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海外ドラマや映画の感想いろいろ書いてます。

The Great Game Audio Commentary その10

2019-03-10 10:38:53 | Sherlock S1E3 Commentary


コメンタリー続きです。


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MG:第3話はクライマックスなのでスケールを大きくしたかった。
カウントダウンの緊張感を保つことは至難の業だったよ。
画面の下に時計を出しておくわけにもいかないし。
刻一刻と迫る恐怖を感じさせつつ人物の成長や笑いも描きたかった。
だが今回のテーマは自爆攻撃だ。
一度始まってしまうと途中でのどかな要素を入れる余地がない。

BC:君が脚本を客観的な視点から書き直すという話に戻そう。
第三者の目が必要ということでスティーヴンや他に人に見てもらうんだね?
MG:そう。でも本当に気に入ったジョークや思いつきは最後まで捨てずにおくよ。
どんなにささいな案でもシーンのオチとして使えることがある。
時には物語全体のオチとしても。

MG:子どものころに読んだロアルド・ダールの文章に執筆の秘密に触れた部分があった。
運転中に物語の案が浮かんだが紙もペンもなかったので
車を止めリアウィンドウに指で書いたというちょっとしたトリックやアイデアだ。
とはいえ気に入った案も物語で浮くようだったら潔く捨てるしかない。

MF:彼女はアリソン。演劇学校で一緒だった。
BC:学校はたくさんあるよね。
MF:僕の母校が一番さ。
BC:「アリソン」も「マーティン」も多いけど君たちが一番だ。
MF:「フリーマン」も多い。モーガン・フリーマンとかね。

MG:贋作事件の手掛かりとなる超新星のアイデアだが・・・・
視聴者にヒントをどの程度与えるかは常に悩みの種だ。
自分の脚本を読みなれてしまうと明白すぎると不安になる。
だが隠し過ぎると見る人はチンプンカンプン。
ここではアレックスが星が好きだったことをさらっと描くだけに留めた。
だがあとに、あおの場所のシーンで・・・あー・・・言葉が出てこない。

MF:ギャラリー?
MG:思い出した、プラネタリウムだ。
BC:僕たちに頼っても無理だよ。初めて見るんだから。
MG:確かに。
プラネタリウムでケアンズ教授が殺され解説のテープが繰り返し再生される。
これが記憶に残るはずだ。
「多くの星はすでに死に・・・」
このようにバランスを考えながらヒントを出していく。

MF:このテロップはすごいね。
カメラが引くと壁に映っているように見える。
こんな演出見たことないよ。
MG:我々のテロップの使い方は各方面に絶賛されたよ。
僕の願いはこれを機に携帯画面の見苦しいアップが減ることだ。
MF:シンプルかつ効果的だね。ここで注目。

BC:見てくれ、変じゃないか?
(みんな爆笑)
BC:マークはアクセントの練習をさせてくれなかった。
MG:彼の武器は純粋な演技だけ。
いつものコートと同様襟を立てるのは僕の案だ。
立てないと・・・・
BC:妙だった。
MG:クールさが足りなかった。
ここでぜひ言っておきたい。
アーウェル率いる美術チームはすばらしい仕事をした。
体力の限界まで働いてくれたよ。
本当にリアルなフェルメールだ。
ただ板絵にしなかったことが心底悔やまれる。

BC:悔いの多い人生を送ってきたのは僕も同じだよ。
残念だったね。


MG:この場面でポールが言っていた。
「EastEnders」になってしまうと。
メロドラマ調のショットが多いので違うドラマを撮っている気分になったらしい。
MF:ポールは才能豊かだ。これまでにも素晴らしい映画を撮っている。
MG:彼と仕事をしてみての感想は?
MF:正直に?最悪だった。
嘘だよ、楽しかった。会った瞬間に好感を持った。
服のセンスもいいし、「信頼できる」と。

MG:服で判断?
MF:間違ってないはずだ。内面は外見に表れる。
ポールはいいよ。俳優としても魅力的だし。
MG:俳優じゃないよ。
MF:監督役を演じているのかと。
彼は俳優を尊重し僕らの仕事をよく理解している。
理想的な監督だ。

MG:見れば明らかだがあえて言おう。
このシリーズの映像は隅々まで見事だ。
撮影監督のスティーヴの手腕ももちろんある。
自分たちを褒めすぎるのも何だがこれほど美しい映像はテレビではめったにない。
映画的だがこれみよがしではない。
控えめで上品な映像だ。
スチールにしてもいいような見事なショットがたくさんある。
アクションでも慌ただしい見せ方はせずにフレーミングが美しい。

MF:こういうショットも大事な役割を担っている。
さっきポールの服の話をしたけど彼の美的センスは本当に優れている。
でもそれが物語や登場人物のセリフの邪魔をしたりはしない。
MG:まったくだ。
ここで触れておくがこれは本物のベイカー街ではない。
ノース・ガウワー通りだ。理想的なロケ地だった。
ベイカー街で撮る案もあったがやめて正解だった。

MF:ベネディクト、お帰り。
MG:席をはずしてた。
ベイカー街で撮影していたらさぞ大変だったろう。
物語の世界に合わせての装飾も必要だしあそこは交通量も多い。
(ふたりで星を見上げる)
それに比べノース・ガウワー通りは静かだ。
建物もいいしベイカー街の北のほうに雰囲気が似ている。



続きます。

シャーロックがかるーく飛び越えるガードレールをジョンができない場面、
ここも最高に好きです。ジョンかわいいし。

シャーロックがギャラリーを出るときに
軽快にドアを押し「Have a nice day! 」と言う場面も
両手でドアを開けるのがすごくかわいくてツボでした。

場面のひとつひとつが美しくて、
スチールのどれも映画みたいだしフレーミングの天才なのでは。

監督の撮るシャーロックはきれいだしジョンもかっこいいし好きでした。
今、監督が撮るとしたらどんなシャーロックになるのか、
それはそれで観てみたいです。

2 コメント

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私も好きです (あきこ)
2019-03-10 17:15:31
このあたりツボる小ネタが多いですよね。ベネディクトさんとマーティンのチャーミングさがとてもよく出ていますね。
このシリーズ。撮影、美術、監督らスタッフの手腕は全シーズンにおいて冴え渡っていたと思います。本当に素晴らしい絵作りです! 忌まわしきアレとかも、絵だけは全編切り取って永久保存しておきたいぐらい大好きです(シャーロックが新聞の切り抜きをパレスで操るシーンとかすごく好き)。
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Re.私も好きです (dico)
2019-03-10 18:45:59
あきこさん
小ネタ多いですね、ベネもマーティンも最高にチャーミングですよね。二人の関係もすごく良いですし。
スタッフは隅々まで拘る人ばかりでそれぞれ良い仕事をしてました。忌まわしき「アレ」に爆笑しましたよー、相変わらずあきこさんの表現は冴え渡ってますね。忌まわしきは衣装も良いし絵もとてもきれいなのに勿体なかったですよね。もう少し楽しめるテーマを扱ってほしかったです。
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