6.印紙税の課税標準および税率
印紙税の課税標準は文書の数である。
また、税率は、別表第一の各号による課税文書の区分に応じ、「同表の課税標準及び税率の欄に定めるところによる」(印紙税法第7条)。
ここで、第1号文書、第2号文書、第7号文書、第8号文書および第17号文書について税率をみていくこととする。
(1)第1号文書の税率
①契約金額の記載のある契約書の場合
契約金額が1万円未満のもの:非課税
契約金額が10万円以下のもの:税率(一通につき。以下同じ)は200円
契約金額が10万円を超え50万円以下のもの:税率は400円
契約金額が50万円を超え100万円以下のもの:税率は1,000円
契約金額が100万円を超え500万円以下のもの:税率は2,000円
契約金額が500万円を超え1000万円以下のもの:税率は1万円
契約金額が1000万円を超え5000万円以下のもの:税率は2万円
契約金額が5000万円を超え1億円以下のもの:税率は6万円
契約金額が1億円を超え5億円以下のもの:税率は10万円
契約金額が5億円を超え10億円以下のもの:税率は20万円
契約金額が10億円を超え50億円以下のもの:税率は40万円
契約金額が50億円を超えるもの:税率は60万円
②契約金額の記載のない契約書の場合:一通につき200円
(2)第2号文書の税率
①契約金額の記載のある契約書の場合
契約金額が1万円未満のもの:非課税
契約金額が100万円以下のもの:税率(一通につき。以下同じ)200円
契約金額が100万円を超え200万円以下のもの:税率は400円
契約金額が200万円を超え300万円以下のもの:税率は1,000円
契約金額が300万円を超え500万円以下のもの:税率は2,000円
契約金額が500万円を超え1000万円以下のもの:税率は1万円
契約金額が1000万円を超え5000万円以下のもの:税率は2万円
契約金額が5000万円を超え1億円以下のもの:税率は6万円
契約金額が1億円を超え5億円以下のもの:税率は10万円
契約金額が5億円を超え10億円以下のもの:税率は20万円
契約金額が10億円を超え50億円以下のもの:税率は40万円
契約金額が50億円を超えるもの:税率は60万円
②契約金額の記載のない契約書の場合:一通につき200円
(3)第7号文書の税率
一通につき4,000円
(4)第8号文書の税率
一通につき200円
(5)第17号文書の税率
①売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書で受取金額の記載のある場合
契約金額が5万円未満のもの:非課税
契約金額が100万円以下のもの:税率(一通につき。以下同じ)は200円
契約金額が100万円を超え200万円以下のもの:税率は400円
契約金額が200万円を超え300万円以下のもの:税率は600円
契約金額が300万円を超え500万円以下のもの:税率は1,000円
契約金額が500万円を超え1000万円以下のもの:税率は2,000円
契約金額が1000万円を超え2000万円以下のもの:税率は4,000円
契約金額が2000万円を超え3000万円以下のもの:税率は6,000円
契約金額が3000万円を超え5000万円以下のもの:税率は1万円
契約金額が5000万円を超え1億円以下のもの:税率は2万円
契約金額が1億円を超え2億円以下のもの:税率は4万円
契約金額が2億円を超え3億円以下のもの:税率は6万円
契約金額が3億円を超え5億円以下のもの:税率は10万円
契約金額が5億円を超え10億円以下のもの:税率は15万円
契約金額が10億円を超えるもの:税率は20万円
② ①以外の受取書の税率
200円(一通につき)
7.印紙税の納付など(「2.印紙税の例(領収書)」も参照)
5つの方法があるが、(1)の方法が原則である。
(1)課税文書に収入印紙を貼り付け、その文書と収入印紙の彩紋とにかけて消印をする。
参照 印紙税法より
第8条 課税文書の作成者は、次条から第12条までの規定の適用を受ける場合を除き、当該課税文書に課されるべき印紙税に相当する金額の印紙(以下「相当印紙」という。)を、当該課税文書の作成の時までに、当該課税文書にはり付ける方法により、印紙税を納付しなければならない。
2 課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。
第22条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
一 第8条第1項の規定による相当印紙のはり付けをしなかつた者
二 第11条第4項又は第12条第5項の規定による申告書をその提出期限までに提出しなかつた者
