私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

風格の伝統こけし

2014年05月14日 | 美術工芸



                  このこけしは、伝統的な形式に則り作られた「伝統こけし」である。

                  「伝統こけし」と言うのは、江戸時代の末頃から、東北地方の温泉地
                  で湯治に来る客に土産物として売られていたものだ。

                  作られる土地によって10の系統に分かれているが、

                  このこけしは、遠刈田系で宮城県 青根温泉 佐藤菊治70歳の時の
                  作品である。(明治28年~昭和45年)

                  大きい頭と細い胴に「にやりの眼」が特徴である。       
                  頭頂に赤い放射状の飾りを描き、さらに額から頬にかけて八の字の
                  赤い飾りを描き、胴は菊を重ねて描いている。

                         
                  こけしの背中には、爽やかに菖蒲が描かれ、年齢と名前が書かれていた。
                  最晩年の作品らしいことがうかがわれる

                          
                  高さは43cmある。
                  木肌は古色がつき、大きさのせいもあり堂々たる風格である。


                  このこけしは、義母から受け継いだ。
                  もう30年前のこと、「もう少ししたらあなたにあげるからね」と約束
                  してくれたこけしなのだ。そして、ようやく決心して私に預けたのである。

                  思い出の詰まった大事なこけし。
                  これからは私が大事に思い出を詰めていこう。
                          
                         
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