社会派作家で、数々の名作を残して来た山崎さんの絶筆となった作品。
テーマの今日性、広大なスケール感と魅力的な登場人物等々、従来のヒット作に勝るとも劣らない重厚な物語なのだが、残念ながら(著者逝去により)第1巻のみで未完となった。
1988年(昭和63年)7月23日、東京湾において海上自衛隊潜水艦「なだしお」と遊漁船が衝突し、遊漁船が沈没して30人が死亡した海難事故を詳細にフォローするかたちで物語は進行する。
この時、哨戒長付だった主人公・花巻朔太郎(二尉)は、発令所で潜望鏡を通して右前方から近づきつつある遊漁船を捉えていたが、突然、左舷に現れたヨットに幻惑され、(遊漁船との)衝突を予知できなかった自分の不甲斐なさに呆然とする。
山崎氏は執筆にあたり、「読者の皆様へ」というメッセージを発表していて、
「戦争は絶対に反対ですが、だからといって、守るだけの力も持ってはいけない、という考え方には同調できません。いろいろ勉強していくうちに、”戦争しないための軍隊”という存在を追及してみたくなりました。」
とこの小説を書く動機を語っています。(お勧め度:★★★)
蛇足:この物語の続き(第2・3巻)は、作者と新潮社のサポートプロジェクトとのコラボでほぼ出来上がっていて、それが巻末に収録されているから、読者は、物語を完結させることができる。
テーマの今日性、広大なスケール感と魅力的な登場人物等々、従来のヒット作に勝るとも劣らない重厚な物語なのだが、残念ながら(著者逝去により)第1巻のみで未完となった。
1988年(昭和63年)7月23日、東京湾において海上自衛隊潜水艦「なだしお」と遊漁船が衝突し、遊漁船が沈没して30人が死亡した海難事故を詳細にフォローするかたちで物語は進行する。
この時、哨戒長付だった主人公・花巻朔太郎(二尉)は、発令所で潜望鏡を通して右前方から近づきつつある遊漁船を捉えていたが、突然、左舷に現れたヨットに幻惑され、(遊漁船との)衝突を予知できなかった自分の不甲斐なさに呆然とする。
山崎氏は執筆にあたり、「読者の皆様へ」というメッセージを発表していて、
「戦争は絶対に反対ですが、だからといって、守るだけの力も持ってはいけない、という考え方には同調できません。いろいろ勉強していくうちに、”戦争しないための軍隊”という存在を追及してみたくなりました。」
とこの小説を書く動機を語っています。(お勧め度:★★★)
蛇足:この物語の続き(第2・3巻)は、作者と新潮社のサポートプロジェクトとのコラボでほぼ出来上がっていて、それが巻末に収録されているから、読者は、物語を完結させることができる。