三 第16条の規定に違反した者
四 第18条第1項又は第2項の規定による帳簿の記載をせず、若しくは偽り、又はその帳簿を隠匿した者
第23条 次の各号のいずれかに該当する者は、30万円以下の罰金に処する。
一 第8条第2項の規定に違反した者
二 第11条第3項又は第12条第3項の規定による表示をしなかつた者
三 第17条第1項の規定による申告をせず、又は同条第2項の規定による届出をしなかつた者
(2)課税文書に「税印」を押捺する。「税印」は右のような印である(印紙税法施行規則別表第三)。
参照 印紙税法より
第9条 課税文書の作成者は、政令で定める手続により、財務省令で定める税務署の税務署長に対し、当該課税文書に相当印紙をはり付けることに代えて、税印(財務省令で定める印影の形式を有する印をいう。次項において同じ。)を押すことを請求することができる。
2 前項の請求をした者は、次項の規定によりその請求が棄却された場合を除き、当該請求に係る課税文書に課されるべき印紙税額に相当する印紙税を、税印が押される時までに、国に納付しなければならない。
(3)印紙税納付計器を使用して納付する(条文の引用の箇所にある2つの写真データは、印紙税法施行規則別表第四に示された印紙税納付計器による納付印である)。
参考 印紙税法より
第10条 課税文書の作成者は、政令で定めるところにより、印紙税納付計器(印紙税の保全上支障がないことにつき、政令で定めるところにより、国税庁長官の指定を受けた計器(第16条及び第18条第2項において「指定計器」という。)で、財務省令で定める形式の印影を生ずべき印(以下「納付印」という。)を付したものをいう。以下同じ。)を、その設置しようとする場所の所在地の所轄税務署長の承認を受けて設置した場合には、当該課税文書に相当印紙をはり付けることに代えて、当該印紙税納付計器により、当該課税文書に課されるべき印紙税額に相当する金額を表示して納付印を押すことができる。
2 前項の承認を受けて印紙税納付計器を設置する者は、政令で定めるところにより、同項の税務署長の承認を受けて、その者が交付を受ける課税文書の作成者のために、その交付を受ける際、当該作成者が当該課税文書に相当印紙をはり付けることに代えて、当該印紙税納付計器により、当該課税文書に課されるべき印紙税額に相当する金額を表示して納付印を押すことができる。
3 第1項の承認を受けた者は、前2項の規定により印紙税納付計器を使用する前に、政令で定めるところにより、第1項の税務署長に対し、当該印紙税納付計器により表示することができる印紙税額に相当する金額の総額を限度として当該印紙税納付計器を使用するため必要な措置を講ずることを請求しなければならない。
4 前項の請求をした者は、同項の表示することができる金額の総額に相当する印紙税を、同項の措置を受ける時までに、国に納付しなければならない。
5 第1項の承認を受けた者が印紙税に係る法令の規定に違反した場合その他印紙税の取締り上不適当と認められる場合には、税務署長は、その承認を取り消すことができる。
6 税務署長は、印紙税の保全上必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、印紙税納付計器に封を施すことができる。
7 第1項又は第2項の規定により印紙税に相当する金額を表示して納付印を押す方法について必要な事項は、財務省令で定める。
(4)課税文書について、所轄税務署長の承認を受けて金銭で納付する。その場合には、課税文書に一定の表示をするとともに、翌月末日を期限として納税申告書を所轄税務署長に提出しなければならない。「2.印紙税の例(領収書)」において示した「駅の自動券売機で乗車券などを購入した時に発行される領収書」がこの例である。
参考 印紙税法より
(書式表示による申告及び納付の特例)
第11条 課税文書の作成者は、課税文書のうち、その様式又は形式が同一であり、かつ、その作成の事実が後日においても明らかにされているもので次の各号の一に該当するものを作成しようとする場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書を作成しようとする場所の所在地の所轄税務署長の承認を受け、相当印紙のはり付けに代えて、金銭をもつて当該課税文書に係る印紙税を納付することができる。
一 毎月継続して作成されることとされているもの
二 特定の日に多量に作成されることとされているもの
2 前項の承認の申請者が第15条の規定により命ぜられた担保の提供をしない場合その他印紙税の保全上不適当と認められる場合には、税務署長は、その承認を与えないことができる。
