さて、地方法人税法案の中身です。財務省のサイトにも簡単なまとめが掲載されており、次のように説明されています。
納税義務者:法人税を納める義務がある法人。
課税標準:各事業年度の所得に対する法人税の額。但し、利子配当等に係る所得税額控除等は適用しないで計算する。附帯税の額も除く。
税率:4.4パーセント。
その他、平成26年度税制改正大綱と同旨。
地方法人税の導入に伴い、地方税法および地方交付税法なども改正する。地方税法については、現在の法人税住民税率を4.4パーセントだけ引き下げる(内訳は、都道府県分が1.8パーセント、市町村分が2.6パーセント)。地方交付税法については、地方税の税収の全額を交付税特別会計に入れることとする。
ここで、法案に示されている条文の一部を見てみましょう。なお、条文の前に付けられている見出しは省略します。
第一条 この法律は、地方交付税の財源を確保するための地方法人税について、納税義務者、課税の対象、税額の計算の方法、申告及び納付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。
第四条 法人税を納める義務がある法人(以下「法人」という。)は、この法律により、地方法人税を納める義務がある。
第五条 法人の各課税事業年度の基準法人税額には、この法律により、地方法人税を課する。
第六条 この法律において「基準法人税額」とは、次の各号に掲げる法人の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。
一 法人税法第二条第三十一号に規定する確定申告書を提出すべき内国法人 当該内国法人の法人税の課税標準である各事業年度の所得の金額につき、同法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定(同法第六十八条から第七十条の二までの規定を除く。)により計算した法人税の額(附帯税の額を除く。)
二 法人税法第二条第三十一号に規定する確定申告書を提出すべき外国法人 当該外国法人の法人税の課税標準である各事業年度の所得の金額につき、同法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定(同法第百四十四条の規定を除く。)により計算した法人税の額(附帯税の額を除く。)
三 法人税法第二条第三十二号に規定する連結確定申告書を提出すべき連結親法人 当該連結親法人の法人税の課税標準である各連結事業年度の連結所得の金額につき、同法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定(同法第八十一条の十四から第八十一条の十七までの規定を除く。)により計算した法人税の額(附帯税の額を除く。)
四 法人税法第二条第三十四号に規定する退職年金等積立金確定申告書を提出すべき法人 当該法人の法人税の課税標準である各事業年度の退職年金等積立金の額につき、同法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定により計算した法人税の額(附帯税の額を除く。)
第九条 地方法人税の課税標準は、各課税事業年度の課税標準法人税額とする。
2 各課税事業年度の課税標準法人税額は、各課税事業年度の基準法人税額とする。
第十条 地方法人税の額は、各課税事業年度の課税標準法人税額に百分の四・四の税率を乗じて計算した金額とする。
2 前項の場合において、法人の各課税事業年度の基準法人税額に法人税法第六十七条第一項又は第八十一条の十三第一項の規定により加算された金額がある場合には、前項の課税標準法人税額は、当該基準法人税額から当該加算された金額を控除した金額とする。
第十一条 内国法人が各課税事業年度において法人税法第六十七条第一項又は第八十一条の十三第一項の規定の適用を受ける場合には、第六条第一号又は第三号に定める基準法人税額に対する地方法人税の額(以下この章において「所得地方法人税額」という。)は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により計算した所得地方法人税額に、同法第六十七条第一項又は第八十一条の十三第一項に規定する合計額に百分の四・四を乗じて計算した金額を加算した金額とする。
第11条は、法人税法第67条に規定される特定同族会社、または同第81条の13に規定される連結特定同族会社についての規定です。法人税と同様に、地方法人税についても特定同族会社に特別な加算税率が適用されることになります。