2月22日(水)
予告編を見てこりゃ面白そうだと思ったので、この映画は楽しみにしていた。一見便利で豊かな現代社会も、電気が無ければ何一つできない脆弱な社会である事をこの映画は痛烈に皮肉ってくれる。
ある日突然日本全土で原因不明の停電が発生する事から物語は始まる。停電はいつまで経っても復旧の目途は立たず、スーパーから食品や生活用品が消え、交通機関を含むライフラインは機能しなくなる。
会社や学校も閉鎖され最早都会では生きていけぬと覚悟した主人公の男(小日向文世)は、妻(深津絵里)や二人の子供と共に、妻の実家がある鹿児島県へ脱出を決意する。飛行機や鉄道は全て動かぬので自転車や徒歩の旅となるが、行く手には様々な困難が立ちはだかる。
文明の利器が無ければ何もできない現代人の愚かさをコミカルに演ずる小日向文世が見事にハマリ役、何処かピントのズレた妻を演ずる深津絵里も何となく可笑しい。この映画ある意味深刻なシチュエーションなのに、物悲しくも随所に笑いのツボがあり実に面白く楽しい映画だった。
笑いながら観ていたけれど、この映画の光景は以前どこかで見たような・・・そう6年目前の3月、東北大地震の際にスーパーから商品が一斉に無くなった時と記憶が重なってくる。フィクションでは無く現実に起こり得るかもと思ったら、笑いの後でウッスラと背筋が寒くなった。