すっかり漫画家として定着した感のある安彦良和さんがアニメの現場に復帰し自らの手で...という夢のプロジェクトもアッと言う間に終わってしまいました。
でも...正直いってその夢は夢のままだった方が良かったのかも...と思うこともありました。
確かに安彦リスペクトを主眼においたスタッフ陣が創出するアニメーションは素晴らしく、漫画そのものが動いているように見えて心地よかった...反面、ガッチリと冷静に構築しジャッジする目をもつ演出に欠け、甘口のお菓子を次々食べさせられている苦痛で、途中映画館での鑑賞を挫折したのも事実です(^_^;(それはやはり富野由悠季さんの不在が要因か...)。
CGの多用も違和感あったけど、これは章が進むにつれて表現に熟れが見えて、最終章の艦隊戦描写はかなり見応えを感じるまでになりました。
まだ公開されたばかりでネタバレは避けますが、ラストはファーストに繋がる非常に思い入れの深いもので、ファンには堪りませんでしたね(いっそ2時間の尺にしてファーストの第1話まで入れちゃえば大々満足でしたよ(*^m^*))。
漏れ聞こえてくる安彦さんの意思は続投も吝かでない様子ですが、ファーストはあまりに長大で、現状全話の構成も、その公開する方法も定まらないのだと思われます。
パンフのインタビューにもあるように「名残惜しいくらいがちょうどいい」のかもしれませんね。
公開初日の5日(土)の夜、FM放送J-WAVEの「TRUME TIME AND TIDE」という番組に出演、市川紗椰さんをお相手にガンダムやアニメに対する想いを語られていました。
私なりに気になった部分を抜粋、書き起こしておきます。
市川>日本のアニメの表現の良さというのはどういうところなんでしょう?
安彦>リミテッドアニメと言うんだけれども、簡単に言うと手抜きアニメなんですよね、日本のアニメはね。手を如何に上手に抜くかということが非常に難しいんで。下手に手を抜くと単なる手抜きになるんだけれども...この間、高畑勲さんが亡くなりましたけれども、あの人の「(アルプスの少女)ハイジ」とか「(母をたずねて)三千里」を見てちょっとショックを受けたんですね、昔。ここまで出来るんだと、手抜きアニメでもね。我々の作っていたものよりワンランク上質なものだったんだけれども、それでも何枚枚もセルを使うと言う膨大な予算でね、そういうものじゃないんで...それでもここまでできるんだ、感情を込められるんだというのは当時衝撃的でしたね。
市川紗椰さんと言えば、以前フジテレビ「ユアタイム」でメインキャスターをつとめていた時、いち早く「この世界の片隅に」に注目し、片渕さんにも取材していた事もあり、同作を含めて質問します(^_^)
市川>先ほど最近のアニメはあまり見ていないと仰っていましたけれども、「この世界の片隅に」とか「君の名は。」とか...話題作はチェックするんですか?
安彦>話題作でも見るのもあれば見ないのもあるけど(笑)、新海(誠)さんは個人的にも知ってたし、前の作品も僕は好きだったんで...見せてもらってああ良いなぁって...細田守さんとかねぇやっぱ良いですね...。
このままだと「この世界の片隅に」についてサラ〜ッと流されてしまうと感じたのか、再度コダワリの質問を投げかけます(*^o^*)
市川>「この世界の片隅に」も戦争がテーマで安彦さんも未来だけど戦争がテーマじゃないですか。見てて共通点とか、どういう風にお感じになりました?
安彦>「この世界(の片隅に)」は特にそうなんだけれども、戦争物なんだけど、戦争を直に描いてないんですよね。空襲なんかでも離れたところから呉の空襲を見てる、飛行機がカトンボみたいに小さくね、そういう表現とか上手いなぁと思いましたね。広島では特に思うだけれども、原爆で焼ける前の映像とかね、非常に心が痛みますよね...そこに生活があって普段に生活を暮らしている人たちがいたんだという...。
市川>辛い悲惨な戦争シーンばかり見せられるより、ちょっと笑顔があったりする日常のほうが辛かったりしますもんね。そういう気づきだったり...。
安彦>シリアなんかもそうですよね...だから死んだ子供の写真をメディアに載っけたりするじゃないですか、あれはプロパガンダの要素も強いと思うんですよ...だからそれは人を騙すこともあるんですよね。それよりもどういう日常がその前にあったかとかね...今も明日どうなるか判らない日常がある訳ですから。
市川>何気なく無垢に笑ってた、あの時があったからこそ辛かったりしますよね...。
安彦>だから今度もガンダムなんかでもそうなんですけど、日常が大事だったりするんですよね。
以前にも「この世界の片隅に」について語っているインタビューを取り上げさせていただきましたが、戦争の悲惨さは戦場をダイレクトに表現するよりも、ちょっと距離をおいた身近な日常を丁寧に描くことにより心に響くものがある...ガンダム、特にファーストと言われる「機動戦士ガンダム」にはその色が濃かったと思います。
やはりこれは富野さんが同時期に「母をたずねて三千里」や「赤毛のアン」などの名作アニメシリーズに絵コンテとして参加していたことの影響が感じられますし、「Zガンダム」以降に失ってしまった独特の空気感があると今でも思っています。
ともあれ...これで「 THE ORIGIN 」は完結してしまいました。今は何かとても心寂しい気持ちでいっぱいになっていますが、いつの日か、何らかの形で「木馬」のクルーに再会できることを...期待せずに待っております(^_^)
