この版画は明治20年に刷られた「有喜世の華」美人画のシリーズの内の一枚である。
絵師 宮川春汀(しゅんてい) 版元 秋山武右衛門(ぶえもん)
シリーズの一枚一枚に、それぞれ題がつけられていて、これは「外出」というらしい。
姉妹らしい女性二人がお洒落をして、池のほとりに佇んでいる。
池の端には菖蒲が見える。お花見だろうか、、楽しそうに語らっているようだ。
姉らしき人は、綺麗に乙女島田(娘島田)を結い、振袖に亀甲文様の袋帯を締め、足元
は可愛らしい「ぽっこり」を履いている。きっとお年頃なのだろう。
妹らしき人は、振袖に赤い半衿を合わせ、花柄の赤い袋帯を締めて、やはり「ぽっこり」
を履いている。髪型は桃割れだろうか、、手には小さなバッグ、なかなかキュートだ。
明治20年と言うと、美人画もまだ幕末からの様式を引き継いでいたという。
このお嬢様たちのお顔も、浮世絵の美人画そのものだが、上品でとても美しい。
この「外出」のほか「囲碁」と「縫い物」の二作品も手元にあり、
どちらも、とても美しい。「囲碁」は夏。「縫い物」は秋。乞うご期待である。