私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

虫愛づる姫君

2014年05月09日 | 思うこと


                          まあ!なんと!このアクロバッティックな食事風景。

                          藤の花が終わり、残りの房にしがみついて、むしゃむしゃと花の蕾を
                          かじっているこの幼虫はいったい何なのだ?
                       
                          アゲハ蝶の幼虫に、ところどころ白い模様が入っているのは知っている。
                          その白い模様は、鳥の糞に似させているのだとか、、

                          それにしても、この幼虫のデザインはあまりに見事なのだ。
                          白と緑が均等に入っていて、ふとい縞模様のようになっているのである。

                          この模様から想像すると、同じアゲハ蝶でもよほど美しくなるに違いない。
                          こんなこと思っていると、まるで「虫愛づる姫君」ではないか。






  ちょっと触ると、まるで「だるまさんが転んだ」状態になって、じっと
  固まってしまった。そし何時間もそのままでいるのであった。
  この幼虫は必死で気配を消しているのだろう。
               
  こんな時、姫は「幼虫が何かを考えているようなところって、すごく
  惹かれるわねぇ」と言うのだろう。
  本当に、幼虫だって考えているように見えるのである。






  蕾もむしゃむしゃ、花もむしゃむしゃ、すごい食欲だ。
  見ていると、ほとんど一日中食べている。
  疲れると丸くなって、気配を消し「お休みタイム」だ。

  蝶は、卵から成虫になるまで三年かかるそうだ。
  幼虫でいる期間は四か月、蛹(さなぎ)になって冬を越し、三年目の6月
  にようやく羽ばたけるのである。

  「世間の人達は、綺麗なものばかりを大切に思うけど、それは違うと思うの、
  人間はきちんと物事の本質を知ろうとすることこそ、いかにも趣きがあるって
  ものじゃないかしら」と姫は言う。

  そして「毛虫が蝶になることは素晴らしいこと、毛虫を見ないで蝶しか見ない
  のは子供のすること」と言い放っているのである。

  平安時代にこんな面白い姫がいたとは、、、
  ただの物語だとすれば、この時代に今で言う「理系女」を描くなんて・・・・
  そして、千年後の今でも通用する姫の言葉、語らせている作者も中々の
  人物だったのではなかろうか。タイムマシンに乗った気分である
                        
                        

                        
                        

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