漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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小野不由美著:十二国記シリーズいまのところ11冊

2014-09-13 | 
たまたま「丕緒(ひしょ)の鳥」という本を買ってみたら、そのまんま十二国記シリーズにはまり続けてました。文庫本全11冊(いまのところ)。長々と読みふけっていましたので久々の感想文です。

まるで漢文のような漢字使いで、あちこちでふりがな頼り。ふりがなは時々しか出てこないので読みを忘れないうちに読み進まなければならず、しかも物語は壮大で登場人物も多く必死に読みます。


で、出会いの「丕緒(ひしょ)の鳥」は、シリーズの番外編みたいな作品。
3つの短編ですが、簡単に答えの出ない事柄に延々と悩む人(ここに登場するのは十二国というフィクション世界の人だけど)を描いています。
なんだこりゃと思ったけど、深く深く思い悩む過程をここまで事細かくしかも物語にするのはすごい。
ちなみのこの「鳥」はカササギ。

「魔性の子」
「月の影 影の海」
「風の海 迷宮の岸」
「東の海神(わだつみ) 西の滄海」
「風の万里 黎明の空」
「丕緒(ひしょ)の鳥」
「図南(となん)の翼」
「華胥(かしょ)の幽夢(ゆめ)」
「黄昏(たそがれ)の岸 暁の天(そら)」

十二国という異次元世界では、天啓(たぶん神の啓示みたいな)によって麒麟が人々の中から見つけ出した国王がいるのだけれど、必ずしもその王に優れた政治力があるとは限らず、官僚たちはずるがしこく、絶えずどこかで争いや災害が起こり民は傷つけられ、いつまでたっても国はちっとも平和で豊かにはならない。問題はどんどん山積する。

読みながら人間ってそうだよなあと大きな矛盾に同感する。
だけど、天に祈ってもどうにかなるわけでもなく、だからどうしたらいいか考えに考える、そんな中から僅かでも希望が生まれる。だから必死に考えて努力する。それが人間の定めなのだなあ。

十二国記の世界

「魔性の子」「月の影 影の海」あたりはライトノベルっぽいが、どんどん深まっていく。
たとえば「月の影 影の海」の陽子はちゃらい高校生だったが「黄昏(たそがれ)の岸 暁の天(そら)」の彼女は惚れ惚れするほどの成長ぶり。
やや描き込みすぎかと思われる部分もあるがそれは小野さんの女性らしさかもしれない。
まだ、シリーズは終わっておらずまだまだ続編があるらしい。
登場人物を忘れないうちに次を発売してほしいなあ。

小野 不由美:1960年 大分県中津市生まれ