どっと屋Mの續・鼓腹撃壌

引き続き⋯フリーCG屋のショーモナイ日常(笑)

ハクソー・リッジ、鑑賞

2018年03月25日 21時05分00秒 | 映画
メル・ギブソン監督作...ひたすら心が痛くて、辛い作品...。

WOWOWで放送、録画していたものを視聴。

実在していた人物を主人公に、ハクソー・リッジ(沖縄・前田高地)での戦闘と救護を描いた作品です。

前半は主人公・デズモンド・ドスの幼少期から兵役志願し、戦地に赴くまでを丹念に...志願しながらも獣の所持・訓練を徹底して拒否というある意味で矛盾した「良心的兵役拒否」を貫く。

後半は阿鼻叫喚を伴うハクソー・リッジでの戦闘描写...主人公は一切の重火器を持たず、戦場を駆け巡り、衛生兵として数え切れない負傷兵を手当てする。

日本軍の勢いに押されて退却するも孤軍奮闘し、負傷兵一人一人を崖っぷちからロープで吊り下げて救出していく...。

前半の周囲から受ける無理解と偏見、そして虐待...後編の苛烈・悲惨な戦闘の中での献身...もうどれもこれもがいたたまれず重く苦しい。

こういう人が実在したという事実も凄いとは思うし、最終的に認める社会性にも感心するけど(とても我が国では貫き通せないだろう...)、一人を救う時に何人もの命が失われていくという矛盾もあるし、虚しい気持ちしか残らないんですよね。

全く逆の視点から描かれる岡本喜八監督作「激動の昭和史 沖縄決戦」なんかと比べるよう観てましたけど、日本軍の視点での米軍は大量の物資で余裕綽々で乗り込んでくる相手という感じだし、米軍の視点だとどこからともなくウジャウジャ沸いて出てきては襲いかかってくる恐怖の対象という感じで、地上戦において一方的な優位なんかないんだなと思い知らされます。

まぁ結局のところ、硫黄島や沖縄での戦闘を境にして地上戦にウンザリした米軍は空爆を主体とした戦略に転換し、最後は原爆投下に至る訳です。

「ハクソー・リッジ」という映画作品自体は良く出来ていると思いました(とってつけたような日本軍司令官?の切腹シーン...ハリウッド映画的な「らしさ」演出なのかもだけど、違和感あった)けど、そんな事より今も繰り返し続いている戦争という最悪な手段を止めることの出来ない人間の愚かさに心が冷えて滅入ってしまいました...。