仕事がたやすいわけないじゃないか。それなのにわざわざこんな題名の本を買ってしまった。
だが仕事が困難という話ではなく、仕事がつい、面白くなってしまう物語だった。
「コラーゲンの抽出をじっと見守るような仕事」を職安で希望する主人公「私」は
物語の後半で判明するが36歳女性。
前職で燃え尽き症候群状態になったらしい「私」だが、
いくつかの紹介された仕事ごとに少しずつ、のめりこむというかハイになるというか、
「私」自身、この仕事に向いているという感想を言うのだが、
その積極性にどんどん加速度がついてきて、なんだかサスペンス的な臨場感さえ漂ってきて不思議な面白さだ。
ポスターを張り替える仕事の話が、特に気に入った。
津村記久子 1978年大阪市生まれ 初めて読んだ作家なので今後読んでみたい