飛梅(とびうめ)伝説
「東風吹かば にほひおこせよ梅の花
あるじなしとて 春なわすれそ」
(私がいなくても 春が来るたびに忘れることなく
梅の木よ 芳しい花を咲かせておくれ)
道真公がいよいよ京を立つという時に詠んだ梅の木への惜別の歌である。
伝説によると、梅の木は主人を慕うあまり、一夜にして道真公の
暮らす大宰府まで飛んでいき、その地に降り立ったという。
そして、梅と同じように愛された桜と松の木があった。
桜は悲しみのあまり、みるみる葉を落とし、ついには枯れてしまった。
松は梅とともに飛び立ったが、途中で力尽き、須磨の岡に降り立ち、
そこに根をおろしたそうだ。
桜も哀れ、松も哀れだ。
天神さんと牛
道真公は丑年生まれらしい。それで牛を愛したのかは定かではないが、
牛はよく道真公になついて、道真公もまた牛を大事にしたそうだ。
他にも牛との伝承は数々あるが、道真公の遺言には心ひかれた。
それは、道真公自ら、「自分の遺骸を牛にのせてひかせ、その牛の行く
ところにとどめよ」と遺言されたことだ。
その牛は黙々と東へ歩いて安楽寺(現在の大宰府あたり)で動かなくなり、
そこを墓所と定めたと伝えられている。
道真公はいかに牛を深く愛していたことだろうか…
天満宮をぐるりと囲むように咲く梅の花、天満宮に寄り添い守るかのように
座る牛、その姿には主従の深い愛情があふれている….
そんな気がしてならない。
*明日から19日までお休みします。20日にまたお会いしましょう。