コメンタリー続きです。
Previous → The Great Game Audio Commentary その8
リストはこちらから → The Great Game Audio Commentary
MG:ここでも思わぬ事態が起こる。
BC:この時のホームズはこう言わんばかりだ。
「しまった、ひとり失った。」
失点を悔しがっている。
MG:彼の冷徹さが際立ってるね。本音では負けを認めていない。
MF:彼とワトソンの違いがよくわかるシーンだと思う。
ふたりは違う視点から世界を見てる。
BC:ストーリーの最後には和解がある。この対立はそのために必要なんだ。
MF:その通りだ。
BC:僕としては気に入っている。
これまでは難しい推理の連続で見てる人も話を追うのに忙しかったはず。
でもここは推理ではなくホームズと言う人間を描いているからね。
MF:物語の進行を妨げることなく大切な情報を伝えてるね。彼らの人となりがわかる。
MG:物語の流れにおいて中休みとなる場面でもある。
二人の関係性がよくわかるシーンだ。二人はここでお互いの違いを実感する。
ワトソンはホームズの冷徹さに不信感を抱いていた。
だが彼の冷たさには筋が通ってるんだ。
「気にすれば助かるのか」まさに正論だ。
BC:実際の探偵や警察官、救急隊員の仕事にも同じことが言えると思う。
もちろんそういう仕事をするにはある程度の思いやりや感情移入は不可欠だろう。
だが現場のプロとしては冷静にならないと困っている人を助けられない。
MG:ワトソンも医師だから分かる。
MF:世間には利己的な医師も多い。皆がガンディーにはなれない。
ガンディーにだって欠点はある。
MG:「ガンディー医師」か。
MF:いいセーターだ。
MG:ブランドもの?
MF:そうだよ。僕のお気に入りの店だ。
BC:店はたくさんあるよ。どこの店?
MF:ビーク通りの「アルバム」
BC:素材がいい。
MF:店はほかにもある。
BC:確かにソーホーには服の店が多い。
僕の服はスペンサー・ホール。
MF:スペンサー・ハートだ。
BC:しまった。いつも間違えるんだ。
僕の無知ぶりよりこのショットの話をしよう。
MG:ポールたちは早起きして撮影を。
MF:僕らも眠かったけど。
BC:僕は平気だ。
MF:すごく寒かった。
BC:本当にね。
MG:死体役の苦労たるや・・・・・
BC:まったくだ。僕らは厚着だし身体も濡れてない。
MG:本当に死ぬよ。
MF:献身的だな。
BC:感謝しないと。
MF:作品のために命を投げ出すなんて。
MG:テムズ川岸に遺体が上がる話は子どものころからよく読んでいた。
BC:今もよく事件になっている。
ホームズにふさわしいビクトリア時代風の舞台だ。
MG:ミシシッピ川じゃない。
BC:「父なるテムズ」さ。
MG:周囲の建造物はホームズの19世紀を思わせる。
セント・ポール大聖堂が見え、さらに開発中の現場とシティが見える。
BC:このシリーズの趣旨にぴったりだね。
ミシシッピ川だけど。
MG:当初このシリーズは6話完結する予定でゴーレムの話はその第2話で登場させようと考えていた。
エピソード自体が贋作の話だったんだ。
でもこの形になったことでゴーレムの話は10分ほどに。シャーロックの推理はより迅速になった。
当初犯人の名は「よたよた歩き(Limper)」だった。
MF:ここ好き。
MG:幽霊だね。
その後、エキゾチックな要素が欲しいと思いプラハ伝来の怪物であるゴーレムを思いついた。
殺し屋の名としてもいいし、うってつけの俳優もいる。
MF:ぴったりの人材がね。
MG:ツイてたよ。
BC:「カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険」にもゴーレムが。
MG:元の伝説によるとゴーレムを操る手段はただひとつ。
額にヘブライ語で「emeth(真理)」と書くと動き出し
1文字消して「meth(死)」にすると息絶える。
犯人の額にタトゥーを入れることも考えた。
だが通じないと思ってやめたよ。
MF:不要な部分を削るだけでも脚本家の苦労は大変なものだね。
一見面白そうに見えるアイデアも冷静に見極める。
BC:今回の脚本は初稿からしてすばらしかったが2週間後の第2稿があまりに進化していて驚いた。
マークはすごいよ。
MF:読み合わせも済んだのに書き直すと聞き不安だった。
でもこれはお世辞ではなく格段に良くなったよ。
BC:ふつうは撮影の都合で昼のシーンを夜にするとか、予算がないから人物を減らすとか、その程度だ。
でも今回は本格的な書き直しだった。
MF:元々いいものだったけどよりよくなった。
BC:君は天才だよ。
続きます。
シャーロックとジョンが衝突する場面は伝説と言っても過言ではないのでは。
ふたりとも絶妙な表情で心情を表現していて・・・何というか語彙不足ですみません。
シャーロックに嫌味言われてぐぬぬ・・・と新聞を見始めるジョンのほうが少し大人だったのかな。
正論を武器にするシャーロックに感情論で闘うジョン。
こんなやりとりを繰り返しながらシャーロックの情緒が育っていったのね、
と、思っていた時もありました。(泣)
6話で終わりにする予定だった話はすっかり忘れていました。
だからこそ、この6話は質が良く面白さがギューッと詰まっていたんですよね。
やっぱりライヘンで一旦終わりでも良かったんじゃないかと思ってしまうわ。
で、しばらく冷却期間をおいてから再開すればもう少し違ったかもですね。
服と演技の話になると雄弁になるんですよね、マーティンも。「ヒッチハイクガイド」のコメンタリーでは、主人公なのにあまり喋らなくて驚いた記憶があります(監督が喋りまくったせいだと思いますが)。
コメンタリーといえば「裏切りのサーカス」では監督もゲイリー・オールドマンも無口で、途切れ途切れにしか喋らなくなるのが面白かったです。
マーティン、おしゃれ番長ですもんね。特に小物の拘りは私も大好きです。ベネディクトとは真逆ですね。基本的にはコメンタリーは嫌いなんでしたっけ。じゃ、今回はよく喋ってるほうなのかな(笑)
「裏切りのサーカス」のコメンタリーが記憶にないのですがもしかして観てないのかも・・・