でも...正直いってその夢は夢のままだった方が良かったのかも...と思うこともありました。
確かに安彦リスペクトを主眼においたスタッフ陣が創出するアニメーションは素晴らしく、漫画そのものが動いているように見えて心地よかった...反面、ガッチリと冷静に構築しジャッジする目をもつ演出に欠け、甘口のお菓子を次々食べさせられている苦痛で、途中映画館での鑑賞を挫折したのも事実です(^_^;(それはやはり富野由悠季さんの不在が要因か...)。
CGの多用も違和感あったけど、これは章が進むにつれて表現に熟れが見えて、最終章の艦隊戦描写はかなり見応えを感じるまでになりました。
まだ公開されたばかりでネタバレは避けますが、ラストはファーストに繋がる非常に思い入れの深いもので、ファンには堪りませんでしたね(いっそ2時間の尺にしてファーストの第1話まで入れちゃえば大々満足でしたよ(*^m^*))。
漏れ聞こえてくる安彦さんの意思は続投も吝かでない様子ですが、ファーストはあまりに長大で、現状全話の構成も、その公開する方法も定まらないのだと思われます。
パンフのインタビューにもあるように「名残惜しいくらいがちょうどいい」のかもしれませんね。
公開初日の5日(土)の夜、FM放送J-WAVEの「TRUME TIME AND TIDE」という番組に出演、市川紗椰さんをお相手にガンダムやアニメに対する想いを語られていました。
私なりに気になった部分を抜粋、書き起こしておきます。
市川>日本のアニメの表現の良さというのはどういうところなんでしょう?
安彦>リミテッドアニメと言うんだけれども、簡単に言うと手抜きアニメなんですよね、日本のアニメはね。手を如何に上手に抜くかということが非常に難しいんで。下手に手を抜くと単なる手抜きになるんだけれども...この間、高畑勲さんが亡くなりましたけれども、あの人の「(アルプスの少女)ハイジ」とか「(母をたずねて)三千里」を見てちょっとショックを受けたんですね、昔。ここまで出来るんだと、手抜きアニメでもね。我々の作っていたものよりワンランク上質なものだったんだけれども、それでも何枚枚もセルを使うと言う膨大な予算でね、そういうものじゃないんで...それでもここまでできるんだ、感情を込められるんだというのは当時衝撃的でしたね。
市川紗椰さんと言えば、以前フジテレビ「ユアタイム」でメインキャスターをつとめていた時、いち早く「この世界の片隅に」に注目し、片渕さんにも取材していた事もあり、同作を含めて質問します(^_^)
市川>先ほど最近のアニメはあまり見ていないと仰っていましたけれども、「この世界の片隅に」とか「君の名は。」とか...話題作はチェックするんですか?
安彦>話題作でも見るのもあれば見ないのもあるけど(笑)、新海(誠)さんは個人的にも知ってたし、前の作品も僕は好きだったんで...見せてもらってああ良いなぁって...細田守さんとかねぇやっぱ良いですね...。
このままだと「この世界の片隅に」についてサラ〜ッと流されてしまうと感じたのか、再度コダワリの質問を投げかけます(*^o^*)
市川>「この世界の片隅に」も戦争がテーマで安彦さんも未来だけど戦争がテーマじゃないですか。見てて共通点とか、どういう風にお感じになりました?
安彦>「この世界(の片隅に)」は特にそうなんだけれども、戦争物なんだけど、戦争を直に描いてないんですよね。空襲なんかでも離れたところから呉の空襲を見てる、飛行機がカトンボみたいに小さくね、そういう表現とか上手いなぁと思いましたね。広島では特に思うだけれども、原爆で焼ける前の映像とかね、非常に心が痛みますよね...そこに生活があって普段に生活を暮らしている人たちがいたんだという...。
市川>辛い悲惨な戦争シーンばかり見せられるより、ちょっと笑顔があったりする日常のほうが辛かったりしますもんね。そういう気づきだったり...。
安彦>シリアなんかもそうですよね...だから死んだ子供の写真をメディアに載っけたりするじゃないですか、あれはプロパガンダの要素も強いと思うんですよ...だからそれは人を騙すこともあるんですよね。それよりもどういう日常がその前にあったかとかね...今も明日どうなるか判らない日常がある訳ですから。
市川>何気なく無垢に笑ってた、あの時があったからこそ辛かったりしますよね...。
安彦>だから今度もガンダムなんかでもそうなんですけど、日常が大事だったりするんですよね。
以前にも「この世界の片隅に」について語っているインタビューを取り上げさせていただきましたが、戦争の悲惨さは戦場をダイレクトに表現するよりも、ちょっと距離をおいた身近な日常を丁寧に描くことにより心に響くものがある...ガンダム、特にファーストと言われる「機動戦士ガンダム」にはその色が濃かったと思います。
やはりこれは富野さんが同時期に「母をたずねて三千里」や「赤毛のアン」などの名作アニメシリーズに絵コンテとして参加していたことの影響が感じられますし、「Zガンダム」以降に失ってしまった独特の空気感があると今でも思っています。
ともあれ...これで「 THE ORIGIN 」は完結してしまいました。今は何かとても心寂しい気持ちでいっぱいになっていますが、いつの日か、何らかの形で「木馬」のクルーに再会できることを...期待せずに待っております(^_^)