3 第1項の承認を受けた者は、当該承認に係る課税文書の作成の時までに、当該課税文書に財務省令で定める書式による表示をしなければならない。
4 第1項の承認を受けた者は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申告書を、当該課税文書が同項第1号に掲げる課税文書に該当する場合には毎月分(当該課税文書を作成しなかつた月分を除く。)をその翌月末日までに、当該課税文書が同項第2号に掲げる課税文書に該当する場合には同号に規定する日の属する月の翌月末日までに、その承認をした税務署長に提出しなければならない。
一 その月中(第1項第2号に掲げる課税文書にあつては、同号に規定する日)に作成した当該課税文書の号別及び種類並びに当該種類ごとの数量及び当該数量を税率区分の異なるごとに合計した数量(次号において「課税標準数量」という。)
二 課税標準数量に対する印紙税額及び当該印紙税額の合計額(次項において「納付すべき税額」という。)
三 その他参考となるべき事項
5 前項の規定による申告書を提出した者は、当該申告書の提出期限までに、当該申告書に記載した納付すべき税額に相当する印紙税を国に納付しなければならない。
6 第1項第1号の課税文書につき同項の承認を受けている者は、当該承認に係る課税文書につき同項の適用を受ける必要がなくなつたときは、政令で定める手続により、その旨を同項の税務署長に届け出るものとする。
▲第3項にいう「表示」の例が「2.印紙税の例(領収書)」にある「駅の自動券売機で乗車券などを購入した時に発行される領収書」の「印紙税申告納付につき渋谷税務署承認済」である。これは印紙税法施行規則別表第五第2号によっている(縦書きであれば第1号による)。
(5)預貯金通帳等に係る一括納付
参考 印紙税法より
(預貯金通帳等に係る申告及び納付等の特例)
第12条 別表第一第18号及び第19号の課税文書のうち政令で定める通帳(以下この条において「預貯金通帳等」という。)の作成者は、政令で定めるところにより、当該預貯金通帳等を作成しようとする場所の所在地の所轄税務署長の承認を受け、相当印紙の貼付けに代えて、金銭をもつて、当該承認の日以後の各課税期間(4月1日から翌年3月31日までの期間をいう。以下この条において同じ。)内に作成する当該預貯金通帳等に係る印紙税を納付することができる。
2 前項の承認の申請者が第15条の規定により命ぜられた担保の提供をしない場合その他印紙税の保全上不適当と認められる場合には、税務署長は、その承認を与えないことができる。
3 第1項の承認を受けた者は、当該承認に係る預貯金通帳等に、課税期間において最初の付込みをする時までに、財務省令で定める書式による表示をしなければならない。ただし、既に当該表示をしている預貯金通帳等については、この限りでない。
4 第1項の承認を受けた場合には、当該承認を受けた者が課税期間内に作成する当該預貯金通帳等は、当該課税期間の開始の時に作成するものとみなし、当該課税期間内に作成する当該預貯金通帳等の数量は、当該課税期間の開始の時における当該預貯金通帳等の種類ごとの当該預貯金通帳等に係る口座の数として政令で定めるところにより計算した数に相当する数量とみなす。
5 第1項の承認を受けた者は、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申告書を、課税期間ごとに、当該課税期間の開始の日から起算して一月以内に、その承認をした税務署長に提出しなければならない。
一 当該承認に係る預貯金通帳等の課税文書の号別及び当該預貯金通帳等の種類並びに当該種類ごとの前項に規定する政令で定めるところにより計算した当該預貯金通帳等に係る口座の数に相当する当該預貯金通帳等の数量及び当該数量を当該号別に合計した数量(次号において「課税標準数量」という。)
二 課税標準数量に対する印紙税額及び当該印紙税額の合計額(次項において「納付すべき税額」という。)
三 その他参考となるべき事項
6 前項の規定による申告書を提出した者は、当該申告書の提出期限までに、当該申告書に記載した納付すべき税額に相当する印紙税を国に納付しなければならない。
7 第一項の承認を受けている者は、当該承認に係る預貯金通帳等につき同項の適用を受ける必要がなくなつたときは、政令で定めるところにより、その旨を同項の税務署長に届け出るものとする。
▲第3項にいう「表示」は印紙税法施行規則別表第五第1号または同第2号による。すなわち、「(4)課税文書について、所轄税務署長の承認を受けて金銭で納付する」場合と同じである。