白地にコバルトブルーで文様が描かれたこの染付「青花人物紋水瓶」だが、
一目で気に入った。
やわらかな曲線、ぽってりと厚みのある器体、そして何より、
そのエキゾチックな文様が美しく魅力的だった。
しかも、結構古そうだ。
底を見ると、「康熙年製」と年款があった。
康熙と言えば、清の4代皇帝康熙帝の時代だ。1662年から1722年の間のことで、
今から300年も前のことになる。
この年代のものが、本来ならば私の手に届くはずがない。
しかし、幸運なことに小さなキズがいくつかあった。
それで、私の手元に納めることができたのだ。
この美しい水瓶なら、少々のキズは私的には何も問題はなかった。
以来、時々眺めては楽しんでいる。
最近は、松とヤブツバキを合わせて入れてみた。
染付の青に、松の緑とヤブツバキの赤が映えて、益々美しく見えた水瓶で
あった。
300年もの長い間、この水瓶はいったいどこを旅して来たのだろうか。
私は夢見る思いでこの水瓶を見ている。