないかということだけです。もう少し整理できるだろうと考えるのは私だけでしょうか。