美雪晴れ―みをつくし料理帖 (時代小説文庫) | |
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角川春樹事務所 |
昨年秋、神戸の老舗書店が閉店しました。
神戸新聞 港都神戸と1世紀 元町「海文堂書店」が閉店
私は馴染みの本屋ではなかったので、閉店を惜しむ方々の声をネット上で見つめているだけでした。
ただ、私がエッセイを書いた「旅かばん」1号は、こちのお店に置いてもらえて数年かけて売り切ってくださってと聞いています。私の文章を買ってくださった見ず知らずの方とつないでくれた本屋さんだったのです。
ですので、「みをつくし料理帖」の最新刊『美幸晴れ』を読んでいて「海文堂」という言葉が出てきた時には驚くとともに、作者高田先生の元町の本屋さんへの深い思いを知ることになりました。
物語はいよいよ大詰めです。
なんといっても主人公澪と寄り添って生きていた芳の嫁入りです。
苦労につぐ苦労の末に大家に乞われて嫁ぐ芳。
いろんな糸が終息にむけて絡んでいくのです。
ああ、切ない。いや、切なくもあたたかい。
くしくも1話目が、記録に残らなくても記憶に残ることを選択する話だったんで、ぐっときました。
そして、次巻が最終巻だそう。
先生は私たちに「誰も拝めんほど澄んだ綺麗な空」を見させてくださるそうです。
終わるのはさびしいのですが、雲外蒼天の結末を楽しみに待っています。